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オワリ
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その瞬間は誰もが恐怖した。
ただ大きく開かれた巨大な口が建物も地面も人も、あるもの全てを丸飲みにしようとする理不尽で無慈悲な光景。
そしてその通りにシャルアたちがいた場所は丸ごと飲み込まれて消えてしまう。
「おぉ~、今のは本当に危なかったね☆」
しかしシャルアはその身体能力の高さでカンナを抱えながら移動して回避していた。
「た、助かったシャルア。しかしお前の今の動き……まさかこの短期間で腕をかなり上げたのか?」
「どうかな?たしかに強くなろうとはしてるけど、でもそれよりもなんかこう……今物凄く胸が熱いんだ☆」
彼女に助けられたことに驚くカンナに対してシャルアは彼女を下ろしながら笑って竜のカズを見上げ、大剣を強く握り締める。
「待てシャルア、まさかまた挑むつもりか?」
そう言って止める気でいるカンナだが、その言葉はシャルアには届いておらず返答がないまま竜と向き合っていた。
――逃げなくていいのに。君の奪われた自由をただ奪い返してあげようとしただけなんだから。
「ッ……!」
再び彼女たちの脳内に直接聞こえてくる少年の声。それはまるで竜から聞こえてきているようだった。
「それって私を殺すって意味でしょ?さっきのおじさんたちみたいに。それよりもあなたは何なのかな?その変な体ってカズって人間のじゃないの?」
――そうだよ。でもこれは僕の体でもある。僕は彼であり、彼は僕でもある。だから「僕ら」から奪うのは許さない。
至近距離まで近づいていた竜は再び浮き上がり、視線を別の方向へ向ける。
最初はその行動に首を傾げたシャルアだったが、すぐに彼が見ている方向に何があるのかを察して同じ方角を見た。
その方向には大きな城、王城が立っており、その方角を向いていた竜の頬が膨らむ。何かしようとしているのは一目瞭然だった。
「あ、間に合わないや」
軽く、何でもないような平然とした諦めの声でシャルアがそう言うと、竜は口から王城に向かって何かを吐き出した。
吐き出されたものは勢いよく城の内部へと入り込む。
「な、何事だ⁉ 外の化け物の攻撃か⁉」
そこにはちょうど王などがいる広間だった。
不幸中の幸いと言うべきか、その場には王である男性と王妃である女性、そして警護をしていた者数人がいた程度で怪我人は出ていなかった。
そして彼らが城に撃ち込まれた場所を確認しようと近付く。
爆発物の類か、それとも魔法だったのか……しかし爆発の衝撃で巻き上げられた煙の中に何かの丸い影が見えていた。それが不発弾かどうかを確認しようとした彼らの目にはおぞましい光景がそこにあった。
「ひっ⁉」
一番先にその正体を見てしまった若い兵が顔を恐怖で歪ませ、その場で尻餅を突いてしまう。そして他の者たちも煙が晴れて見えるようになってからは次々と悲鳴が上がる。
「ッ……これは人間……しかもこの城の騎士団が……」
城の王が顔を引きつらせて団子状に丸められた騎士団を見てその場が騒然となり、王の横にいた王妃はそのグロテスクな光景に耐えられず気を失ってしまう。
あまりの出来事に王は座っていた椅子から離れ、団子状になった騎士団の横を通り過ぎて空いた壁の近くに立って景色を眺める。
「王よ、危険ですのでお下がりくださいっ……!」
「……アレは神か?我々は神を怒らせたとでもいうのか?」
「「…………」」
王の言葉に誰も言葉で返そうとしなかった。
神のような神々しさと同時に畏怖を感じさせる雰囲気を纏い、人間たちを団子にしてしまう凶行を目の当たりにしていた彼らにとってどういう存在なのか判断できずにいた。
だが少なくとも彼らにとって常識外の存在であることには違いなかった。
そしてついには彼らにも「声」が届く。
――奪うのは許さない。
「「「……ッ!?」」」
突然頭の中に響く声にやはり全員が驚愕する。
「奪う……奪うとは何を――」
――僕から何か一つでも奪おうとするなら、例えそれが神であっても……
少年の声は冷たくそう言い放つと竜は再び口を膨らませる。今度は飲み込んだ人間を吐き出そうとしているのではなく、口の中に黒い炎が見えたことからブレス系を放とうとしているのが予想できた。
そんな竜の行動を見て唯一警備兵の青年が「あっ……」と諦めの声を漏らす。
