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ぐいっ。
パラミシアと話していたら腕のところの服が引っ張られる感覚を感じ、その方向を見てみるとレトナが何とも言えない……少なくとも機嫌が良さそうには見えない表情をしていた。
んー……おかしいな?職業を変えれば普通は専用の装備に変わるはずだ。
だがレトナが来てるのはバニーのまま……つまり。
「職業が変えられなかったのか?」
「変えられなかったっていうか……迷ってる」
「迷う?」
「うん……俺が職業を変えようとすると念を押すようにコレが出るんだよ……」
そう言ってレトナが見せてきたのはわざわざここまで持ってきたらしいウインドウ画面だった。そこには【『あなたの職業は激レアです。変更した場合は元に戻すことができませんが本当に変更してしまうのですか?』】と表示されていた。
うわぁ……後半がなんだか人間っぽいねちっこい言い回しをしてやがる。まるで誰かが語り掛けてるよう……「誰か」?
この場合の「誰か」って誰になる?神……恐らく種族的な神はこの世界にいないだろう。いたとしてもゲームの登場キャラクターなだけ。
あとはあの神を自称するウルストラという女ぐらいだが、わざわざそんな回りくどいことをしようとするなら顔ぐらい出すだろう……出せないのでなければ。
だとしたら残るは……このゲームの製作者、か。
「……んで、レトナはその激レアな不遇職のまま続けるか、それを捨てて違うものにするか悩んでるのか」
「まーな。激レアで変更できなくなるなんて言われたらよぉ……でもこのままだと俺自身が何もできないってのがもどかしくてなぁ……」
レトナの性格としては前衛で戦う剣士のようなものになりたいけど、今自分が就いてる職業が超レアで手放すのが惜しいといったところ。たしかに、どんなに自分と合わないものだったとしても「今後絶対手に入れることができないレア物」なんて言われてしまったら……気持ちはわかる。
「もうそこはレトナ次第だろ。ただアドバイスじゃないけど、どうせなら今の職業を極めてから他の職業に変えるのも一つの手じゃないか?」
「そうかぁ……いや、そうだよな。せっかくの職業なら最後まで鍛えてみるのもいいかも。他のに変えるのはその後いつでもできるし」
「そうそう、ファストトラベルもできるようになったからいつでもここに帰って来れるようになったしな」
自然とそう口にするとヴェルネたちから眉をひそめられた。
「ファスト……なんて?」
「ふぁ……ファーストトラブル?」
ヴェルネは普通に聞き返すがルルアは別の言葉に変換されてしまった。何その漫画のタイトルになりそうなの……いやまぁ、そういやゲーム初心者だったら聞きなれない言葉だったか。
「『ファストトラベル』な。簡単に説明するなら一度行った場所のさらに特定の場所へ瞬間移動……転移って言った方がわかるか?一瞬で移動できる機能だ」
「何それ⁉ 凄い力じゃない……」
「とはいえ制約はあるはずだ。戦闘や特殊なイベントの最中は使えないとかな。だけどそれでもこの広い世界で時間をかけずに移動できるってのは楽でいいがな」
昨今では「オープンワールド」という広大なステージを行き来するのが多くなってきた中で、その中でもやはり億劫になるのが「移動」である。
最初はワクワクしながら進んだ道でも何かの都合で戻らなければならないことがあるのだが、その道中が長ければ長いほど面倒でしかない。父はそれを「おつかい」と呼んでいたが……言い得て妙、か?
