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第2章 ー蒼のタチカゼ、暁に死すー
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そこはどこまでも『闇』が続く空間だった。
その闇は四方八方に広がっており、どこまで行っても終わりが見えそうになかった。
その闇の中を薄い霧のようなものが漂っていて視界良好とは言えない。
そんな中、タチカゼは仰向けに横たわっていた。
左目に刺さっていたはずのナイフは無くなっている。
そこにどこから現れたのか、黒ずくめの外套で身を包み頭をフードで深々と隠した何者かが現れた。
その何者かはオペラの見せ物でも始めるかのような仰々しい動きで手を上げ、空を仰ぎ語り始めた。
『おお、勇者よ!死んでしまうとは情けない…』
何者かはタチカゼの横にちょこんとしゃがみ込んだ。
『だが安心したまえ!君には転生という新たな人生を与えよう!!例えば捕食する事によりあらゆるスキルを得られるスライム!はたまた、例え死んでもある地点から人生をリスタートさせる事が出来る魔女にかけられた死に戻りという能力!!他にも全ての事をゲームで決する世界なんてのもあるぞ、今のこの殺し合いの続く世界より全然いいだろう!!!まだまだあるぞ!それは…』
何者かはさもスポットライトを浴びた劇の主人公のようにそれはそれは大げさに、歌うように踊るように喋り続けた。
「…おい…」
タチカゼは仰向けの状態のまま何物かに呼び掛けた。
そしてゆっくりと立ち上がった。
「キューブよ…その毎回出てくる訳の解らん知識はどこから仕入れてくるんだ!?」
『そんなの決まってる、【マザー】のアーカイブからさ!
あそこには遥か昔からの様々な記録が眠っているからね、全く閲覧していて飽きないよ!』
「何でもいいけどその【マザーキューブ】ってのはイドの城内にあるんだろ?そんなにアクセスしてて、こっちの事がバレたりしねーのか?」
タチカゼは訝しげに『キューブ』に尋ねる。
『大丈夫さ!こう見えてもキミの行動サポートプログラムだからね、僕は!そんな痕跡を残すようなヘマはしないよ。それより、キミこそよくここに来るじゃないか。もう少し自分の体を大事にして欲しいもんだね。」
「うっ…あれは…その…少女がだな…」
タチカゼはしどろもどろになり人指し指をクルクルさせる。
『そんな事より聞いてくれたまえ!!この〔転生モノ〕と呼ばれる書物を!!一度死んだら人とは終わりのはずなのに、輪廻転生という宗教的な考えを物語に落とし込んだアプローチの仕方は実に興味深い!!例えばこの…』
「だぁぁぁ!分かった分かったから!!」
タチカゼはキューブの怒涛のおしゃべりマシンガンを無理矢理静止させ、ハァとため息をついた。
「その話は後で聞くから早いとこ傷治してくれよ!」
『えぇー!だってキミは瀕死にならなきゃこの【キューブコア】の中には来れないじゃあないかあ!』
「お前の声は聞こえるんだから一方的に喋ってればいいだろ!?」
『あ!なるほど!』
「いいから早くしてくれ!オッサンが危な…くもないだろうけどいいから早く!!」
『はいはい』
キューブは右手を上に上げパチンと指を鳴らす。
すると全方向暗闇だった場所の一方向から目映い光が差し込んだ。
『お客様、出口はあちらになります』
「おう!いつもサンキューな!!」
タチカゼはその光の方向に向かって走り出す
その姿を見ながら背中越しにキューブが呼び掛ける。
『ホントに大事にしたまえよ、自分の体!』
タチカゼは返事の代わりに右手を掲げて見せた。
『…ホントに大事に扱ってくれたまえ、ボクの体を、ね』
そのフードに覆われた顔の口元の端が少しだけ吊り上がった。それは不適な笑みに見えた。
その闇は四方八方に広がっており、どこまで行っても終わりが見えそうになかった。
その闇の中を薄い霧のようなものが漂っていて視界良好とは言えない。
そんな中、タチカゼは仰向けに横たわっていた。
左目に刺さっていたはずのナイフは無くなっている。
そこにどこから現れたのか、黒ずくめの外套で身を包み頭をフードで深々と隠した何者かが現れた。
その何者かはオペラの見せ物でも始めるかのような仰々しい動きで手を上げ、空を仰ぎ語り始めた。
『おお、勇者よ!死んでしまうとは情けない…』
何者かはタチカゼの横にちょこんとしゃがみ込んだ。
『だが安心したまえ!君には転生という新たな人生を与えよう!!例えば捕食する事によりあらゆるスキルを得られるスライム!はたまた、例え死んでもある地点から人生をリスタートさせる事が出来る魔女にかけられた死に戻りという能力!!他にも全ての事をゲームで決する世界なんてのもあるぞ、今のこの殺し合いの続く世界より全然いいだろう!!!まだまだあるぞ!それは…』
何者かはさもスポットライトを浴びた劇の主人公のようにそれはそれは大げさに、歌うように踊るように喋り続けた。
「…おい…」
タチカゼは仰向けの状態のまま何物かに呼び掛けた。
そしてゆっくりと立ち上がった。
「キューブよ…その毎回出てくる訳の解らん知識はどこから仕入れてくるんだ!?」
『そんなの決まってる、【マザー】のアーカイブからさ!
あそこには遥か昔からの様々な記録が眠っているからね、全く閲覧していて飽きないよ!』
「何でもいいけどその【マザーキューブ】ってのはイドの城内にあるんだろ?そんなにアクセスしてて、こっちの事がバレたりしねーのか?」
タチカゼは訝しげに『キューブ』に尋ねる。
『大丈夫さ!こう見えてもキミの行動サポートプログラムだからね、僕は!そんな痕跡を残すようなヘマはしないよ。それより、キミこそよくここに来るじゃないか。もう少し自分の体を大事にして欲しいもんだね。」
「うっ…あれは…その…少女がだな…」
タチカゼはしどろもどろになり人指し指をクルクルさせる。
『そんな事より聞いてくれたまえ!!この〔転生モノ〕と呼ばれる書物を!!一度死んだら人とは終わりのはずなのに、輪廻転生という宗教的な考えを物語に落とし込んだアプローチの仕方は実に興味深い!!例えばこの…』
「だぁぁぁ!分かった分かったから!!」
タチカゼはキューブの怒涛のおしゃべりマシンガンを無理矢理静止させ、ハァとため息をついた。
「その話は後で聞くから早いとこ傷治してくれよ!」
『えぇー!だってキミは瀕死にならなきゃこの【キューブコア】の中には来れないじゃあないかあ!』
「お前の声は聞こえるんだから一方的に喋ってればいいだろ!?」
『あ!なるほど!』
「いいから早くしてくれ!オッサンが危な…くもないだろうけどいいから早く!!」
『はいはい』
キューブは右手を上に上げパチンと指を鳴らす。
すると全方向暗闇だった場所の一方向から目映い光が差し込んだ。
『お客様、出口はあちらになります』
「おう!いつもサンキューな!!」
タチカゼはその光の方向に向かって走り出す
その姿を見ながら背中越しにキューブが呼び掛ける。
『ホントに大事にしたまえよ、自分の体!』
タチカゼは返事の代わりに右手を掲げて見せた。
『…ホントに大事に扱ってくれたまえ、ボクの体を、ね』
そのフードに覆われた顔の口元の端が少しだけ吊り上がった。それは不適な笑みに見えた。
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