虹の騎士団物語

舞子坂のぼる

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第8章 地の果て

第217話 次の目的地 その6

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第217話 次の目的地 その6
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********


ジャンヌが片手に地図を、もう片方の手にキューブを持ち、そっと近づけます。

8人はジャンヌの周りに円形に立ち、ジャンヌが持つ地図を覗きこみます。

キューブから一筋の光が放たれました。

その光は、地図の一点を指していません。

ローズ「え!?なに?」

マリン「ど、どういうこと?」

キューブから放たれている光は、地図の上に落ちるのではなく、円形に並ぶ9人の、ジャンヌの正面に立つブラドとキャッツの間を走り抜けています。

9人全員がその光を目で追います。
光は、9人がいる空洞の、さらに奥の空間を指しています。

リーフ「えっと……どういうこと?ジャンヌ」

ジャンヌ「え、いや、わかんない」

フィスト「なんか変なことしてない?」

ジャンヌ「してないわよ!なによ、変なことって」

キャッツ「地図を指さずに、実際の方向を指し示すなんてね」

ブラド「まあ親切でええやん」

リーフ「確かにー!迷わず行けるよね」

ジャンヌのキューブから放たれた光は洞窟の奥の一点を指し続けています。

ジャンヌ「……ま、そういう解釈でいっか」

ジャンヌがそう言うと、魔法の地図はキューブの中に収まりました。
同時に、キューブの光が消えました。

マリン「たまにはいいんじゃない?もしかしたら、地図には載ってない場所、って意味かもしれないじゃん?」

ジャンヌ「そうね。それじゃ、行こうか」

「「「「うん!」」」」

9人はジャンヌを先頭に歩き始めました。

キャッツが砂漠の国の地下で使った灯火鉱を鞄から取り出し、サリーが術でその光を増幅させました。

サリー「みんな、足元明るくはしてるけど、気を付けてね」

リーフ「はーい」

9人の歩く洞窟は幸い一本道でした。
岩をよじ登ったり、岩から飛び降りたりしながら、9人は進みます。

ローズ「ねえ、いままでさ、オーブを手に入れてから次の地点に移動するのって……」

ジャンヌ「うん。レジャーアクティビティみたいなのばっかりだったよね」

ローズ「これって、アクティビティ?」

ブラド「知らんわよ」

フィスト「アスレチックなんじゃないの?わかんないけど」

ローズ「あー!なるほど!」

キャッツ「それにしてもさー、ほんと夢の国って素敵だったね」

マリア「ほんとにね。あんなに素敵な夢が世界からなくなるなんて、絶対避けないとね」

マリン「でもさ、フィストがオーブを取ったから、夢の国はなくなったんだよね?」

ブラド「夢の国っていうより、夢の集合場所だね。それがなくなったから、夢ももう一度、世界に散らばってくれたんじゃない?」

マリン「あ、そういうことか」

ローズ「またモモさんに会いたいね」

ジャンヌ「会えるよ、きっと。私たちが夢見る心をなくさないでいたら」

フィスト「そうね」

サリー「あ、また岩。今度はおっきいよ」

リーフ「またよじ登るの!?」

ブラド「結構疲れるもんねー。私が先に行って、引っ張ってあげようか?」

キャッツ「えらい元気ね?どうしたの?」

ブラド「いやー、なんか砂漠を越えてから妙に調子よくてね」

ローズ「あ、言ってたね。太陽に負けないくらい元気出てきた、って」

マリア「夢の国のゴタゴタで忘れてたけど、何が原因なのかしら?」

ブラド「えー、なんやろ……わかんないけど、進むのには便利やん?」

ブラドは話しながら軽々と岩を登り、上からロープを下ろしました。
8人はブラドの助けを借りて岩を登り切りました。

ブラド「みんなオッケーね?んじゃ進もう!」

リーフ「な、なんか、頼りになるね……」

フィスト「ブラドじゃないみたい」

ブラド「文句言いたいけど、なんか自分でもそんな気がするのよね」

ジャンヌ「?どういうこと?」
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