その場にいた全員が「死」を連想した次の瞬間、ブレスを吐こうとしていた竜の頭が突然何かの衝撃を受けたかのように上へと打ち上げられ、黒い炎が何もない空へと放たれた。
「上を向いた?……俺たちを攻撃しようとしたんじゃないのか?」
「あれは……勇者か!」
遠目にハッキリ見えたわけではなく、しかし宙を跳ぶ金色に輝く少女の姿が見えた。
――――
―――
――
―
ほんの少し時間を遡ってシャルアたちが王城への攻撃を目撃した直後。
「……あれ、意外と無事そうだね。お城丸ごと消し飛ぶと思ったのに」
「縁起でもないことを言うんじゃない……とはいえ、ワシも同じことを思ったが」
――奪うのは許さない。
「……?奪う?」
「あの人は何かを奪われたから怒ってるのかな?……あ」
竜の口の中で黒い炎を溜め始めたことに気付いたシャルアが声を漏らす。
――僕から何か一つでも奪おうとするなら、例えそれが神であっても……
「おい……今度こそ確実にヤバイ攻撃を城に撃とうとしてやがるぞ!」
「じゃ、やるしかないね☆」
シャルアがそう言うと突然眩く光り始め、髪が金色に変わって伸びる。
「シャル、ア……?」
カンナが彼女の変化を問いかける前にシャルアは地面が陥没するほどの勢いで跳躍し、一瞬で竜の顔下に辿り着いた。
そんな彼女の体の光が手に持つ大剣に収束し、その側面で勢いよく殴り付けたのだった。
殴られ仰け反り空に向かって黒い炎を吐き出した竜はゆっくりと正面を向き、宙に立つシャルアを見つめる。
「さっきは油断したけど、今度は行ける気がするぞ☆」
そう言ってウィンクし、挑発するように大剣を竜に向けるシャルア。
そんな彼女を警戒するように竜は唸るが、すぐに唸りを収めてシャルアを静かに見つめ返す。
撒き散らすように発していた明確な敵意や殺意がいつの間にか消えていたことにシャルアが首を傾げ、竜は静かに目をつぶる。
――もう少し楽しみたかったけど、もう時間みたい。だから最後にこの町の人たちに「プレゼント」だけ残していくね。
悲しげな少年の声。
だがその何気ない「プレゼント」という発言がシャルアの警戒を高めた。何か攻撃をする比喩なのではと。
彼女の予想は外れではなかった。しかしその後に竜がとった行動は――
――バンッ‼
強い破裂音と共に竜は破裂した。
「……え?」
ただ大きく開かれた巨大な口が建物も地面も人も、あるもの全てを丸飲みにしようとする理不尽で無慈悲な光景。
そしてその通りにシャルアたちがいた場所は丸ごと飲み込まれて消えてしまう。
「おぉ~、今のは本当に危なかったね☆」
しかしシャルアはその身体能力の高さでカンナを抱えながら移動して回避していた。
「た、助かったシャルア。しかしお前の今の動き……まさかこの短期間で腕をかなり上げたのか?」
「どうかな?たしかに強くなろうとはしてるけど、でもそれよりもなんかこう……今物凄く胸が熱いんだ☆」
彼女に助けられたことに驚くカンナに対してシャルアは彼女を下ろしながら笑って竜のカズを見上げ、大剣を強く握り締める。
「待てシャルア、まさかまた挑むつもりか?」
そう言って止める気でいるカンナだが、その言葉はシャルアには届いておらず返答がないまま竜と向き合っていた。
――逃げなくていいのに。君の奪われた自由をただ奪い返してあげようとしただけなんだから。
「ッ……!」
再び彼女たちの脳内に直接聞こえてくる少年の声。それはまるで竜から聞こえてきているようだった。
「それって私を殺すって意味でしょ?さっきのおじさんたちみたいに。それよりもあなたは何なのかな?その変な体ってカズって人間のじゃないの?」
――そうだよ。でもこれは僕の体でもある。僕は彼であり、彼は僕でもある。だから「僕ら」から奪うのは許さない。
至近距離まで近づいていた竜は再び浮き上がり、視線を別の方向へ向ける。
最初はその行動に首を傾げたシャルアだったが、すぐに彼が見ている方向に何があるのかを察して同じ方角を見た。
その方向には大きな城、王城が立っており、その方角を向いていた竜の頬が膨らむ。何かしようとしているのは一目瞭然だった。
「あ、間に合わないや」
軽く、何でもないような平然とした諦めの声でシャルアがそう言うと、竜は口から王城に向かって何かを吐き出した。
吐き出されたものは勢いよく城の内部へと入り込む。
「な、何事だ⁉ 外の化け物の攻撃か⁉」
そこにはちょうど王などがいる広間だった。
