虹の騎士団物語

舞子坂のぼる

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第9章 魔界

第229話 悪魔風パーティー

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第229話 悪魔風パーティー
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********


ジャンヌ「な、なんで巨人にしようと思ったの?」

フィスト「んー、やっぱり悪魔と言えばこの人かなー?って。グシオンのおじちゃん」

ビフロンス「ん?なんだ、グシオンの旦那にもう会ってるのか」

ローズ「知り合いなんですか?」

ビフロンス「ま、その辺のことは追い追い話すとして、パーティーにはやっぱり飯だろ。ほらこっち来い。スケルトンたちに用意させてる」

「「「「わーい!」」」」

9人はビフロンスの後について10分ほど歩きました。
着いた場所は最初にビフロンスに出会った墓地でした。

そこにはテーブル、椅子があり、テーブルの上には料理がたくさん並んでいました。

9人は一斉に歓声を上げ始めました。

マリア「すごい!これ、唐辛子とかコショウとか多いけど……悪魔風ってやつ?」

マリン「なに?それ」

ローズ「知ってる!ピリ辛にした料理を、悪魔風とか言うことがあるんだよね?」

ビフロンス「そうらしいな。人間の趣向に合わせてみたんだ……バーニャカウダの悪魔風、悪魔風ソーセージのジャーマンポテト、悪魔風サラダ、悪魔風ヤンニョムチキンに悪魔風アラビアータ。飲み物はトマトジュースか辛口のジンジャーエールでどうだ?デザートにはイチゴソースとイチゴジャムを血肉に見立てた悪魔風パンケーキがあるぞ」

リーフ「さいこー!」

ジャンヌ「待って!チキンあるの!?」

キャッツ「ひとりで全部食べないでよー!」

ジャンヌ「わ、わかってるわよ!」

パーティーが始まりました。
9人は椅子に座り、それぞれが気になるものを皿にとります。
数体のスケルトンが使い終わった食器などを片づけます。

ビフロンスは椅子に座って、黒コショウを振ったレッドアイを飲んでいます。

サリー「ビフロンスさんは、グシオンさんと知り合いなんですね」

ビフロンス「ああ。あの人の方が俺より序列は上だけどな。最初にあの旦那に会えたのは運がよかったな。なんでも教えてくれたろ?」

キャッツ「え?そうだった?全然だよね?」

ビフロンス「へえ……グシオンの旦那はすべての知識に通じてるから、何でも知ってるはずなんだけどな」

マリア「そうなんだ……だったら、オーブのことも、どこにあるとか、教えてくれてもよかったのに」

マリン「ほんとだよね!」

ローズ「ケチなのかな?」

ブラド「ケチちゃうやろ!多分さ、私たちが最初に来た地底世界と、同じかもしれへんで」

リーフ「どういうこと?」

サリー「ドワーフの世界のこと?」

ブラド「そう!あのときさ、最初のオーブやったっていうのもあったけど、めっちゃびっくりしたやん。ボルカノ様に『世界をひとつになんてしてほしくない』って言われたんやもん」

ジャンヌ「そうだったねー。あれは驚いたわ」

フィスト「すごくいいことしに来たと思ってたもんね。まぁ、話聞いたら、その気持ちは納得だったけどね」

ローズ「で、ブラド。そのドワーフの里と、ここが一緒なの?」

ブラド「うん……そうじゃない?私たち、悪魔にめっちゃ偏見持ってたし、グシオンさんも、それがわかってないと、オーブの場所なんか教えても意味ないって思ってたんちゃうかな?」

グシオン「その通りだ」

「「「「!!!」」」」

9人は突然のグシオンの出現に言葉もなく驚きました。

ビフロンス「やぁ、旦那。いらっしゃい。飲んでくかい?」

グシオン「そうだな……ではムラサキハッカのモヒートを」

ビフロンス「あいよ。聞いてた?よろしく」

骸骨A「へい。用意します」

ブラド「グシオンさん、この近くにいたんですか?」

グシオン「いなくとも君たちが何を話していたのかは『知っている』んだ。それがすべての知識に精通している、ということだからな。で、どう思うかね?君たちの中にあった決めつけ、偏見は」

フィスト「うーん。多分なくなってはないけど、少なくなってると思います」

グシオン「なくなってるわけではない?」

リーフ「ビフロンスさんとかグシオンさんとか、スケルトンさんたちも、慣れたからどうってことないけど。これから会う悪魔たちには、やっぱりちょっと警戒しちゃうかもしれない」

グシオン「……なるほど」

骸骨A「どうぞ」

グシオン「ありがとう」

グシオンは渡されたムラサキハッカのモヒートを一口飲みました。

ジャンヌ「でも、悪魔だというだけで感じるような壁は、前ほどはないです。実際に知り合うことができたから」

キャッツ「いくら怖そうに見えても、不気味に見えても、ほとんどの悪魔にとっては『そもそもこっちに危害を加えるメリットがない』ってわかったからね」

ビフロンス「そういうことだな」

マリン「逆にさ、人間同士も、一見親しみを込めてくる人でも、何か意図があるかもしれないし」

サリー「人も悪魔も関係なく、理解してないから怖い、理解できれば怖くないんだと思います。だからまずは、理解しないと」

グシオン「ほう」

グシオンもビフロンスも、手に持った酒を一口飲みました。

グシオン「では、君たちの友人、ブラドはどうかね?本当に、安心できる仲間か?」
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