虹の騎士団物語

舞子坂のぼる

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第5章 大森林

第144話 静かな叫び

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第144話 静かな叫び
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********

フィスト「やめてほしかったら、まわりで見てる動物たちにやめさせるのね」

ヌシが周りを見渡すと、そこかしこに森の動物たちがいました。
鳥、蛇、兎、狐やモグラ。さらには猪、鹿、熊など、大型の動物もいます。

ヌシ『お、お前たち……』

動物たちは、遠巻きに9人の少女とヌシのやり取りを見ています。

ヌシ『な、何をしている……こいつらを止めろ……』

動物たちは互いに目を見合わせたり、ヌシから目をそらしたり、世界樹を見上げたり、反応は様々ですが、誰もそこから動こうとはしませんでした。

9人の少女とヌシは、動物たちを見つめます。

ヌシ『お前たち!!どうしたというのだ!?』

ジャンヌとフィストが武器を携えたまま、歩きながら言います。

ジャンヌ「どうしたのかしらね」

フィスト「言っとくけど動物たちにはサリーの術はかけてないわよ」

サリー「かけられないんだけどね。ヌシさんの体おっきくて、それだけで限界だから」

キャッツ「つまり、この動物たちは自分たちの意志で動かないってことよ」

ヌシ『くっ……だったらなおのこと!動け!お前たち!この愚かなよそ者どもを止めろ!』

動物たちは、何も言いません。

ヌシ『お前たちは……この世界樹が大切ではないのか!!』

動物たちは、何も言いません。

ヌシ『……そうか』

ヌシがぽつりと言います。
その体を動かそうともがくこともやめました。

ヌシ『大切ではないのだな……お前たちにとっては……私だけがこの世界樹を、大切に』

リーフ「それは違います!」

ヌシ『……何が違うというのだ』

マリア「聞こえませんか?動物たちの、この無言の叫びが……彼らは世界樹を大切ではないと考えているわけではありません。世界樹よりも大切なものを見つめているんです」

ヌシ『世界樹よりも……大切なもの……?』

マリア「今この瞬間から先の、未来です」
 
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