146 / 189
第8章 地の果て
第214話 雲を掴む
しおりを挟む
第214話 雲を掴む
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********
フィスト「昨日言ったでしょ?最初っからこんなのは『雲を掴むような話だ』って」
フィストはツルを蹴って跳び上がり、手近な雲を掴みました。
跳んだ勢いは死なず、雲にぶら下がったまま太陽まで近づいていきました。
豆の木の下にいて、空を見上げていたブラドが気づきました。
ブラド「!?ちょっと!みんな、あれ!」
ブラドの指差す方を7人が見ます。
人影が空を飛んでいます。
その飛び方は鳥のそれとはちがって、不自然でした。
手足を動かすことなく、体そのものが真横にスライドするように移動しています。
ジャンヌ「あ、あれ……フィスト!?」
キャッツ「な、なんか、横にスーッて動いてない?」
マリア「なにかしらね……リーフ、見える?」
マリアが目の良いリーフに問います。
リーフ「うーんと……見間違いじゃなかったら、だけど…雲を掴んで、ぶら下がってるみたい……」
マリン「なによそれ……ほんとにメチャクチャね、夢の国」
ローズ「雲を掴むような話で、ほんとに掴んじゃったんだね」
サリー「なんか、すごいね、夢って……魔法なんか使えないのに、魔法なんかより、ずっとすごいことができる。しかも、夢を信じる心があれば、誰でも……」
ジャンヌ「夢の国だからね、なんでもありよ。でもサリーが身につけた魔法も、『魔法使いになりたい』っていう、サリーの夢の賜物でしょ?夢を現実にしようとしてきたサリーだから、すごい魔法を身につけてるし、それで私たちがどれだけ助けられたか」
リーフ「うん!ほんと!ジャンヌの言うとおりだよ!」
ブラド「特に私が助かってるね。命に関わるレベルで」
サリー「フフッ、ありがと」
マリア「さて、夢が物言うこの国で、あの子はこれからどうするのかしら……」
8人は上空の人影に目を向けます。
人影は太陽に手を伸ばしていました。
フィスト「んぐぐぐぐ……あとちょっと」
フィストは片手で雲を握り、そしてもう片方の手を太陽に伸ばしました。
そして指先が太陽に触れ、ついには手で掴むことができました。
フィスト「よっしゃぁぁぁー!」
フィストは片手で力強く太陽を握り、もう片方の雲を掴んでいた方の手を離し、素早く太陽を両手で掴み、ぶら下がりました。
フィスト「や、やった!」
そのとき、太陽が放つ光は、強く輝く星のような光から、宝珠が放つような柔らかい光へと変わりました。
そしてフィストの手の中でオーブとなったそれは、空からパキンッと外れました。
フィスト「えっ」
地上で見ていた8人も声を上げました。
ジャンヌ「えっ」
「「「「えっ」」」」
モモ「えっじゃないわよ。当たり前でしょうが」
フィストはモモの冷静な指摘を受けながら、支えがなくなった空から落ちていきました。
フィスト「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー!!!こわいいぃぃぃぃぃーー!!!」
落ちるフィストを追いかけるように飛びながら、モモが話しかけます。
モモ「こわいー!じゃなくてね、あんたの手の中に今あるのはなに?夢見る心なんでしょ?」
フィスト「そ、そっか」
フィストが恐怖を抑えて目を閉じます。
フィストが両手で胸の前で抱えたオーブが黄色い光を放ちます。
地上では8人が慌てています。
マリア「ね、ねぇ!あれ!フィスト、落ちてるよね!?」
リーフ「な、なにかクッションになるもの!」
ローズ「ジャンヌ!受け止める!?」
ジャンヌ「え、ちょっと自信ないけど……が、がんばる!」
マリン「がんばらないで!2人とも大怪我するでしょ!」
サリー「術が使えたら、なんとかなるのに……」
ブラド「だ、誰か助けてくれへんかな?夢の国やん?」
キャッツ「そ、そうだよ、空飛ぶ……」
「「「「サンタクロース!!!」」」」
ドサッ
フィストの落下は地上からはるか上で止まりました。
空飛ぶ夢の国の住人が、フィストを空中で受け止めたのです。
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********
フィスト「昨日言ったでしょ?最初っからこんなのは『雲を掴むような話だ』って」
フィストはツルを蹴って跳び上がり、手近な雲を掴みました。
跳んだ勢いは死なず、雲にぶら下がったまま太陽まで近づいていきました。