不幸中の幸いと言うべきか、その場には王である男性と王妃である女性、そして警護をしていた者数人がいた程度で怪我人は出ていなかった。
そして彼らが城に撃ち込まれた場所を確認しようと近付く。
爆発物の類か、それとも魔法だったのか……しかし爆発の衝撃で巻き上げられた煙の中に何かの丸い影が見えていた。それが不発弾かどうかを確認しようとした彼らの目にはおぞましい光景がそこにあった。
「ひっ⁉」
一番先にその正体を見てしまった若い兵が顔を恐怖で歪ませ、その場で尻餅を突いてしまう。そして他の者たちも煙が晴れて見えるようになってからは次々と悲鳴が上がる。
「ッ……これは人間……しかもこの城の騎士団が……」
城の王が顔を引きつらせて団子状に丸められた騎士団を見てその場が騒然となり、王の横にいた王妃はそのグロテスクな光景に耐えられず気を失ってしまう。
あまりの出来事に王は座っていた椅子から離れ、団子状になった騎士団の横を通り過ぎて空いた壁の近くに立って景色を眺める。
「王よ、危険ですのでお下がりくださいっ……!」
「……アレは神か?我々は神を怒らせたとでもいうのか?」
「「…………」」
王の言葉に誰も言葉で返そうとしなかった。
神のような神々しさと同時に畏怖を感じさせる雰囲気を纏い、人間たちを団子にしてしまう凶行を目の当たりにしていた彼らにとってどういう存在なのか判断できずにいた。
だが少なくとも彼らにとって常識外の存在であることには違いなかった。
そしてついには彼らにも「声」が届く。
――奪うのは許さない。
「「「……ッ!?」」」
突然頭の中に響く声にやはり全員が驚愕する。
「奪う……奪うとは何を――」
――僕から何か一つでも奪おうとするなら、例えそれが神であっても……
少年の声は冷たくそう言い放つと竜は再び口を膨らませる。今度は飲み込んだ人間を吐き出そうとしているのではなく、口の中に黒い炎が見えたことからブレス系を放とうとしているのが予想できた。
そんな竜の行動を見て唯一警備兵の青年が「あっ……」と諦めの声を漏らす。
その場にいた全員が「死」を連想した次の瞬間、ブレスを吐こうとしていた竜の頭が突然何かの衝撃を受けたかのように上へと打ち上げられ、黒い炎が何もない空へと放たれた。
「上を向いた?……俺たちを攻撃しようとしたんじゃないのか?」
「あれは……勇者か!」
遠目にハッキリ見えたわけではなく、しかし宙を跳ぶ金色に輝く少女の姿が見えた。
――――
―――
――
―
ほんの少し時間を遡ってシャルアたちが王城への攻撃を目撃した直後。
「……あれ、意外と無事そうだね。お城丸ごと消し飛ぶと思ったのに」
「縁起でもないことを言うんじゃない……とはいえ、ワシも同じことを思ったが」
――奪うのは許さない。
「……?奪う?」
「あの人は何かを奪われたから怒ってるのかな?……あ」
竜の口の中で黒い炎を溜め始めたことに気付いたシャルアが声を漏らす。
――僕から何か一つでも奪おうとするなら、例えそれが神であっても……
「おい……今度こそ確実にヤバイ攻撃を城に撃とうとしてやがるぞ!」
「じゃ、やるしかないね☆」
シャルアがそう言うと突然眩く光り始め、髪が金色に変わって伸びる。
「シャル、ア……?」
カンナが彼女の変化を問いかける前にシャルアは地面が陥没するほどの勢いで跳躍し、一瞬で竜の顔下に辿り着いた。
そんな彼女の体の光が手に持つ大剣に収束し、その側面で勢いよく殴り付けたのだった。
殴られ仰け反り空に向かって黒い炎を吐き出した竜はゆっくりと正面を向き、宙に立つシャルアを見つめる。
「さっきは油断したけど、今度は行ける気がするぞ☆」
そう言ってウィンクし、挑発するように大剣を竜に向けるシャルア。
そんな彼女を警戒するように竜は唸るが、すぐに唸りを収めてシャルアを静かに見つめ返す。
撒き散らすように発していた明確な敵意や殺意がいつの間にか消えていたことにシャルアが首を傾げ、竜は静かに目をつぶる。
――もう少し楽しみたかったけど、もう時間みたい。だから最後にこの町の人たちに「プレゼント」だけ残していくね。
悲しげな少年の声。
だがその何気ない「プレゼント」という発言がシャルアの警戒を高めた。何か攻撃をする比喩なのではと。
彼女の予想は外れではなかった。しかしその後に竜がとった行動は――
――バンッ‼
強い破裂音と共に竜は破裂した。
「……え?」
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