焼鳥屋、主任と後輩

#15

「デザートってさ、頼む？」
「こういう焼鳥屋で、ですか？」
「うーん……うん、そうだな。焼鳥屋とか、飲み屋で」
「僕は頼みますねー」
「なんで？」
「なんでって、欲しくなるからですよ」
「そうか」
「先輩は、頼まないですよね？」
「うん。欲しくならないなぁ」
「そうですか……あ、頼んでいいですか？」
「うん」
「すいませーん、バニラアイスください」
　はいよー
「なんでなんですかねー？欲しくならないの」
「さっぱりしたいとか？」
「まぁそれに近いですかね。そういう感覚自体ないですか？」
「んー、ないかも」
「たとえばこのあと家に着いても、なにも食べないですか？」
「うん。あ、でも飲むかも」
「なにをですか？」
「酒を」
「酒を」
「うん、家着いて、氷結とか飲むかな」
「なるほど、そもそも先輩は飲み終わってないんですね」
「あーそういうことか」
「一回飲み終わってみません？デザートまでやって。それで帰宅後も飲みたくなるのか、やってみましょうよ」
「まぁ、たまにはいいか」
「じゃあすいませーん、バニラアイスもうひとつ」
　はいよー