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第10章 旅立ちの塔
第240話 星の海へ
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第240話 星の海へ
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********
サリー「と、塔で……?この塔ごと、違う星へ……?」
『この塔は元来そのように作られ、星から星への旅を何度も繰り返してきたのだ……間もなくこの星からも旅立つ。この塔の名は……「旅立ちの塔」』
9人は何も言えずにいました。
突然告げられた、自分たちの旅の本当の目的に。
そしてこの塔が巨大な宇宙船だったという事実に。
フィスト「ちょ、ちょっと待ってよ!違う星ってなによ!い、意味わかんないよ!」
キャッツ「違う星に行くって……何年かかるっていうの?そんなもん……」
『果てしなく長い月日だが、心配する必要はない。コールドスリープに入れば仮死状態となり、何百年後であっても、まるで次の日のように目覚められる。そのためのポッドも十分な数が用意されている』
ブラド「ご、ごめん、私パス。意味わからん」
マリア「あなた……いったい、何者なの……?」
『私は「塔を守るもの」。塔が次の旅立ちの時まで、無事であるために……また星への旅の間、乗っている者たちが無事であるために、人の手によって作られた、者だ』
リーフ「あなたは……作られた、人?」
マリン「……人でもないんじゃないの?声しかしないし……人工的な、人格とか?」
サリー「待ってよ!じゃ、じゃあ、私たち……今からこの塔で、この星を旅立ってしまうの……?生まれ育った、この星を?」
リーフ「えー!そんなの嫌!」
マリア「そうね……みんな嫌よね」
ローズ「な、なんとかならないの……?」
マリン「えぇ、ごめん、あんた頼りにしてたんだけど」
ローズ「や、やめてよ(笑)なんもできないよ」
『全塔乗員へ。間もなくこの塔は離陸シーケンスに移行します。各階層の生命維持ポッドに入ってください』
ジャンヌ「な、なに?」
『離陸シーケンス、スタート。保護シールドを展開』
キャッツ「本格的に始めるってわけね!あんたの仕事を」
9人のいる場所から見える空の色が、ほんの少し変わりました。
鮮やかな空の青に、かすかにもやがかかったようです。
ブラド「な、なによ、あれ」
ローズ「ここが、外だから……覆ってるの?」
フィスト「天蓋ってところね」
ブラド「ねぇ!ほんまに何もできへんの!?」
マリン「あの薄い膜みたいなの、ぶち破る?」
『保護フィールドは大気摩擦や天体への離着陸にも耐えられる構造になって』
マリン「うっさいわね!口調まで変えて手のひら返してんじゃないわよ!」
リーフ「マリン……」
マリン「……『塔を守るもの』だっけ?あんたのこと……嫌いじゃなかったのに……」
ジャンヌ「マリン……」
マリン「ふん!嫌いになれた方がこっからはやりやすいわ……そうでしょ?ジャンヌ?」
8人がジャンヌを見つめます。
ジャンヌは8人全員に、順番に視線を返しました。
ジャンヌ「みんな……私、やっぱり納得できない……」
8人は同時にうなずきました。
ある者はジャンヌに賛同するように、またある者はジャンヌを支えるように、またある者はジャンヌを励ますように。
ジャンヌ「私は……世界をひとつにしたかった……この世界のみんなが平和に暮らせる……そんな世界にしたかった……つらいことも苦しいことも、楽しいことも嬉しいことも、病気になるのも年を取るのも、全部ひっくるめて、それぞれの命を、きちんと終えられるような……みんなで仲良く助け合える世界になってほしかった……だから」
マリア「……私たち、みんなそうよ」
キャッツ「うん」
ジャンヌ「……ありがとう……だから!こんな結末、納得できない!」
マリン「そうだー!」
リーフ「別の星でやり直すなんて、結局同じことの繰り返しになるだけだもん」
フィスト「おおー!いいこと言ったね。この塔はずっと星から星への旅を繰り返してきたって言ってたもんね。聞いてる?おっさん。間違ってんのよ」
『射出エネルギー充填、10パーセント』