「……ちなみにヴェルネたちは職業を変えるのか?」
「あたしは……」
ヴェルネは少し悩み、そして何かに納得したように頷く。
「そうね、あたしはちょっと変えようかしら。せっかく違うことができるんだし」
そう言ってバトルマスターに話しかけてウインドウ画面を操作するヴェルネ。
「ルルアも変える!さっき職業見てった中で面白そうなのがあったからね♪」
面白そうにそうにそう答えるルルア。何か良いものを見つけたらしい。
それでヴェルネが選択した職業は……
「……格闘家?」
レトナが彼女を見てそんな感想を口にする。そう、ヴェルネの装備はそれっぽい白い道着を着て拳から肘にかけて包帯を巻いており、額にも鉢巻を巻いていた。
よく格闘家を想像してみろと言われた時に考えるであろう服装をそのまま身に纏っている。
「意外だな、ヴェルネが選ぶなら弓とか後ろから攻撃するやつかと思ってた」
「もし現実ならそうしたかもね。でもこれって現実とは関係ないでしょ?ならあたしが不慣れな前衛をやっても問題ないってわけよ!」
「そうだな、むしろこの世界での経験を現実に生かせるかもしれない」
「……現実でも肉弾戦しろって?無茶言わないでよ……にしてもちょっとおかしいわね?」
ヴェルネがそう言って無造作に拳を振るう。
「おかしいって何が?」
「確証があるわけじゃないんだけど……体が重い気がするのよ。怠いっていうより思うように動かないような……ま、何かおかしい気がするってだけなんだけど」
「それって……」
僅かな違和感……それは俺が現実の世界からこのゲームの世界に入った時の俺に似てる物言いだ。
「多分レベルが下がったからじゃないか?」
「レベルが下がった……?」
「聞いてただろ?特定の職業を一定レベルにすれば次の職業が解放されるって。それはつまり全部の職業のレベルをそれぞれ各自上げていかなきゃならないってことだ。逆に言えばレベルを上げていない職業は――」
俺の説明を聞きながらヴェルネがウインドウ画面を操作して自分のステータスを確認し、驚いたように目を見開いていた。
そこに表示されていた彼女のレベルは……初期の「一」。当然攻撃力などの数字も低くなってしまっている。
「えっと……これってつまり……」
「違う職業にするならレベルが最初から上げ直しってことだ」
「うそぉ……」
顔を引きつらせるヴェルネ。予想してなかっただけにガッカリしてしまったようだった。
「でもそれって最初からまた楽しめるってことじゃない?ルルアはそういうの好きだよ♪」
元気付けるようにそう言ったルルアの恰好は胸部を隠した赤銅色の布とホットパンツしかない露出の高く、しかしワイルドなものだった。
そして彼女の背には身の丈よりも大きな大剣を背負っている。
「……えっ、何その……アマゾネスみたいな恰好は?何の職業になったの?」
「装備的に重戦士とかバーサーカーか?」
「うん、ルルアが選んだのは狂戦士だよ。なんか条件が揃ったから出てきた二次職みたい。大剣を軽々振り回すって書いてあったから面白そうだなーって思ったから選んでみた!」
ルルアがそう言うと背中の大剣を片手に持ち、ブンブンと振り回し始める。
最初は縦に、次に横、段々慣れてきたのか縦横無尽に振り回してその姿がなんだか様になっているように見えた。
そしてルルアはその大剣を恍惚とした表情で頬擦りする。
「この感触、『私』結構好きかもぉ……♪ね、早速この職業で遊んでみたいんだけど……時間的に厳しいかな?」
彼女に言われてふとウインドウ画面にある時間をすると「PM5:00」と書いてあった。そろそろ夕飯の良い時間か。
とはいえまだ夕飯まで少し時間はあるし、今から全員が出てく必要はないわけで……
「もう少しやりたいか?」
「「やりたーい♪」」
「……あたしはちょっと戻ろうかしら。減らしたい書類もいくらかあるし。っていうか誰かが残ることもできるの、ここ?」
ということで帰るのは俺とヴェルネ、残って遊ぶのはルルアとレトナになった。残って遊ぼうとするのが見た目子供組なのがまた……
「じゃ、俺たちは帰って夕飯の準備してるからあと一時間くらいしたら『ログアウト』って言って戻って来いよ」
「はーい♪」
「りょーかい♪」
二人の元気の良い返事を聞いて微笑み返し、次にパラミシアへ視線を向けてある。
「なぁ」
「なんだ?」
「お前は回復の魔法は使えるのか?」
「一応使える。専門じゃないからそこまで強力じゃないがな」
「それじゃあ、コイツらの子守を任せてもいいか?ルルアが職業変えたから回復役がいなくなったからな」
そう頼むとパラミシアは訝しげな表情をして睨んでくる。
「私を信用しようとでもいうのか?」
「お前には隷属化っていう前提があるからな。信用とかの以前の問題なんだよ。ただ利用してるだけだ」
「……そこまではっきり言わなくてもいいじゃない……」
パラミシアと話していたら腕のところの服が引っ張られる感覚を感じ、その方向を見てみるとレトナが何とも言えない……少なくとも機嫌が良さそうには見えない表情をしていた。
んー……おかしいな?職業を変えれば普通は専用の装備に変わるはずだ。
だがレトナが来てるのはバニーのまま……つまり。
「職業が変えられなかったのか?」
「変えられなかったっていうか……迷ってる」
「迷う?」
「うん……俺が職業を変えようとすると念を押すようにコレが出るんだよ……」
そう言ってレトナが見せてきたのはわざわざここまで持ってきたらしいウインドウ画面だった。そこには【『あなたの職業は激レアです。変更した場合は元に戻すことができませんが本当に変更してしまうのですか?』】と表示されていた。
うわぁ……後半がなんだか人間っぽいねちっこい言い回しをしてやがる。まるで誰かが語り掛けてるよう……「誰か」?
