虹の騎士団物語

舞子坂のぼる

文字の大きさ
上 下
163 / 189
第9章 魔界

第231話 意外な反応

しおりを挟む
第231話 意外な反応
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********


ブラド「……じゃ、じゃあさ、みんなにとって……私って、なに?」

マリア「だから……仲間でしょ?」

マリアの言葉に、7人がうなずきます。
同席していた2人の悪魔は、それぞれが手に持っていたグラスの酒を静かに飲み干しました。
2人の悪魔は微笑んでいます。
まるで9人の会話が、酒の肴にピッタリだと言わんばかりに。

そして、ブラドが一筋の涙を流しました。

ブラド「……みんな」

ジャンヌ「ちょっと!もー!なに!?泣かんでよ!」

マリン「泣く意味わかんないわよー」

マリア「いやそこはわかりなさいよ」

ブラド「うえーん!」

ローズ「うえーんって(笑)」

リーフ「ちょっと!笑っちゃだめだって!んふっ!」

サリー「…………んぐふっ!あはははは!」

フィスト「収拾つかなくなってるわよ」

キャッツ「はいはい!ちょっと落ち着いてー!楽しいパーティーの途中よ!準備してくれたみんなに申し訳ないじゃない。ごめんなさいね、ビフロンスさん」

キャッツがビフロンスの方を向きましたが、そこに彼はいませんでした。
ビフロンスと一緒に座っていたはずのグシオンもその場にいません。

キャッツ「……ビフロンスさん?グシオンさん?」

ブラド「クスン……はぁ……え?なに?どこかに行ったの?」

マリン「そうみたいね。あ!いたよ!あそこ!」

8人はマリンが指さす方を見ました。
9人がいる場所から20メートルほど離れている場所に、2人の悪魔は立っていました。
ビフロンスとグシオンは身を寄せ合って、こちらを見ています。
怯えているようにも見えます。

ブラド「ちょっとー!どうしたんですかー!」

2人の悪魔は何も言わず、こちらをじっと見ています。

キャッツ「え?なに?うちらなんかした?」

マリア「なんか、初めて悪魔を見た人みたいな反応ね」

グシオン「あ、あぁ、いや、すまん」

2人はゆっくりと近づいてきて、ようやく声が9人に届く距離になりました。

サリー「どうしたんですか?急に」

マリン「なになに?悪魔って、女の涙に弱いの?」

ローズ「えー!なにそれ!ほんとだったらすごいロマンチック!」

リーフ「そ、そう?ロマンチック……?」

グシオン「女がどうとかは置いといて、だな……こう、突然泣くのはやめてくれんか」

ブラド「どういうことですか?ビフロンスさんならともかく、物知りのグシオンさんまで、そんなこと言うなんて……」

ビフロンス「余計なお世話だ」

キャッツ「よくわかんないけど、悪魔があんなに怖がるなんて……女の涙は魔除けの効果もあるのかしら?」

グシオン「…………」

ビフロンス「…………」

サリー「え!うそ!?ほんとに?」

ジャンヌ「2人の反応を見る限り……ほんとっぽいね」

ローズ「涙が……魔除け?……あ!塩分!?」

グシオン「……そういうことだ」

リーフ「な、なに?どういうこと?」

ローズ「えっとさ、涙って、しょっぱいじゃん?それは、涙の中に塩分が入ってるからなの」

マリア「うん。そうよね」

ローズ「で、塩って、昔から、魔除けとかに使われてたのよ。国によっては、清めの塩、とか言って」

リーフ「へー!知らなかった!」

キャッツ「そ、その塩が、苦手だったの?」

ビフロンス「……あぁ」

フィスト「ちょっと待ってよ。じゃあなんでブラドは無事なの?」

サリー「そうだよね……自分の涙で消滅とかしちゃったら……」

ブラド「いや怖いな、言い方」

グシオン「ブラドは吸血鬼としての血も薄いから、ほとんど影響などないだろう。それに、純粋な悪魔だって、塩で消滅するわけではない。塩は古来から悪魔が苦手としてきたものだが、それは塩が魔除けだからではなく、魔を封じ込める、閉じ込める力があったからだ」

ブラド「……閉じ込める?」

マリア「悪魔を?ガラス瓶とかに?」

ビフロンス「知らんよ、そんなことは」

ブラド「それよ!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】後妻に入ったら、夫のむすめが……でした

仲村 嘉高
恋愛
「むすめの世話をして欲しい」  夫からの求婚の言葉は、愛の言葉では無かったけれど、幼い娘を大切にする誠実な人だと思い、受け入れる事にした。  結婚前の顔合わせを「疲れて出かけたくないと言われた」や「今日はベッドから起きられないようだ」と、何度も反故にされた。  それでも、本当に申し訳なさそうに謝るので、「体が弱いならしょうがないわよ」と許してしまった。  結婚式は、お互いの親戚のみ。  なぜならお互い再婚だから。  そして、結婚式が終わり、新居へ……?  一緒に馬車に乗ったその方は誰ですか?

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...