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犬猿の仲ならぬ猫狼の仲
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シルフラも無事(?)に目を覚まし、俺たちは目的地となる猫族の里へと辿り着いていた。
のだが……
「魔狼族と人間を連れてくるとは一体何を考えているんだ、シルフラ⁉」
「ち、違う!」
現在進行形で俺たちは敵意Maxの猫族に取り囲まれてしまっていた。
「この人間が族長の言ってた私たちを助けてくれる人間!」
「じゃあ他の奴らは?ただでさえ人間に頼るなどしたくないというのに……!」
「おい人間、なぜ余計な者を連れて来た?」
なんでって言われてもなぁ……
「今まで魔族領からまともに出たことなんてなかったから、ちょっとついでに旅行でも……と思って?」
「ふざけやがって!なぜこんな奴に頼らなければならないんだ……」
「おい、人間以外は牢屋に放り込んでおけ!特に魔狼族のガキには遠慮しなくていい。手足へし折ってから閉じ込めて――」
最後に過激な発言をしようとした猫族の青年の頭を鷲掴み、首から下を地面へ埋めた。
「「なっ……⁉」」
「何をしてるの⁉」
猫族たちが俺の行動に警戒を強め、シルフラが動揺して俺の裾を掴んでくる。何をって――
「俺の仲間が不当な扱いを受けようとしてたんだから、これくらいは当然だろ?ただでさえニャーニャーニャーニャーと発情した猫みたいにやかましいのに、さらに閉じ込めるだの手足を折るだのなんて物騒な会話を目の前でされたら誰でも埋めるに決まってる。むしろ命を奪わなかっただけありがたいと思え」
「人を埋めるって発想自体物騒な気もしますがね……それにこんな埋め方するのもアニキぐらいですよ」
ジルが呆れた様子で俺が埋めて頭だけ出した猫族の青年を見てそう言う。
「なぁ、アレってどうやって埋めたの?」
「わかんない。普通お兄ちゃんみたいなやり方でやったら潰れて肉片になっちゃうだけなのに、無傷でそのまま垂直に埋めるなんてできるわけないよ。それをやっちゃうのがお兄ちゃんって感じなんだけど」
後ろでもレトナとルルアが物珍しそうにして会話しているのが聞こえるのを他所に、俺は猫族の反応を窺っていた。
名前通り元が猫だからか、全員が「シャーッ!」と牙を剝き出しにして威嚇をしてくる。そして俺の後ろにソッと移動していた少女が素早い動きで飛び掛かってきた。
シルフラと同様、猫のような俊敏性としなやかな動きで移動し、長く鋭い爪で切りかかってくる。
なので俺は「彼女自体」を受け流した。
「……にゃ?」
何が起きたか理解できない少女は間の抜けた表情で俺の目の前をほんの数秒程度滑空し、そのまま地面へ落ちてギャグ漫画みたいなスライディングしていった。
「「……え?」」
俺に襲い掛かってきた少女がなぜそんな姿になったのか、俺の動きが見えなかった奴らからすれば時間が飛んだように見えるかもしれない。
「……マジですか。目を強化してやっと少し見えただけなんですけど」
「凄いね、まるで分身してるみたいだったよ!」
「え、お前ら何が見えてたの⁉ なんか瞬きしてる間に全部終わってて何が起きたか全く把握できてないんだけど……」
どうやらジルとルルアは目を強化して俺の動きを少しではあるが追えていたらしい。
「一応言わせてもらうけど、『今のところ』はお前らと敵対する気はないから手加減はするから安心しろ。あくまで俺は依頼を請け負う側でそっちは依頼する側だからな。まぁでもあんまりしつこいようなら――」
未だに警戒を解かない猫族に対して威圧する。
「ひっ……⁉」
そこまで強く威圧してないはずだが、この時点で何人かが戦意を喪失して逃げる。
逃げていない者もただ逃げ遅れただけなのか恐怖で体を震わせ、今にも腰を抜かしてしまいそうなほどだった。
するとそこにもう一人、誰かがやって来た。
「何をしておるか!」
杖を突いて声を荒げる猫族の老人。彼がゆっくりとした足取りで俺の目の前まで歩いて来る。
……ちっさ。
ルルアと同じ……いや、それよりもか?彼女が今よりも幼かった時の外見と同じくらいの身長。
毛が多くて目や口すらほとんど見えない。
「ワシは猫族の族長、リヤウですじゃ。失礼しました、お客人。ですが残念ながら今は時期が悪く、そして……」
そんな毛だらけの中で片目が開いてジルを見つめる。
「恐らく孫のシルフラから聞いたと思いますが、ワシら猫族と魔狼族とは時に命を奪い合うほど仲が悪い。それが今の状況ではさらに悪化してのぅ……たとえ相手が子供一人とて『敵』と見なさなければならないほどなのじゃ」
殺し合うより酷い状況ってどんなんだよ……
「コイツは少し前から俺のとこで世話をしてる奴なんだが、一応当事者だし何も知らないままってのも可哀想だから連れて来た。俺も詳しい事情はまだだから一緒に聞いてもいいか?」
そう聞くとリヤウが頷く。
「ではこちらへ。他の者は今後この者とその連れへの手出しは一切無用じゃ」
リヤウがそう言うと他の猫族は不満を顔に出しつつもそれぞれが引いて消えて行った……二名ほどを除いて。
俺が埋めた奴と受け流した奴。受け流した奴に関しては未だに地面で倒れて唖然としたままなんだが……大丈夫か、アイツ?