豆の木の下にいて、空を見上げていたブラドが気づきました。
ブラド「!?ちょっと!みんな、あれ!」
ブラドの指差す方を7人が見ます。
人影が空を飛んでいます。
その飛び方は鳥のそれとはちがって、不自然でした。
手足を動かすことなく、体そのものが真横にスライドするように移動しています。
ジャンヌ「あ、あれ……フィスト!?」
キャッツ「な、なんか、横にスーッて動いてない?」
マリア「なにかしらね……リーフ、見える?」
マリアが目の良いリーフに問います。
リーフ「うーんと……見間違いじゃなかったら、だけど…雲を掴んで、ぶら下がってるみたい……」
マリン「なによそれ……ほんとにメチャクチャね、夢の国」
ローズ「雲を掴むような話で、ほんとに掴んじゃったんだね」
サリー「なんか、すごいね、夢って……魔法なんか使えないのに、魔法なんかより、ずっとすごいことができる。しかも、夢を信じる心があれば、誰でも……」
ジャンヌ「夢の国だからね、なんでもありよ。でもサリーが身につけた魔法も、『魔法使いになりたい』っていう、サリーの夢の賜物でしょ?夢を現実にしようとしてきたサリーだから、すごい魔法を身につけてるし、それで私たちがどれだけ助けられたか」
リーフ「うん!ほんと!ジャンヌの言うとおりだよ!」
ブラド「特に私が助かってるね。命に関わるレベルで」
サリー「フフッ、ありがと」
マリア「さて、夢が物言うこの国で、あの子はこれからどうするのかしら……」
8人は上空の人影に目を向けます。
人影は太陽に手を伸ばしていました。
フィスト「んぐぐぐぐ……あとちょっと」
フィストは片手で雲を握り、そしてもう片方の手を太陽に伸ばしました。
そして指先が太陽に触れ、ついには手で掴むことができました。
フィスト「よっしゃぁぁぁー!」
フィストは片手で力強く太陽を握り、もう片方の雲を掴んでいた方の手を離し、素早く太陽を両手で掴み、ぶら下がりました。
フィスト「や、やった!」
そのとき、太陽が放つ光は、強く輝く星のような光から、宝珠が放つような柔らかい光へと変わりました。
そしてフィストの手の中でオーブとなったそれは、空からパキンッと外れました。
フィスト「えっ」
地上で見ていた8人も声を上げました。
ジャンヌ「えっ」
「「「「えっ」」」」
モモ「えっじゃないわよ。当たり前でしょうが」
フィストはモモの冷静な指摘を受けながら、支えがなくなった空から落ちていきました。
フィスト「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー!!!こわいいぃぃぃぃぃーー!!!」
落ちるフィストを追いかけるように飛びながら、モモが話しかけます。
モモ「こわいー!じゃなくてね、あんたの手の中に今あるのはなに?夢見る心なんでしょ?」
フィスト「そ、そっか」
フィストが恐怖を抑えて目を閉じます。
フィストが両手で胸の前で抱えたオーブが黄色い光を放ちます。
地上では8人が慌てています。
マリア「ね、ねぇ!あれ!フィスト、落ちてるよね!?」
リーフ「な、なにかクッションになるもの!」
ローズ「ジャンヌ!受け止める!?」
ジャンヌ「え、ちょっと自信ないけど……が、がんばる!」
マリン「がんばらないで!2人とも大怪我するでしょ!」
サリー「術が使えたら、なんとかなるのに……」
ブラド「だ、誰か助けてくれへんかな?夢の国やん?」
キャッツ「そ、そうだよ、空飛ぶ……」
「「「「サンタクロース!!!」」」」
ドサッ
フィストの落下は地上からはるか上で止まりました。
空飛ぶ夢の国の住人が、フィストを空中で受け止めたのです。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】後妻に入ったら、夫のむすめが……でした
仲村 嘉高
恋愛
「むすめの世話をして欲しい」
夫からの求婚の言葉は、愛の言葉では無かったけれど、幼い娘を大切にする誠実な人だと思い、受け入れる事にした。
結婚前の顔合わせを「疲れて出かけたくないと言われた」や「今日はベッドから起きられないようだ」と、何度も反故にされた。
それでも、本当に申し訳なさそうに謝るので、「体が弱いならしょうがないわよ」と許してしまった。
結婚式は、お互いの親戚のみ。
なぜならお互い再婚だから。
そして、結婚式が終わり、新居へ……?
一緒に馬車に乗ったその方は誰ですか?
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる