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買い物してる間の別行動
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「おぉ、スゲー……!」
バトルマスターがいるとされる町に到着した俺たちだったが、それ以上の情報がなかったため手探りで探している最中に巨大な建造物を見つけ、俺以外全員が唖然としていた。
それもそうだろう。俺の故郷でも滅多に見ないほどの近未来的な高層ビルが目の前に建っているのだから。正直俺もこんなもの見せられたらちょっとワクワクしてしまう。
「ここってどんな場所?」
「うーん……『森羅デパート?』」
近くにあった案内板に書かれていた文字を読み上げる。
「なんだ、シンラデパートって?」
「さぁ……?」
「デパートって何かもわからないんだけど……カズはこれが何かわかる?」
異世界に「デパート」という言葉がないらしく、ヴェルネたちは全員混乱していた。
「簡単に言えば色んなものが種類問わずまとめて買える店だよ。俺の世界には至るところにある珍しくもない建物だ……ここまで大きなのはないけど」
まるで高層ビルみたいに雲まで届くほどのバカげた高さがあるアパートなんて俺は知らんからな。
「とりあえず入ってみるか?見るだけでも何か買うにしてもさ」
「「さんせーい!」」
俺の案にルルアとレトナが手を上げて喜ぶ。
偏見になるが女性と言ったら買い物が好きってイメージがあったし、たまには現実や目的を忘れて好きなことをしてもいいだろう。
……と、俺の考えは合っていたようで、ちょっと考え事をしてる間に彼女たちはいなくなってしまっていた。
「……判断が早い」
よく恋人になると男が女の買い物に付き合わせられるって話を聞くけれど、俺の場合は特にそんなこともなく蚊帳の外にされたってわけだ。
「寂しさ……は別にねぇか」
騒ぐのも嫌いじゃないが、一人で行動するのも結構好きなんだ俺は。
彼女たちが買い物に夢中になってる間に俺も俺で行動させてもらおう。
……死が死ではないこの世界には彼女たちを脅かすものは何もないことだしな。
「……とはいえ、一人で何するって話だよなぁ」
目的としてるバトルマスターを一人で探し出して後でヴェルネたちに教えるって方法もあるが……それだと面白くないだろうからやめておこう。
でもそうすると何をしようか……
そう思っていると目の前にウィンドウ画面が突然現れる。
【現実世界で呼び出しがありました。ホストのみログアウトしますか?】
……どうやらタイムリーな呼び出しがあったらしい。しかもホストのみってことは遊んでるヴェルネたちはそのままで俺だけがゲームを抜け出せるってことだ。
「だったら『YES』と」
画面の選択肢を選び、目の前が暗くなる。
――――
―――
――
―
「それで?裏ギルドが昼間に呼び出しって珍しいな。しかも俺だけ」
呼び出し先は裏ギルドのリーシアだった。
「えぇ、本来なら裏ギルドは昼間は休業するものよ。暗殺する者たちが明るい昼間から活動するなんて滑稽なのだろうけど……でも所詮あたしたちも仕事をする人間ってわけで……いえ、そんなことはどうでもいい。今すぐにどうという火急を要する話ではないのだけど、あなたに話があって呼び出したの」
「話?」
「そう、話。あなた……ついこの前人間と事を起こしたでしょ?」
うん、起こしたね。数日前にやってきた人間とやり合ったし、原因となった人間のいる町に攻め込んだね。
「それがどうかしたのか?」
「そこで人間を何人か殺したでしょ。その人間がまずかったみたいでね、人間側の暗殺者たちが動き出してるって情報が入ったのよ。いえ、暗殺者だけじゃない、人間の種族全体が魔族に対して不信感や戦意といったものを向けてるの。これが何を意味するかわかる?」
人間が魔族に敵意を剥き出しにしてるのは今に始まったことでもないだろ……って言おうとしたが、彼女がそういうことを言いたいわけじゃないだろうからそれは口には出さないでおく。
「細かいところはわからんけど……ま、戦争でも起きそうな言い方だな」
「わかってるじゃない。そう、戦争。それも町や国同士で起きるような小競り合いではなく種族同士の正真正銘の戦争が起きるわ。それがあなたの手によって」