「……あやつらはどういう状況なんじゃ?」
「少しやんちゃされたから少しお仕置きをな。ちょっと待ってろ」
埋めた青年のところに行き、埋めた時同様に頭を鷲掴んで出してやった。
「ま、聞いてただろ?もう俺たちに手出し無用だって。だが……それでも俺たちに手を出すなら次埋める時は無事じゃ済まさないからな」
強くは威圧しなかった。だがその言葉だけでも相手を怯えさせるには十分で、青年は急いで逃げて行った。
それに対して特に感想はなく、もう一人の倒れたままの少女に近付いて「気付け」のつもり頭を軽く叩く。
「お前はいつまでそうしてるつもりだ?」
そうして声をかけてようやくハッと正気に戻ったようで周囲を見渡す。
「あれ……?」
そして俺と目が合う。
「私……みんなは……?」
状況判断ができず困惑していた。この様子だと猫の爺さんの話も聞いてなかったな……?
とりあえず正気に戻った彼女を放置し、リヤウのところへ戻る。
――――
―――
――
―
「様子がおかしい?」
「そうです。猫族と魔狼族の仲が悪いのはいつものこと……ですがその宣戦布告をする際に会った時の魔狼族の一人の様子が……なんと言いますか、普通じゃなかったのです。目が血走り、不気味に笑っていて……」
……なんだろう、イメージするとまるでホラーだな。それとも――
「――何か怪しい薬でも使ったか……?」
「薬?」
「……いや、なんでもない」
余計なことは今は言わなくていいだろう。アレはあくまで俺の世界にあるもので、この世界にあるとは限らないわけだし。
「ともかくそういうわけですじゃ。いつもなら外部の手を借りず自分たちで解決しようとするのですが、この話には何やらきな臭く、裏で何者かの動きがあると見れましたので、会議で話題となったあなたの力を借りようとワシが提案したのです」
「そうか。んで、結局俺は何をすればいいんだ?いくら俺が依頼されれば手伝う許可を貰ってるとはいえ、種族そのものの問題にどう関わればいいのかわからないからな」
「そうですな……」
リヤウがしばらく考え込む。そんな時、何やら外が騒がしくなっていた。
「魔狼族が攻めてきたぞォォォッ‼」
のだが……
「魔狼族と人間を連れてくるとは一体何を考えているんだ、シルフラ⁉」
「ち、違う!」
現在進行形で俺たちは敵意Maxの猫族に取り囲まれてしまっていた。
「この人間が族長の言ってた私たちを助けてくれる人間!」
「じゃあ他の奴らは?ただでさえ人間に頼るなどしたくないというのに……!」
「おい人間、なぜ余計な者を連れて来た?」
なんでって言われてもなぁ……
「今まで魔族領からまともに出たことなんてなかったから、ちょっとついでに旅行でも……と思って?」
「ふざけやがって!なぜこんな奴に頼らなければならないんだ……」
「おい、人間以外は牢屋に放り込んでおけ!特に魔狼族のガキには遠慮しなくていい。手足へし折ってから閉じ込めて――」
最後に過激な発言をしようとした猫族の青年の頭を鷲掴み、首から下を地面へ埋めた。
「「なっ……⁉」」
「何をしてるの⁉」
猫族たちが俺の行動に警戒を強め、シルフラが動揺して俺の裾を掴んでくる。何をって――
「俺の仲間が不当な扱いを受けようとしてたんだから、これくらいは当然だろ?ただでさえニャーニャーニャーニャーと発情した猫みたいにやかましいのに、さらに閉じ込めるだの手足を折るだのなんて物騒な会話を目の前でされたら誰でも埋めるに決まってる。むしろ命を奪わなかっただけありがたいと思え」
「人を埋めるって発想自体物騒な気もしますがね……それにこんな埋め方するのもアニキぐらいですよ」
ジルが呆れた様子で俺が埋めて頭だけ出した猫族の青年を見てそう言う。
「なぁ、アレってどうやって埋めたの?」
「わかんない。普通お兄ちゃんみたいなやり方でやったら潰れて肉片になっちゃうだけなのに、無傷でそのまま垂直に埋めるなんてできるわけないよ。それをやっちゃうのがお兄ちゃんって感じなんだけど」
後ろでもレトナとルルアが物珍しそうにして会話しているのが聞こえるのを他所に、俺は猫族の反応を窺っていた。
名前通り元が猫だからか、全員が「シャーッ!」と牙を剝き出しにして威嚇をしてくる。そして俺の後ろにソッと移動していた少女が素早い動きで飛び掛かってきた。
シルフラと同様、猫のような俊敏性としなやかな動きで移動し、長く鋭い爪で切りかかってくる。
なので俺は「彼女自体」を受け流した。
「……にゃ?」
何が起きたか理解できない少女は間の抜けた表情で俺の目の前をほんの数秒程度滑空し、そのまま地面へ落ちてギャグ漫画みたいなスライディングしていった。
「「……え?」」
