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第15章 ー決着ー
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がる。
タチカゼは何でもないという顔で「もう気ぃ、済んだか?」と盾ごと相手の鎌を押し返した。まるで邪魔な虫を追い払うように軽くだ。クロウはその押し出された勢いに地面を削りながらなんとか止まる事ができた。
オンジも、タチカゼに何が起きているのか分からないまま唖然と戦いを見守る。
クロウはフゥゥゥゥ―――――と長い息を吐いた。
「お前を包んでいるその霧はなんだ!?」
「これか?これは俺の体内から放出されたナノキューブだ。体内のナノキューブだけじゃ増殖速度が足りなくて、ちょっと上空のナノキューブを拝借したけどな。」
「馬鹿な!!ナノキューブは細胞と完全に一体化している、外に放出するのは不可能だ!!!」
クロウは柄にもなく捲し立ててきた、さっきまでの余裕の笑みは完全に消えていた。
「そうだね・・・君達の技術じゃ『体内のナノキューブの精密操作』が手一杯だったねぇ。いや、それでもすばらしい進歩だ!・・・でもそれはまだDr.キューブの目指したニンゲンヘイキの完成形じゃない・・・。俺は成れたんだよ・・・その完成されたニンゲンヘイキにね!!!」
「そんな非現実的な事が起こってたまるか!?我がイドの最先端技術を持ってしてもキューブシステムは解析できていないんだぞ!?」
「じゃあ・・・自分で確かめて見ればどうだい?さぁ、どうぞ。」
タチカゼは両腕を広げて、かかって来いとばかりに挑発してみせた。
クロウの顔が今までになく歪み、何倍にも膨れ上がった腕の筋肉が怒りを表すかのように脈打って蠢いた!
「キィエエエエエエエエエエエエ――――――!!!!!」
もうそこからは滅茶苦茶だった。勢い任せでなりふり構わず上から、横から、斜めから、大鎌をガンガン振り回し続けた。それを何くわぬ顔で六角形の盾で受け続ける。しかもタチカゼはその場から微動だに動いてない。遂にはタチカゼはその鎌をナノキューブで包まれた手で掴んで止めた。
「ウギッ!!ウギギ!!」何とか鎌を離させようとするがビクともしない。
「もういいか?いい加減飽きたぜ。」
バキッッッ!!!
そう言った後、タチカゼは大鎌の鎌の部分を折ってみせた。そのまま鎌の刃をその辺に捨てる。
「!?!?!?」最早、クロウは声にならない声を上げた。
「さて、次は俺の番だな。」と、そこで初めてカタナを抜いた。そして左手を前に出すとそこに
立方体の束が集まってきて、真っ白いカタナの形に変わった。
クロウは逃げようと背を向けた。が、タチカゼが地面を蹴るといつの間にかクロウの前に立ち、行く手を阻んでいた。
「ひぃいい!!」もう完全にクロウは戦意を喪失していた。
「おいおい、今更逃げるなんて無しだろう。俺にも遊ばせろよ!」
タチカゼは右手のカタナを手を伸ばし構え、左手の白いカタナを逆手で持った。
「初めて使う技だが、まぁ今の俺なら出来るだろ・・・『不知火流、絶技二刀・千華万来・麒麟きりんの舞』!!」
そこからはもう見ている方は目が追いつかず、訳が分からなかった。クロウの周りを何か黒い影がビュンビュン飛び周り、クロウの体がズタズタに斬り裂かれていく・・・その一瞬、タチカゼの動きが止まった様に見えた。そして、クロウの耳元で囁く。
「僕はイド帝国に戻ります。先輩いいウォーミングアップになりました、ありがとうございます。せめて安らかにお休み下さい・・・例えニンゲンヘイキでも・・・ね」
「クゥ・・・ア・・・ガ」
その後は惨むごたらしいものだった。クロウはもう完全に動かなくなっていた。それでもタチカゼは手を緩めない。クロウがただの肉塊になるまで一分とかからなかった。
そしてタチカゼの攻撃の手は止まった。左手のカタナは立方体となり消え、右手のカタナを鞘に納めた。体中を纏っていたナノキューブは水蒸気の様に霧散して消えていった。
オンジが右手を押さえながらようやく木の陰から出て来た。最早、何が何だか分からないという
複雑な表情を浮かべながら。
「タチカゼ・・・お前は・・・一体何が・・・!?」
タチカゼはオンジの方を見て、とびっきりの笑顔を見せた。