この場合の「誰か」って誰になる?神……恐らく種族的な神はこの世界にいないだろう。いたとしてもゲームの登場キャラクターなだけ。
あとはあの神を自称するウルストラという女ぐらいだが、わざわざそんな回りくどいことをしようとするなら顔ぐらい出すだろう……出せないのでなければ。
だとしたら残るは……このゲームの製作者、か。
「……んで、レトナはその激レアな不遇職のまま続けるか、それを捨てて違うものにするか悩んでるのか」
「まーな。激レアで変更できなくなるなんて言われたらよぉ……でもこのままだと俺自身が何もできないってのがもどかしくてなぁ……」
レトナの性格としては前衛で戦う剣士のようなものになりたいけど、今自分が就いてる職業が超レアで手放すのが惜しいといったところ。たしかに、どんなに自分と合わないものだったとしても「今後絶対手に入れることができないレア物」なんて言われてしまったら……気持ちはわかる。
「もうそこはレトナ次第だろ。ただアドバイスじゃないけど、どうせなら今の職業を極めてから他の職業に変えるのも一つの手じゃないか?」
「そうかぁ……いや、そうだよな。せっかくの職業なら最後まで鍛えてみるのもいいかも。他のに変えるのはその後いつでもできるし」
「そうそう、ファストトラベルもできるようになったからいつでもここに帰って来れるようになったしな」
自然とそう口にするとヴェルネたちから眉をひそめられた。
「ファスト……なんて?」
「ふぁ……ファーストトラブル?」
ヴェルネは普通に聞き返すがルルアは別の言葉に変換されてしまった。何その漫画のタイトルになりそうなの……いやまぁ、そういやゲーム初心者だったら聞きなれない言葉だったか。
「『ファストトラベル』な。簡単に説明するなら一度行った場所のさらに特定の場所へ瞬間移動……転移って言った方がわかるか?一瞬で移動できる機能だ」
「何それ⁉ 凄い力じゃない……」
「とはいえ制約はあるはずだ。戦闘や特殊なイベントの最中は使えないとかな。だけどそれでもこの広い世界で時間をかけずに移動できるってのは楽でいいがな」
昨今では「オープンワールド」という広大なステージを行き来するのが多くなってきた中で、その中でもやはり億劫になるのが「移動」である。
最初はワクワクしながら進んだ道でも何かの都合で戻らなければならないことがあるのだが、その道中が長ければ長いほど面倒でしかない。父はそれを「おつかい」と呼んでいたが……言い得て妙、か?
