焼鳥屋、主任と後輩

#23

　いらっしゃいませー。2名様で。こちらのお席どうぞー
「今日は混んでますね」
「そうだな。テーブル席か」
「たまにはいいですよね」
「うん」
　おしぼりどうぞー。お飲み物お先に伺いますねー
「えー生2つ、でいいよな？」
「はい」
「あとチャンジャもお願いします」
　はーい。生2、チャンジャでー
「いつも聞いてくれますね、生でいいか」
「まぁ、いつも飲むとは言え、そういう気分じゃないときもあるじゃん」
「そうですね。あ、今日結構食べたいんで、僕も払わせてくださいね」
「そりゃ助かるけど、いいの？」
「はい！今日はですね、いつも頼まないものを頼みたいんです！」
「へー」
「気になりません？」
「なるねぇ」
　生中とチャンジャと、お通しの枝豆とキャベツでーす
「あ、なんか今の渋いですよ！ねぇ？！お姉さん」
　えー？どうですかねー
「すいません、ほっといてください。やめろバカ」
「いいじゃないですか、たまには。テーブル席なんだし」
「普通カウンターでやらないか？そういうの」
「さ、それでですね、僕の頼みたいものは、というと」
「はぁ……うん」
「当ててみてください」
「はぁ？なんだよ……えーっと」
「付き合ってくれるんすね」
「あ、わかった」
「どれですか？」
「手羽先」
「え？すごい」
「だろ？」
「え、なんでわかったんですか？」
「あんまり頼まないけど、無性に食べたくなるもの……それが手羽先だ」
「いやそれはわらび餅じゃないですか？」
「和菓子ならな」