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奮闘記
10、飛び込んできたのは無害なものたち
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「わたし、わたしね。護が……あなたの、ことが」
月美が言いかけた瞬間、突然、一つの影が護の顔面へと飛び込んできた。
「きゃっ?!」
「むごっ??!!」
当然、月美はそれに驚いて小さい悲鳴を上げ、護はいきなり飛び込んできたそれをどうにか剥がし、じとっとした視線でにらみつける。
だが、その視線をまるで楽しむように、飛び込んできたものは、楽しそうな声を上げた。
「わー、護だ、護だ!」
「土御門の坊《ぼん》だー!」
「ひっさしぶりだな、小僧!元気してたか?!」
飛び込んできたものは、この周辺をねぐらにしている小妖怪だ。
気づけば、小妖怪たちによって包囲網が敷かれ、護と月美は完全に逃げ場を失っていた。
彼らは本来、下手をすれば問答無用で退治されてしまう可能性もあるため、術者の家に滅多に近づくことはない。
風森家は悪事を働かなければ退治する必要はないと判断しているし、翼も同じような考えを持っていることを知っているため、こうして臆することなく集まってくるようだ。
――そういや、こいつらと会うのも一年ぶりか……すっかり忘れてた
結果、小妖怪と陰陽師見習いが顔見知りという、少しばかり奇妙な光景が生まれ、こうして護は彼らの遊び相手となっていた。
もっとも、その中に鎮守の森に住んでいる狐の妖やそのあたりをうろついている小精霊の姿も見えるため、護で遊びに来ただけの集団というわけではないようだが。
「お前ら……脅かすなよ……」
護はなおも非難するように視線を送りながら、よりついてきた百鬼夜行にどすの効いた声をぶつけた。
だが、基本的に何もしてこないことを知っているためにまったく効力がないのか、臆する様子もなく。
「だってだって、久しぶりなんだから仕方ないだろ?」
「姫だって毎晩お前のこと考えてんだから、なぁ?」
あっけらかんとした態度で、蛇の姿をした妖と蜘蛛のような妖が答えていた。
相変わらずのその様子に、護はため息をついていたが、その顔はどこか優しそうだ。
どうやら、人間と接するよりも妖である彼らと接した方が気が楽であるらしい。
だが、親しき中にも礼儀あり、という言葉を知らない彼らのこと。
「……で、いつからいたんだ?」
ものすごく嫌な予感を感じながら、あえて、妖たちに聞いてみる。
あやかしたちは互いに顔を見合わせたのち、狐の姿をした妖が口を開く。
「そりゃもう」
すると、まるで事前に打ち合わせていたかのように。
『最初から!!』
と、なぜか大合唱する妖軍団であった。
――こいつら……
「……いつか、滅した方がいいのかな……」
その反応に対し、護は重たいため息をつきながら頭を抱え、月美はすぐ隣にいた護にも聞こえないくらいの声で、さらりと妖たちにとっては物騒なことを呟く。
幸いなことに、その呟きは妖たちには聞こえていなかった。
月美が言いかけた瞬間、突然、一つの影が護の顔面へと飛び込んできた。
「きゃっ?!」
「むごっ??!!」
当然、月美はそれに驚いて小さい悲鳴を上げ、護はいきなり飛び込んできたそれをどうにか剥がし、じとっとした視線でにらみつける。
だが、その視線をまるで楽しむように、飛び込んできたものは、楽しそうな声を上げた。
「わー、護だ、護だ!」
「土御門の坊《ぼん》だー!」
「ひっさしぶりだな、小僧!元気してたか?!」
飛び込んできたものは、この周辺をねぐらにしている小妖怪だ。
気づけば、小妖怪たちによって包囲網が敷かれ、護と月美は完全に逃げ場を失っていた。
彼らは本来、下手をすれば問答無用で退治されてしまう可能性もあるため、術者の家に滅多に近づくことはない。
風森家は悪事を働かなければ退治する必要はないと判断しているし、翼も同じような考えを持っていることを知っているため、こうして臆することなく集まってくるようだ。
――そういや、こいつらと会うのも一年ぶりか……すっかり忘れてた
結果、小妖怪と陰陽師見習いが顔見知りという、少しばかり奇妙な光景が生まれ、こうして護は彼らの遊び相手となっていた。
もっとも、その中に鎮守の森に住んでいる狐の妖やそのあたりをうろついている小精霊の姿も見えるため、護で遊びに来ただけの集団というわけではないようだが。
「お前ら……脅かすなよ……」
護はなおも非難するように視線を送りながら、よりついてきた百鬼夜行にどすの効いた声をぶつけた。
だが、基本的に何もしてこないことを知っているためにまったく効力がないのか、臆する様子もなく。
「だってだって、久しぶりなんだから仕方ないだろ?」
「姫だって毎晩お前のこと考えてんだから、なぁ?」
あっけらかんとした態度で、蛇の姿をした妖と蜘蛛のような妖が答えていた。
相変わらずのその様子に、護はため息をついていたが、その顔はどこか優しそうだ。
どうやら、人間と接するよりも妖である彼らと接した方が気が楽であるらしい。
だが、親しき中にも礼儀あり、という言葉を知らない彼らのこと。
「……で、いつからいたんだ?」
ものすごく嫌な予感を感じながら、あえて、妖たちに聞いてみる。
あやかしたちは互いに顔を見合わせたのち、狐の姿をした妖が口を開く。
「そりゃもう」
すると、まるで事前に打ち合わせていたかのように。
『最初から!!』
と、なぜか大合唱する妖軍団であった。
――こいつら……
「……いつか、滅した方がいいのかな……」
その反応に対し、護は重たいため息をつきながら頭を抱え、月美はすぐ隣にいた護にも聞こえないくらいの声で、さらりと妖たちにとっては物騒なことを呟く。
幸いなことに、その呟きは妖たちには聞こえていなかった。
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