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強引な女の子

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 ルルアちゃんたちと出会った後、ユースティックとミミィとそれぞれ名乗った大きな体の男の人とルルアちゃんとは違う金色の髪型をお姉さんと出会った。
 なぜかルルアちゃんが抱き着いたまま離れようとしなくて、「お兄ちゃんとはいつもこうしてたから気にしないで♪」と言われて許してしまっていた。

「お兄さん背が大きいね!うちのお父さんと同じくらい!」

 つい興奮してしまってそう言うと、ユースティックさんが照れた様子で困っていた。それに実力もお父さんほどじゃないけど結構強そうな感じがする。

「ハハハ、本当に子供になっちまったんだな?」

「カズさんが子供に……」

 僕よりずっと年上なはずのユースティックさんが肩を組んで気軽に話しかけてくる。
 そしてミミィさんは何を思ったのかしゃがんで僕と目線を合わせてしばらく見つめてきて、自分の服をズラして胸の谷間を見せてきた。

「な、何⁉」

「子供相手に何をしてるんだ、お前は……?」

「前にカズさんを誘惑した時は見向きもされなかったけど、今ならどうかなって?そしたら子供になったカズさんはちゃんと効いてくれたみたいなので女性としての自信を少し取り戻しました♪」

「お前なぁ……」

 ミミィさんは大人の僕に怨みでもあるのか……少なくとも何かしたのは間違いないらしい。
 満足したミミィさんがその場からいなくなり、ユースティックさんも僕相手にミミィさんのことで謝ってからいなくなった。
 ……それにしても今の人たち、僕が大人になったって言ってもそんなに驚いたり心配してなかったな。大人の僕とはそんなに仲良くはなかったりするのかな……?

――――
―――
――


「嫌だァァァァァッ⁉」

 僕はあることから全力で逃げようと抵抗しようとしていた。
 それをルルアちゃんが凄まじい怪力でしっかり掴んで逃がそうとしてくれない。

「ダメだよ、ちゃんとお風呂入らないと。お姉さんたちと一緒に入りましょうねー、お兄ちゃん♪」

 僕のことを「お兄ちゃん」と呼びながら自分のことを「お姉さん」と呼ぶというややこしい状態。
 それはそれとして女の子たちと裸でお風呂に入るなんて冗談じゃない!!

「一人でもちゃんと入れるから!というかなんでこんなに力強いの⁉」

「だってルルアは吸血鬼だもん。人間の大人の力より強いんだから!」

 そう言って米俵みたいに僕を肩に担いで持ち運び始めた。見た目なんて僕より細いのに凄まじい力だ……
 するとまず向かったのはヴェルネお姉ちゃんがいる部屋だった。中にはレトナちゃんも一緒にいる。

「ヴェルネお姉様とレトナも一緒にお風呂入ろー!」

「……何その状態。もしかしてカズも一緒に入れようとしてる?」

「そだよー♪」

「いや、カズが子供になったとしても恥ずかしいんだけど……」

 ヴェルネお姉ちゃんが呆れた表情をして、レトナちゃんが言葉通り恥ずかしがる。
 ここは便乗させてもらおう……!

「そうだよ!入るならジークさんとかユースティックさんだっているでしょ?それに同い年っぽいジルも……」

「ジークはマヤルと一緒に仕事に出たわ。ユースティックは元々雇ってるだけの奴だからもう帰ったし、ジルはまだ庭でディールと鍛錬しに行ってるんじゃない?」

「な、なら僕もジルと一緒に鍛錬を――」

「ダメ~♪」

 ルルアちゃんの力が緩んだ隙に抜け出して逃げようとしてみたのだけれども、部屋の出入り口に向かう途中でアメフトの人みたいなタックルを背中からもろに食らって即座に掴まってしまった。力だけかと思ったら速さでも負けてしまった……
 これが吸血鬼って種族なのか?そう思いながら僕はルルアちゃんから逃亡するのを半ば諦めたのだった。
 そう、「半ば」。せめてヴェルネお姉ちゃんやレトナちゃんがまともなら二人とも反対してくれるはず……

「ま、ちょうどお風呂入ろうとしてたからいいんじゃない?」

「「いいのかよ⁉」」

 僕とレトナのセリフが被り、互いの顔を見る。

「普通こういうのって嫌な人が一人でもいたらやめるんじゃないの?イジメになるぞ」

「お兄ちゃんは嫌とは言わないんだね?」

「最初から言っているが?」

 少しでも隙を見せたら揚げ足を取ろうとするルルアちゃんに僕は思わず溜め息が零れた。

「でもレトナだってお兄ちゃんとお風呂に入るのはあくまで恥ずかしいだけで、嫌ってわけじゃないもんね?」

「え……」

 「恥ずかしいけど嫌じゃない」……この中で一番「女の子」をしていたと思っていたレトナちゃんの様子を見ると、顔を赤くしながらも否定はしない。それどころか……
 ……そういえば彼女の種族は――

「そりゃ嫌いな相手ってわけでもないし……一応キスとかはしたことあったし?ルルアみたいに積極的な行動はできないけど、せっかくなら恋人らしくその先も……なんて考えはたしかにありますけども?」

 ――サキュバスだ。
 恥ずかしさを隠すためか最後に敬語っぽい喋り方でそう言うレトナちゃん。その表情は頬を赤らめながらも獲物を狙うように鋭い目で横目に僕を見つめてきていた。
 彼女の吸い込まれるような目に見られた僕の体は不思議な熱を発した。
 あぁ、もう逃げられそうにないかも……
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