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第5章 -蒼い月が泣く夜はー
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セツナとオッサンの一斉攻撃が始まった。
そんな中、キューブはカタナを鞘に収めた。腰を落とし左足を前に出して広げる。
『ナノキューブをそんなに精密に操作できるなんて、イドの技術力もなかなか・・・だが弱点もある。
ナノキューブが集中している部分があるという事はその分薄くなっている部分もあるという事さ!』
キューブはカタナの柄に手を掛けた。
『抜刀・一閃!!』
その後は一瞬だった。キューブが地面を蹴ると同時にカタナが鞘の中を走り加速される!!
そしてセツナとオンジの連続攻撃で防御が手薄になった首にカタナが食い込んだ。
キューブがアルキノと交差してすり抜けた後には、アルキノの首は空高く打ち上げられていた。
カタナをに付いた血を払い、鞘に収めると同時にアルキノの首が地面に落ちた。
その時、キューブは眩暈めまいに襲われた。
『クッ・・・今はここまで・・・か・・・だけど・・・きっともうすぐ・・・』
はっ!と気付くと体はタチカゼの元に戻っていた。
【おい!キューブ!!今のは何だ!?俺に何をした!?】
『・・・・・・』
キューブからは何の反応もなかった・・・。
突然、タチカゼの襟元が握り締められた。ハナタビだった。
「あなたは!!あなたが・・・あなたが殺したのはニンゲンヘイキじゃない!!『人間』なんだ!!人間になろうとしたんだよ、あいつは・・・なのに・・・」
ハナタビはタチカゼから手を放した。
するとタチカゼはハナタビの前に自分のカタナを差し出した。
「皮肉に聞こえたなら謝る。俺はすぐには死ねない体なんだ・・・だからあんたが気が済むまで俺を斬るといい・・・すまない、今はそれぐらいしか思い付かない。」
ハナタビは怒りの帯びた目でカタナに目をやった。だがすぐに目を反らした。
「・・・私達は戦いを・・・武器を捨てました・・・どんな理由であれ、もう誰も傷つけたくない。」
ハナタビは目を反らしたまま答えた。
「そうか・・・すまない」タチカゼは踵を返した。セツナとオンジもそれに続く。
「・・・すまないがアルキノさんの遺体は本部の化学班が回収させてもらう。村の修繕にも何名かよこすよ。」
タチカゼは前を向いたままそう言った。
「・・・私達もいつかああなるんでしょうか・・・?」
タチカゼは何も答えなかった。
ハナタビや村人達もそれ以上タチカゼに返す言葉がなく、ただ地面の一点を見つめていた・・・。
#####################
セツナが前を向いたまま聞いてきた。
「・・・さっきの鞘からカタナ抜く技、すごかったな。いつ習得したんだ?」
「いや・・・まぁ、ちょっとな。」
キューブの事はややこしい上に本人にも口止めされている為、皆には内緒にしている。
「・・・なぁ、あたし達もいつかあんな事に・・・ただの兵器に戻る日がくるのかなぁ・・・」
タチカゼは何も答えず空を見上げた。今日は綺麗な満月が出ている。しかし上空を覆うナノキューブ
の霧のせいで、月は朧気おぼろげにしか見えない。
【こんな気分の時くらい、綺麗なお月様をみせてくれよ・・・】
と、タチカゼは上空を漂う霧を憎々しげに睨んだのだった。
そんな中、キューブはカタナを鞘に収めた。腰を落とし左足を前に出して広げる。
『ナノキューブをそんなに精密に操作できるなんて、イドの技術力もなかなか・・・だが弱点もある。
ナノキューブが集中している部分があるという事はその分薄くなっている部分もあるという事さ!』
キューブはカタナの柄に手を掛けた。
『抜刀・一閃!!』
その後は一瞬だった。キューブが地面を蹴ると同時にカタナが鞘の中を走り加速される!!
そしてセツナとオンジの連続攻撃で防御が手薄になった首にカタナが食い込んだ。
キューブがアルキノと交差してすり抜けた後には、アルキノの首は空高く打ち上げられていた。
カタナをに付いた血を払い、鞘に収めると同時にアルキノの首が地面に落ちた。
その時、キューブは眩暈めまいに襲われた。
『クッ・・・今はここまで・・・か・・・だけど・・・きっともうすぐ・・・』
はっ!と気付くと体はタチカゼの元に戻っていた。
【おい!キューブ!!今のは何だ!?俺に何をした!?】
『・・・・・・』
キューブからは何の反応もなかった・・・。
突然、タチカゼの襟元が握り締められた。ハナタビだった。
「あなたは!!あなたが・・・あなたが殺したのはニンゲンヘイキじゃない!!『人間』なんだ!!人間になろうとしたんだよ、あいつは・・・なのに・・・」
ハナタビはタチカゼから手を放した。
するとタチカゼはハナタビの前に自分のカタナを差し出した。
「皮肉に聞こえたなら謝る。俺はすぐには死ねない体なんだ・・・だからあんたが気が済むまで俺を斬るといい・・・すまない、今はそれぐらいしか思い付かない。」
ハナタビは怒りの帯びた目でカタナに目をやった。だがすぐに目を反らした。
「・・・私達は戦いを・・・武器を捨てました・・・どんな理由であれ、もう誰も傷つけたくない。」
ハナタビは目を反らしたまま答えた。
「そうか・・・すまない」タチカゼは踵を返した。セツナとオンジもそれに続く。
「・・・すまないがアルキノさんの遺体は本部の化学班が回収させてもらう。村の修繕にも何名かよこすよ。」
タチカゼは前を向いたままそう言った。
「・・・私達もいつかああなるんでしょうか・・・?」
タチカゼは何も答えなかった。
ハナタビや村人達もそれ以上タチカゼに返す言葉がなく、ただ地面の一点を見つめていた・・・。
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セツナが前を向いたまま聞いてきた。
「・・・さっきの鞘からカタナ抜く技、すごかったな。いつ習得したんだ?」
「いや・・・まぁ、ちょっとな。」
キューブの事はややこしい上に本人にも口止めされている為、皆には内緒にしている。
「・・・なぁ、あたし達もいつかあんな事に・・・ただの兵器に戻る日がくるのかなぁ・・・」
タチカゼは何も答えず空を見上げた。今日は綺麗な満月が出ている。しかし上空を覆うナノキューブ
の霧のせいで、月は朧気おぼろげにしか見えない。
【こんな気分の時くらい、綺麗なお月様をみせてくれよ・・・】
と、タチカゼは上空を漂う霧を憎々しげに睨んだのだった。
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