「さて、迷子の姫様と愉快な仲間達を迎えに行きますか!」
タチカゼは何でもないという顔で「もう気ぃ、済んだか?」と盾ごと相手の鎌を押し返した。まるで邪魔な虫を追い払うように軽くだ。クロウはその押し出された勢いに地面を削りながらなんとか止まる事ができた。
オンジも、タチカゼに何が起きているのか分からないまま唖然と戦いを見守る。
クロウはフゥゥゥゥ―――――と長い息を吐いた。
「お前を包んでいるその霧はなんだ!?」
「これか?これは俺の体内から放出されたナノキューブだ。体内のナノキューブだけじゃ増殖速度が足りなくて、ちょっと上空のナノキューブを拝借したけどな。」
「馬鹿な!!ナノキューブは細胞と完全に一体化している、外に放出するのは不可能だ!!!」
クロウは柄にもなく捲し立ててきた、さっきまでの余裕の笑みは完全に消えていた。
「そうだね・・・君達の技術じゃ『体内のナノキューブの精密操作』が手一杯だったねぇ。いや、それでもすばらしい進歩だ!・・・でもそれはまだDr.キューブの目指したニンゲンヘイキの完成形じゃない・・・。俺は成れたんだよ・・・その完成されたニンゲンヘイキにね!!!」
「そんな非現実的な事が起こってたまるか!?我がイドの最先端技術を持ってしてもキューブシステムは解析できていないんだぞ!?」
「じゃあ・・・自分で確かめて見ればどうだい?さぁ、どうぞ。」
タチカゼは両腕を広げて、かかって来いとばかりに挑発してみせた。
クロウの顔が今までになく歪み、何倍にも膨れ上がった腕の筋肉が怒りを表すかのように脈打って蠢いた!
「キィエエエエエエエエエエエエ――――――!!!!!」
もうそこからは滅茶苦茶だった。勢い任せでなりふり構わず上から、横から、斜めから、大鎌をガンガン振り回し続けた。それを何くわぬ顔で六角形の盾で受け続ける。しかもタチカゼはその場から微動だに動いてない。遂にはタチカゼはその鎌をナノキューブで包まれた手で掴んで止めた。
「ウギッ!!ウギギ!!」何とか鎌を離させようとするがビクともしない。
「もういいか?いい加減飽きたぜ。」
バキッッッ!!!
そう言った後、タチカゼは大鎌の鎌の部分を折ってみせた。そのまま鎌の刃をその辺に捨てる。
「!?!?!?」最早、クロウは声にならない声を上げた。
「さて、次は俺の番だな。」と、そこで初めてカタナを抜いた。そして左手を前に出すとそこに
立方体の束が集まってきて、真っ白いカタナの形に変わった。
クロウは逃げようと背を向けた。が、タチカゼが地面を蹴るといつの間にかクロウの前に立ち、行く手を阻んでいた。
「ひぃいい!!」もう完全にクロウは戦意を喪失していた。
「おいおい、今更逃げるなんて無しだろう。俺にも遊ばせろよ!」
タチカゼは右手のカタナを手を伸ばし構え、左手の白いカタナを逆手で持った。
「初めて使う技だが、まぁ今の俺なら出来るだろ・・・『不知火流、絶技二刀・千華万来・麒麟きりんの舞』!!」
そこからはもう見ている方は目が追いつかず、訳が分からなかった。クロウの周りを何か黒い影がビュンビュン飛び周り、クロウの体がズタズタに斬り裂かれていく・・・その一瞬、タチカゼの動きが止まった様に見えた。そして、クロウの耳元で囁く。
「僕はイド帝国に戻ります。先輩いいウォーミングアップになりました、ありがとうございます。せめて安らかにお休み下さい・・・例えニンゲンヘイキでも・・・ね」
「クゥ・・・ア・・・ガ」
その後は惨むごたらしいものだった。クロウはもう完全に動かなくなっていた。それでもタチカゼは手を緩めない。クロウがただの肉塊になるまで一分とかからなかった。
そしてタチカゼの攻撃の手は止まった。左手のカタナは立方体となり消え、右手のカタナを鞘に納めた。体中を纏っていたナノキューブは水蒸気の様に霧散して消えていった。
オンジが右手を押さえながらようやく木の陰から出て来た。最早、何が何だか分からないという
複雑な表情を浮かべながら。
「タチカゼ・・・お前は・・・一体何が・・・!?」
タチカゼはオンジの方を見て、とびっきりの笑顔を見せた。
「さて、迷子の姫様と愉快な仲間達を迎えに行きますか!」
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