「イジメてくれるなよ。どの道あの人間たちの強欲さだったらいつかは起きる出来事だ。それが少し早まっただけだろうよ」
「酷いな、まるで他人事じゃない。これから数十万か数千万か……そんな大規模な人数が死ぬことになるかもしれないのに」
軽蔑するような言葉を口にしつつもリーシアも淡々とした様子だった。
「お互いにな。きっと殺し過ぎたんだろうよ。それに俺も数回くらいは戦争に参加した経験もあるし」
「数回?大きな戦争は二十年くらい前に一回あっただけのはずだけど……あなたってそんなに生きていないでしょう?そもそもあなたみたいな強さの人間が戦争に参加しようものならその名前くらい聞いてたはずだし」
しまった……ヴェルネたちと話す調子で向こうの世界の話をつい持ち出しちまった。何かで話を逸らそ……
「ハハハ、だったら俺の行動は成功だったってわけだ。それよりも何かさせるためにこのタイミングで俺を呼んだ理由があるんだろ?」
上手く話を逸らせたらしく、リーシアは笑って一枚の紙をテーブルに出した。
「……ハハッ、暗殺者の暗殺て。下手なギャグより面白いな?」
「笑う余裕があるならその依頼を受けてくれるってことでいいんだな?」
皮肉を言ってリーシアへ向けていた目を依頼の詳細が書かれた内容に今一度向ける。
――【人族の暗殺者全討伐。残党を残してはならない。人目に付いてはいけない。完全な依頼の遂行時のみに報酬が支払われる。裏ギルド長リーシア】
「……依頼の完遂。しかも依頼者はあんた」
「そうさね。しかも報酬はあたしの自腹を含めてかなりの多額……さらには一週間、あたしを自由にしていい権利!これほど破格的な報酬があるかい?」
「お前ぇ……俺に彼女がいるって知っててこの報酬を提示してるだろ?」
そう言うとリーシアはヒヒヒと悪戯をした子供のように笑った。確信犯ってやつだなこりゃ……
だったらちょっとからかってやるか。
「……なら少し条件を付け加えてくれよ」
「ん?条件って……」
「あんたを自由にするって話。まず期間、最低二週間だ。どれだけ伸ばすかはあんたが決めろ。それとそのタイミングは俺が決める。この二つだ」
「それって……⁉」
何を驚いているのか、リーシアは頬を赤らめる。
……なんて、わかってて言ったんだけど。残念ながらそんな薄い本みたいな展開はないがな。
バトルマスターがいるとされる町に到着した俺たちだったが、それ以上の情報がなかったため手探りで探している最中に巨大な建造物を見つけ、俺以外全員が唖然としていた。
それもそうだろう。俺の故郷でも滅多に見ないほどの近未来的な高層ビルが目の前に建っているのだから。正直俺もこんなもの見せられたらちょっとワクワクしてしまう。
「ここってどんな場所?」
「うーん……『森羅デパート?』」
近くにあった案内板に書かれていた文字を読み上げる。
「なんだ、シンラデパートって?」
「さぁ……?」
「デパートって何かもわからないんだけど……カズはこれが何かわかる?」
異世界に「デパート」という言葉がないらしく、ヴェルネたちは全員混乱していた。
「簡単に言えば色んなものが種類問わずまとめて買える店だよ。俺の世界には至るところにある珍しくもない建物だ……ここまで大きなのはないけど」
まるで高層ビルみたいに雲まで届くほどのバカげた高さがあるアパートなんて俺は知らんからな。
「とりあえず入ってみるか?見るだけでも何か買うにしてもさ」
「「さんせーい!」」
俺の案にルルアとレトナが手を上げて喜ぶ。
偏見になるが女性と言ったら買い物が好きってイメージがあったし、たまには現実や目的を忘れて好きなことをしてもいいだろう。
……と、俺の考えは合っていたようで、ちょっと考え事をしてる間に彼女たちはいなくなってしまっていた。
「……判断が早い」
よく恋人になると男が女の買い物に付き合わせられるって話を聞くけれど、俺の場合は特にそんなこともなく蚊帳の外にされたってわけだ。
「寂しさ……は別にねぇか」
騒ぐのも嫌いじゃないが、一人で行動するのも結構好きなんだ俺は。
彼女たちが買い物に夢中になってる間に俺も俺で行動させてもらおう。
……死が死ではないこの世界には彼女たちを脅かすものは何もないことだしな。
「……とはいえ、一人で何するって話だよなぁ」
目的としてるバトルマスターを一人で探し出して後でヴェルネたちに教えるって方法もあるが……それだと面白くないだろうからやめておこう。
