虹の騎士団物語

舞子坂のぼる

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第5章 大森林

第141話 守ってきたのは誰

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第141話 守ってきたのは誰
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********

ヌシ『オーブとやらはみつかったか?』

ジャンヌ「いいえ、それはもう少し時間がかかりそう」

ヌシ『じっくり探すといい。そう簡単には見つからんだろう……今までが順調すぎただけだ』

ブラド「まぁ、確かにそれはそうよね」

ローズ「まだお城出て1週間も経ってないもんね」

サリー「そっか、全部集めるのに、何年もかかるかもしれないんだ……」

キャッツ「それでね、ヌシさん。昨日は森の生き物たちにはすごーくお世話になったし、これから森で探し物するのに、やっぱり彼らには引き続き協力してもらいたいの」

ヌシ『彼らが拒まなければ、私が口を出す理由もない。好きにしろ』

マリア「ありがとうございます。でもそのためには、灰皮病の木をなんとかしないといけません。放っておいたら、生き物たちの住む場所がなくなってしまいます」

ヌシ『くだらん。昨日も言ったはずだ。そんなものでこの偉大な森が揺らぐことなどない』

リーフ「でも、実際に、木をねぐらにしてた生き物は居場所なくしてます」

ヌシ『この大森林が過ごした途方もなく長い時間の中で、そのような困難がなかったわけじゃない。そのたびに乗り越えてきた。今回も乗り越えられる』

マリン「何を根拠に言ってんのよ」

ヌシ『これまで乗り越えてこられたという揺るぎない事実を根拠に、だ。お前たちにはわからんだろうがな』

フィスト「今までが大丈夫だったから、今回も大丈夫ってわけ?」

ヌシ『それがこの森の大きさ、強さだ』

マリア「それは違うわ。あなたこそ何もわかっていない」

強く、ハッキリとした口調に、8人が驚いてマリアを見ます。
いつものマリアの話し方とは少し違っていたからです。

マリア「『今までが大丈夫だった』?それはそうでしょう。大丈夫だったのはこの世界樹と代々のヌシなんだから」

ヌシ『……何が言いたい』

マリア「困難を乗り越えて、森を守ってきたのは、ヌシでも世界樹でもないわ。この森に住む生き物たちみんなよ。困難のたびに、たくさんの命が失われてね。それなのに、ヌシであるあなたは、森の真ん中の世界樹でただ眺めている……まるで、私がいた教会だわ」

ジャンヌ「マリア……」

ヌシ『……お前はシスターだと言っていたな?』
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