ローズ「ねえ、この塔、ほんとに飛び立つつもりだよ」
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
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サリー「と、塔で……?この塔ごと、違う星へ……?」
『この塔は元来そのように作られ、星から星への旅を何度も繰り返してきたのだ……間もなくこの星からも旅立つ。この塔の名は……「旅立ちの塔」』
9人は何も言えずにいました。
突然告げられた、自分たちの旅の本当の目的に。
そしてこの塔が巨大な宇宙船だったという事実に。
フィスト「ちょ、ちょっと待ってよ!違う星ってなによ!い、意味わかんないよ!」
キャッツ「違う星に行くって……何年かかるっていうの?そんなもん……」
『果てしなく長い月日だが、心配する必要はない。コールドスリープに入れば仮死状態となり、何百年後であっても、まるで次の日のように目覚められる。そのためのポッドも十分な数が用意されている』
ブラド「ご、ごめん、私パス。意味わからん」
マリア「あなた……いったい、何者なの……?」
『私は「塔を守るもの」。塔が次の旅立ちの時まで、無事であるために……また星への旅の間、乗っている者たちが無事であるために、人の手によって作られた、者だ』
リーフ「あなたは……作られた、人?」
マリン「……人でもないんじゃないの?声しかしないし……人工的な、人格とか?」
サリー「待ってよ!じゃ、じゃあ、私たち……今からこの塔で、この星を旅立ってしまうの……?生まれ育った、この星を?」
リーフ「えー!そんなの嫌!」
マリア「そうね……みんな嫌よね」
ローズ「な、なんとかならないの……?」
マリン「えぇ、ごめん、あんた頼りにしてたんだけど」
ローズ「や、やめてよ(笑)なんもできないよ」
『全塔乗員へ。間もなくこの塔は離陸シーケンスに移行します。各階層の生命維持ポッドに入ってください』
ジャンヌ「な、なに?」
『離陸シーケンス、スタート。保護シールドを展開』
キャッツ「本格的に始めるってわけね!あんたの仕事を」
9人のいる場所から見える空の色が、ほんの少し変わりました。
鮮やかな空の青に、かすかにもやがかかったようです。
ブラド「な、なによ、あれ」
ローズ「ここが、外だから……覆ってるの?」
フィスト「天蓋ってところね」
ブラド「ねぇ!ほんまに何もできへんの!?」
マリン「あの薄い膜みたいなの、ぶち破る?」
『保護フィールドは大気摩擦や天体への離着陸にも耐えられる構造になって』
マリン「うっさいわね!口調まで変えて手のひら返してんじゃないわよ!」
リーフ「マリン……」
マリン「……『塔を守るもの』だっけ?あんたのこと……嫌いじゃなかったのに……」
ジャンヌ「マリン……」
マリン「ふん!嫌いになれた方がこっからはやりやすいわ……そうでしょ?ジャンヌ?」
8人がジャンヌを見つめます。
ジャンヌは8人全員に、順番に視線を返しました。
ジャンヌ「みんな……私、やっぱり納得できない……」
8人は同時にうなずきました。
ある者はジャンヌに賛同するように、またある者はジャンヌを支えるように、またある者はジャンヌを励ますように。
ジャンヌ「私は……世界をひとつにしたかった……この世界のみんなが平和に暮らせる……そんな世界にしたかった……つらいことも苦しいことも、楽しいことも嬉しいことも、病気になるのも年を取るのも、全部ひっくるめて、それぞれの命を、きちんと終えられるような……みんなで仲良く助け合える世界になってほしかった……だから」
マリア「……私たち、みんなそうよ」
キャッツ「うん」
ジャンヌ「……ありがとう……だから!こんな結末、納得できない!」
マリン「そうだー!」
リーフ「別の星でやり直すなんて、結局同じことの繰り返しになるだけだもん」
フィスト「おおー!いいこと言ったね。この塔はずっと星から星への旅を繰り返してきたって言ってたもんね。聞いてる?おっさん。間違ってんのよ」
『射出エネルギー充填、10パーセント』
ローズ「ねえ、この塔、ほんとに飛び立つつもりだよ」
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