虹の騎士団物語

舞子坂のぼる

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第6章 海底神殿

第165話 核心

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第165話 核心
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ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
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リーフ「今なら、おじいちゃんが言ってたこと、わかる……『関係を絶って無関係を装っても、本当に無関係でなんていられない……いつか触れ合ったとき、無関係のふりをしつづけた時間の分だけ、互いの溝になる』って」

ジャンヌ「無関係を装っても、本当に無関係ではいられない……か」

海神『そうですね……関わりを完全に絶つことはできませんね。この世界は、つながっているのだから……つながっていないのは、心ですね』

リーフ「そうです……だから、心を、つなぎたいんです。虹をもう一度空にかけて、世界をひとつに……」

キャッツ「私たち、つーか私だけど、世界って、自分たちが住む陸地だけだと思ってたわ……」

ブラド「……いや、それは私もやわ」

マリア「アナスタシアが、反対したくなる気持ち……わからないでもないわね」

フィスト「世界がひとつになったら、海が汚されることが加速しそうだもんね」

リーフ「アナスタシア!私、約束するわ!」

アナスタシア「な、なに?」

リーフ「この旅が終わったら、このことを世界に伝えるの」

アナスタシア「……無駄よ」

マリン「信じてくれないかしら?私たちだって、海は大切よ」

アナスタシア「違うの……あなたたちのことを信じてないわけじゃない……あなたたちは、本当に、海を大切にしてくれそう……でも、ほかの人たちみんながそうとは限らない。それに、『900年後に石油を手に入れる。そういう未来を見てきた』なんて話は、誰も信じないわ」

サリー「……確かに、そうかも」

リーフ「違うわ!私はそんなことを世界に伝えたいんじゃないの」

ローズ「え?違うの?」

アナスタシア「……どういうこと?」

リーフ「私が伝えたいのは、海は大事ってことよ!」

アナスタシアは面食らいました。
あまりにも単純で、漠然とした言葉でした。

アナスタシア「……あのね、そんなに単純な話じゃ」

しかし人魚の少女は言葉を続けることができませんでした。
リーフの瞳には、まっすぐな、強い意志の光が宿っていたからです。

リーフ「え?違うの?だって、海を汚しちゃよくないんでしょ?今だって、多少海を汚してるんじゃないの?だから、問題は石油じゃなくて、海のことをなんにもわかってない人が多いってことじゃない?」

アナスタシア「……」

キャッツ「核心ついたわねー」
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