「……ちなみにヴェルネたちは職業を変えるのか?」
「あたしは……」
ヴェルネは少し悩み、そして何かに納得したように頷く。
「そうね、あたしはちょっと変えようかしら。せっかく違うことができるんだし」
そう言ってバトルマスターに話しかけてウインドウ画面を操作するヴェルネ。
「ルルアも変える!さっき職業見てった中で面白そうなのがあったからね♪」
面白そうにそうにそう答えるルルア。何か良いものを見つけたらしい。
それでヴェルネが選択した職業は……
「……格闘家?」
レトナが彼女を見てそんな感想を口にする。そう、ヴェルネの装備はそれっぽい白い道着を着て拳から肘にかけて包帯を巻いており、額にも鉢巻を巻いていた。
よく格闘家を想像してみろと言われた時に考えるであろう服装をそのまま身に纏っている。
「意外だな、ヴェルネが選ぶなら弓とか後ろから攻撃するやつかと思ってた」
「もし現実ならそうしたかもね。でもこれって現実とは関係ないでしょ?ならあたしが不慣れな前衛をやっても問題ないってわけよ!」
「そうだな、むしろこの世界での経験を現実に生かせるかもしれない」
「……現実でも肉弾戦しろって?無茶言わないでよ……にしてもちょっとおかしいわね?」
ヴェルネがそう言って無造作に拳を振るう。
「おかしいって何が?」
「確証があるわけじゃないんだけど……体が重い気がするのよ。怠いっていうより思うように動かないような……ま、何かおかしい気がするってだけなんだけど」
「それって……」
僅かな違和感……それは俺が現実の世界からこのゲームの世界に入った時の俺に似てる物言いだ。
「多分レベルが下がったからじゃないか?」
「レベルが下がった……?」
「聞いてただろ?特定の職業を一定レベルにすれば次の職業が解放されるって。それはつまり全部の職業のレベルをそれぞれ各自上げていかなきゃならないってことだ。逆に言えばレベルを上げていない職業は――」
俺の説明を聞きながらヴェルネがウインドウ画面を操作して自分のステータスを確認し、驚いたように目を見開いていた。
そこに表示されていた彼女のレベルは……初期の「一」。当然攻撃力などの数字も低くなってしまっている。
「えっと……これってつまり……」
「違う職業にするならレベルが最初から上げ直しってことだ」
「うそぉ……」
顔を引きつらせるヴェルネ。予想してなかっただけにガッカリしてしまったようだった。
「でもそれって最初からまた楽しめるってことじゃない?ルルアはそういうの好きだよ♪」
元気付けるようにそう言ったルルアの恰好は胸部を隠した赤銅色の布とホットパンツしかない露出の高く、しかしワイルドなものだった。
そして彼女の背には身の丈よりも大きな大剣を背負っている。
「……えっ、何その……アマゾネスみたいな恰好は?何の職業になったの?」
「装備的に重戦士とかバーサーカーか?」
「うん、ルルアが選んだのは狂戦士だよ。なんか条件が揃ったから出てきた二次職みたい。大剣を軽々振り回すって書いてあったから面白そうだなーって思ったから選んでみた!」
ルルアがそう言うと背中の大剣を片手に持ち、ブンブンと振り回し始める。
最初は縦に、次に横、段々慣れてきたのか縦横無尽に振り回してその姿がなんだか様になっているように見えた。
そしてルルアはその大剣を恍惚とした表情で頬擦りする。
「この感触、『私』結構好きかもぉ……♪ね、早速この職業で遊んでみたいんだけど……時間的に厳しいかな?」
彼女に言われてふとウインドウ画面にある時間をすると「PM5:00」と書いてあった。そろそろ夕飯の良い時間か。
とはいえまだ夕飯まで少し時間はあるし、今から全員が出てく必要はないわけで……
「もう少しやりたいか?」
「「やりたーい♪」」
「……あたしはちょっと戻ろうかしら。減らしたい書類もいくらかあるし。っていうか誰かが残ることもできるの、ここ?」
ということで帰るのは俺とヴェルネ、残って遊ぶのはルルアとレトナになった。残って遊ぼうとするのが見た目子供組なのがまた……
「じゃ、俺たちは帰って夕飯の準備してるからあと一時間くらいしたら『ログアウト』って言って戻って来いよ」
「はーい♪」
「りょーかい♪」
二人の元気の良い返事を聞いて微笑み返し、次にパラミシアへ視線を向けてある。
「なぁ」
「なんだ?」
「お前は回復の魔法は使えるのか?」
「一応使える。専門じゃないからそこまで強力じゃないがな」
「それじゃあ、コイツらの子守を任せてもいいか?ルルアが職業変えたから回復役がいなくなったからな」
そう頼むとパラミシアは訝しげな表情をして睨んでくる。
「私を信用しようとでもいうのか?」
「お前には隷属化っていう前提があるからな。信用とかの以前の問題なんだよ。ただ利用してるだけだ」
「……そこまではっきり言わなくてもいいじゃない……」
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