俺に襲い掛かってきた少女がなぜそんな姿になったのか、俺の動きが見えなかった奴らからすれば時間が飛んだように見えるかもしれない。
「……マジですか。目を強化してやっと少し見えただけなんですけど」
「凄いね、まるで分身してるみたいだったよ!」
「え、お前ら何が見えてたの⁉ なんか瞬きしてる間に全部終わってて何が起きたか全く把握できてないんだけど……」
どうやらジルとルルアは目を強化して俺の動きを少しではあるが追えていたらしい。
「一応言わせてもらうけど、『今のところ』はお前らと敵対する気はないから手加減はするから安心しろ。あくまで俺は依頼を請け負う側でそっちは依頼する側だからな。まぁでもあんまりしつこいようなら――」
未だに警戒を解かない猫族に対して威圧する。
「ひっ……⁉」
そこまで強く威圧してないはずだが、この時点で何人かが戦意を喪失して逃げる。
逃げていない者もただ逃げ遅れただけなのか恐怖で体を震わせ、今にも腰を抜かしてしまいそうなほどだった。
するとそこにもう一人、誰かがやって来た。
「何をしておるか!」
杖を突いて声を荒げる猫族の老人。彼がゆっくりとした足取りで俺の目の前まで歩いて来る。
……ちっさ。
ルルアと同じ……いや、それよりもか?彼女が今よりも幼かった時の外見と同じくらいの身長。
毛が多くて目や口すらほとんど見えない。
「ワシは猫族の族長、リヤウですじゃ。失礼しました、お客人。ですが残念ながら今は時期が悪く、そして……」
そんな毛だらけの中で片目が開いてジルを見つめる。
「恐らく孫のシルフラから聞いたと思いますが、ワシら猫族と魔狼族とは時に命を奪い合うほど仲が悪い。それが今の状況ではさらに悪化してのぅ……たとえ相手が子供一人とて『敵』と見なさなければならないほどなのじゃ」
殺し合うより酷い状況ってどんなんだよ……
「コイツは少し前から俺のとこで世話をしてる奴なんだが、一応当事者だし何も知らないままってのも可哀想だから連れて来た。俺も詳しい事情はまだだから一緒に聞いてもいいか?」
そう聞くとリヤウが頷く。
「ではこちらへ。他の者は今後この者とその連れへの手出しは一切無用じゃ」
リヤウがそう言うと他の猫族は不満を顔に出しつつもそれぞれが引いて消えて行った……二名ほどを除いて。
俺が埋めた奴と受け流した奴。受け流した奴に関しては未だに地面で倒れて唖然としたままなんだが……大丈夫か、アイツ?
「……あやつらはどういう状況なんじゃ?」
「少しやんちゃされたから少しお仕置きをな。ちょっと待ってろ」
埋めた青年のところに行き、埋めた時同様に頭を鷲掴んで出してやった。
「ま、聞いてただろ?もう俺たちに手出し無用だって。だが……それでも俺たちに手を出すなら次埋める時は無事じゃ済まさないからな」
強くは威圧しなかった。だがその言葉だけでも相手を怯えさせるには十分で、青年は急いで逃げて行った。
それに対して特に感想はなく、もう一人の倒れたままの少女に近付いて「気付け」のつもり頭を軽く叩く。
「お前はいつまでそうしてるつもりだ?」
そうして声をかけてようやくハッと正気に戻ったようで周囲を見渡す。
「あれ……?」
そして俺と目が合う。
「私……みんなは……?」
状況判断ができず困惑していた。この様子だと猫の爺さんの話も聞いてなかったな……?
とりあえず正気に戻った彼女を放置し、リヤウのところへ戻る。
――――
―――
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―
「様子がおかしい?」
「そうです。猫族と魔狼族の仲が悪いのはいつものこと……ですがその宣戦布告をする際に会った時の魔狼族の一人の様子が……なんと言いますか、普通じゃなかったのです。目が血走り、不気味に笑っていて……」
……なんだろう、イメージするとまるでホラーだな。それとも――
「――何か怪しい薬でも使ったか……?」
「薬?」
「……いや、なんでもない」
余計なことは今は言わなくていいだろう。アレはあくまで俺の世界にあるもので、この世界にあるとは限らないわけだし。
「ともかくそういうわけですじゃ。いつもなら外部の手を借りず自分たちで解決しようとするのですが、この話には何やらきな臭く、裏で何者かの動きがあると見れましたので、会議で話題となったあなたの力を借りようとワシが提案したのです」
「そうか。んで、結局俺は何をすればいいんだ?いくら俺が依頼されれば手伝う許可を貰ってるとはいえ、種族そのものの問題にどう関わればいいのかわからないからな」
「そうですな……」
リヤウがしばらく考え込む。そんな時、何やら外が騒がしくなっていた。
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