虹の騎士団物語

舞子坂のぼる

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第10章 旅立ちの塔

第243話 再会

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第243話 再会
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********


ジャンヌ「みんな!手を繋いで!」

床はなくなり、9人が落下します。

『射出エネルギー充填、20パーセント』

脳内に響いた「声」に構う余裕はありません。

サリー「みんな!手を繋いだ!?」

キャッツ「オッケーだよ!間に合った!」

サリーはキャッツの返答を聞くや否や、目を固くつぶりました。
浮遊石が呼応し、サリーの体がぼんやりと光ました。
その光は手を繋いだ仲間から仲間へ伝わっていき、すぐに9人の落下がゆるやかになりました。

ブラド「おぉー!とっさにすごいね」

リーフ「ほんとだね!……あ!見てあれ!」

ジャンヌ「あ、あれは!?……」

~~~~~~~~~

職人「気をつけろぉぉぉ!!天井が崩れてきたぞぉぉぉぉぉぉ!!」

ロックス「ボルカノ様!あれを!」

ボルカノ「んん?…………おぉー!来たか!」

ドワーフたちが落ちてくる瓦礫を避けたり払ったりしている所に、9人は降り立ちました。

ローズ「ロックスさん!ボルカノ様!」

ジャンヌ「元気そうで何よりです!」

ブラド「瓦礫めっちゃ落ちてきたと思うけど、大丈夫でした?ロックスさんは元気そうだからいいとして、ボルカノ様、怪我してない?」

ボルカノ「わはははははは!えらく年寄り扱いしてくれるじゃないか!」

ロックス「なめるなよ。ボルカノ様は荒くれのドワーフどもを束ねる長だ。そこらのドワーフより弱い道理があるか」

マリン「確かにそうだね!よかった!みんな、虹に乗って来たの?」

ボルカノ「いや、それが何だかよくわからんのだ。急に色鮮やかな光に包まれたかと思ったら、次の瞬間には屋敷ごとここに来ていた……」

マリア「やっぱり……虹は空に架かる転移装置だったのね……」

キャッツ「めっちゃ大掛かりよねー。しかも強制的に」

ロックス「大掛かりなのはお前たちの登場の仕方だ!天井ぶっ壊して現れやがって」

リーフ「フィストすごかったね!」

ボルカノ「ほぉ!お嬢さんがやったんかい」

フィスト「う、うん……でも、レイピアが」

ジャンヌ「長年愛用してたやつだもんね……」

ジャンヌは周囲を見渡します。
先ほどまで9人にとっては床だったもの。
ドワーフたちにとっては天井だったもの。
それが今は大小の破片になって、そこかしこに転がっています。

フィスト「いいのよ!この瓦礫の山じゃ見つからないし、見つかっても、あたしが変な使い方したせいで、ベコベコになってると思うよ」

そのとき、遠くからしわがれた声がきこえました。
声の主は片手に持ったものを9人に向けて振っているドワーフの職人でした。

職人「おぉーい!なんか刃物が落ちとるが、こりゃお前さんがたのもんか!?」

フィスト「え!?あれ……」

ローズ「よかったじゃん!見つかったじゃん!」

職人はすぐに9人の方に駆け寄って来ました。

職人「ほれ」

フィスト「あ、ありがと……」

フィストが受け取ったレイピアは、刀身も柄も、ひどく歪んでいました。

フィスト「…………」

ジャンヌ「…………フィスト」

職人「なんじゃそんな傷で。それくらいならワシらが直してやるわい。」

フィスト「ほ、ほんとに?!直るの!?」

職人「おぉ。見たところ、相当使い込んでおる。それなのに歯こぼれひとつないということは、大切に手入れしてきたんじゃろ。そういう刃物はしなやかに柔らかくなる。打ち直せば、壊れる前より頑丈になるぞ」

フィスト「……ほ、ほんと?」

サリー「よかったね!フィスト!」

『射出エネルギー充填、25パーセント』

ロックス「さっきから何なんだ?この声は」
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