でもそうすると何をしようか……
そう思っていると目の前にウィンドウ画面が突然現れる。
【現実世界で呼び出しがありました。ホストのみログアウトしますか?】
……どうやらタイムリーな呼び出しがあったらしい。しかもホストのみってことは遊んでるヴェルネたちはそのままで俺だけがゲームを抜け出せるってことだ。
「だったら『YES』と」
画面の選択肢を選び、目の前が暗くなる。
――――
―――
――
―
「それで?裏ギルドが昼間に呼び出しって珍しいな。しかも俺だけ」
呼び出し先は裏ギルドのリーシアだった。
「えぇ、本来なら裏ギルドは昼間は休業するものよ。暗殺する者たちが明るい昼間から活動するなんて滑稽なのだろうけど……でも所詮あたしたちも仕事をする人間ってわけで……いえ、そんなことはどうでもいい。今すぐにどうという火急を要する話ではないのだけど、あなたに話があって呼び出したの」
「話?」
「そう、話。あなた……ついこの前人間と事を起こしたでしょ?」
うん、起こしたね。数日前にやってきた人間とやり合ったし、原因となった人間のいる町に攻め込んだね。
「それがどうかしたのか?」
「そこで人間を何人か殺したでしょ。その人間がまずかったみたいでね、人間側の暗殺者たちが動き出してるって情報が入ったのよ。いえ、暗殺者だけじゃない、人間の種族全体が魔族に対して不信感や戦意といったものを向けてるの。これが何を意味するかわかる?」
人間が魔族に敵意を剥き出しにしてるのは今に始まったことでもないだろ……って言おうとしたが、彼女がそういうことを言いたいわけじゃないだろうからそれは口には出さないでおく。
「細かいところはわからんけど……ま、戦争でも起きそうな言い方だな」
「わかってるじゃない。そう、戦争。それも町や国同士で起きるような小競り合いではなく種族同士の正真正銘の戦争が起きるわ。それがあなたの手によって」
「イジメてくれるなよ。どの道あの人間たちの強欲さだったらいつかは起きる出来事だ。それが少し早まっただけだろうよ」
「酷いな、まるで他人事じゃない。これから数十万か数千万か……そんな大規模な人数が死ぬことになるかもしれないのに」
軽蔑するような言葉を口にしつつもリーシアも淡々とした様子だった。
「お互いにな。きっと殺し過ぎたんだろうよ。それに俺も数回くらいは戦争に参加した経験もあるし」
「数回?大きな戦争は二十年くらい前に一回あっただけのはずだけど……あなたってそんなに生きていないでしょう?そもそもあなたみたいな強さの人間が戦争に参加しようものならその名前くらい聞いてたはずだし」
しまった……ヴェルネたちと話す調子で向こうの世界の話をつい持ち出しちまった。何かで話を逸らそ……
「ハハハ、だったら俺の行動は成功だったってわけだ。それよりも何かさせるためにこのタイミングで俺を呼んだ理由があるんだろ?」
上手く話を逸らせたらしく、リーシアは笑って一枚の紙をテーブルに出した。
「……ハハッ、暗殺者の暗殺て。下手なギャグより面白いな?」
「笑う余裕があるならその依頼を受けてくれるってことでいいんだな?」
皮肉を言ってリーシアへ向けていた目を依頼の詳細が書かれた内容に今一度向ける。
――【人族の暗殺者全討伐。残党を残してはならない。人目に付いてはいけない。完全な依頼の遂行時のみに報酬が支払われる。裏ギルド長リーシア】
「……依頼の完遂。しかも依頼者はあんた」
「そうさね。しかも報酬はあたしの自腹を含めてかなりの多額……さらには一週間、あたしを自由にしていい権利!これほど破格的な報酬があるかい?」
「お前ぇ……俺に彼女がいるって知っててこの報酬を提示してるだろ?」
そう言うとリーシアはヒヒヒと悪戯をした子供のように笑った。確信犯ってやつだなこりゃ……
だったらちょっとからかってやるか。
「……なら少し条件を付け加えてくれよ」
「ん?条件って……」
「あんたを自由にするって話。まず期間、最低二週間だ。どれだけ伸ばすかはあんたが決めろ。それとそのタイミングは俺が決める。この二つだ」
「それって……⁉」
何を驚いているのか、リーシアは頬を赤らめる。
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