266 / 331
ぶっ壊れ装備
しおりを挟む
☆★☆★
~カズ視点~
パ~パラパ~パ~パ~パ~♪
……不思議で軽快な音楽がどこからか突然鳴った。しかし俺は特にそれに対して驚くことはなく、目の前で粉々に割れて消えていくモンスターを眺めていた。
恐らく本来であればゲームのラスボスを倒した後に現れる裏ボスだったであろうモンスター。そして代わりに凝った外見の装備や大量のお金が落ちる。
それがそこら辺で出会う弱めのモンスターと何ら変わらない消え方をしていると思うと、少し呆気なさと物足りなさを感じた。
……そういえば少し前に父さんも似たようなことを言ってた気がするな。
――――
―――
――
―
「んー……?」
いつものように父さんとのゲームに付き合っていたある日、何か納得がいかないように首を傾げていた。
「父さん?やめろよ、まだやり込み要素があるから付き合えとか言うのは。もう八時間はやってるじゃねえか」
「いやいや、違う違う。やりたいことは大体終わったからそれは別にいいんだよ。ただ今倒した裏ボスなんだけどさ、倒して強い武器とか防具を貰えるのはいいんだけど倒した後がアッサリし過ぎっていうか、せめて何か会話の一つくらいほしかったなぁ……って」
「いや……わからんわ……」
――――
―――
――
―
あの時に父さんが言っていたことが今、ほんの少し理解できた気がした。どうせならゲームらしく何かしらのストーリーが欲しいとは思ったり……と。
とはいえ、まだ本筋であるストーリーもやってないのだから、この気持ちになるには時期尚早だろう。
「そんじゃま、やることもやったしヴェルネたちと合流するかな」
気持ちを切り替えて踵を返してこの場を去ろうとすると、ピロンという音と共に文字が書かれたウインドウが表示される。
――【現在のダンジョンが攻略されました。外へ脱出しますか?※「はい」を選んだ場合、二度とこのダンジョンに入ることができせん】
……ずいぶん躊躇させるような文章だな。まるでまだ何かを隠しているかのように。
レトナとの勝負……もといヴェルネたちとの合流が少し遅れるかもしれないが、もう少し探れるだけ探ってみるか。
そうして選択肢を「いいえ」にすると別の文章が表れる。
――【任意に脱出したい場合は「脱出」と声に出してください。わからないことがあった場合は「ヘルプ」と声に出してください】
「え……『ヘルプ』?」
俺が不意に気になった言葉をそのまま口に出すと、目の前に大量の項目が並んだウインドウが出てきた。
「フィールドの移動」「戦闘」「装備」などなどの項目が並び、一つである「装備」の欄をタッチしてみると更に別の項目が表示される。
また「武器と防具を装備するには」という項目をタッチして広げてみると「イベントリと言い――」と俺たちが手探りでやっていたことが簡単に説明されていた。
アレ、これって俺たちの苦労って……いや、考えるのをやめよう。なんだか悲しくなりそうだ……
それはそれとして。この部屋の探索を始める。
このゲームをやっていてわかったことが一つ。ゲームとはいえ現実と相違ない「感覚」を感じることができる。
何が言いたいのかというと、部屋の中に隠し部屋があれば空気の流れや空洞による音がわかったりするわけで、特別な知識がなかったり謎解きのようなギミックを解かずともその部屋のを在り処を探れてしまえるのだ。
「ここか」
部屋の一角で立ち止まり、一見何の変哲もない壁を触る。壁を触った感触はなく、俺の手は壁をすり抜けていた。
幻覚の壁ってやつか……わずかに流れる空気がここだけおかしかったから何か仕掛けがあると思ったが、まさか壁そのものが幻影だとは思わなかったな。
ちょうど人一人が通れそうな間隔で、中に入ってみると複数の宝箱が置かれていた。いわゆるボーナス部屋ってやつか。
宝箱をいくつか開けてみると、中には名前が似た防具一式が入っていた。説明文を見るとどうやら全て揃えて着れば特殊な効果を発揮する「セット装備」ってやつらしい。
全て着てみると若干中二病が入った黒ずくめの服と両耳にイヤリング二つが付けられた。
――【「真王」セット効果が発動します】
すると目の前にウインドウでそう表示され、ステータスのウインドウを出して内容を確認してみると「全てのステータス五十%アップ」「デバフ、状態異常無効」「無敵貫通」「即死回避」、さらには「HPが30%以下でステータスを追加で200%アップ」などなど。
なんかこれでもかってくらい色々詰め込まれた能力強化の内容が表示されていた。
これはいくらなんでもやり過ぎ……と思ったが、そもそも俺が今倒したのは本来ストーリーを全て終わらせてから倒す相手であり、ソイツを倒して手に入れた装備なのだから当然とも言えるのだけれども……
「……こりゃ、ストーリー楽しみたい人からすれば要らない装備だな」
クリア後に好きに暴れてくれと言わんばかりの好き放題に能力を盛った装備なんて序盤で手に入ったところで……まぁ、「俺つえ~」して進めたい人が使うようなもんだな。あとは……
まだ開けてない最後の宝箱一つ。順番的に言えば武器か盾が出るかだと思うんだが……恐らくまたおかしな性能のものが出るのだろうけれども、内容はともかくその中身を確認する時の何が出るんだろうかというワクワク感は俺でも感じるので楽しみではある。
そんな楽しみを感じつつ宝箱を開けてみると、中から出てきたのは「銃」と「刀」だった。しかしそれぞれが別なのではなく、二つで一つといったものらしい。
「……銃といいこの武器といい、ファンタジーな世界観には不釣り合いなもんがちょいちょい出てくるな」
まぁ、ゲームだし、元の場所でもダンジョンで近未来的なガトリングや長身の刀が出てきたりもしたわけだし……絶対に出てこないっていうのはただの「そうであってほしい」という偏見と願望なのかもしれないけれども。
それはそれとして、早速新しい武器も装備してみる。
「しかし銃と刀に黒ずくめの服ね……勇者どころかアニメや漫画の主人公にでもなったみたいな気分だな」
なんて感慨に浸っていると、目の前にまたウインドウが出現した。
――【特殊武器を装備しました。特殊武器を装備していることで固有のスキルが使えるようになります】
そう説明文には書いてあり、「コマンド」と口にして使えるようになったスキルというのを確認してみる。
するとスキルが三つほど追加されており、「血の斬撃」「チャージバレット」「ブラッディレイン」があった。
……ストーリーを簡単に進めるわけにはいかないけど、この技や性能はちょっと試してみたいかもしれない。
そう思いはしたものの、レトナたちをあまり待たせるわけにもいかないのでこの辺りで「脱出」と口にして洞窟を出た。
そしてアップデートの通知が来たのはその後すぐだった。
~カズ視点~
パ~パラパ~パ~パ~パ~♪
……不思議で軽快な音楽がどこからか突然鳴った。しかし俺は特にそれに対して驚くことはなく、目の前で粉々に割れて消えていくモンスターを眺めていた。
恐らく本来であればゲームのラスボスを倒した後に現れる裏ボスだったであろうモンスター。そして代わりに凝った外見の装備や大量のお金が落ちる。
それがそこら辺で出会う弱めのモンスターと何ら変わらない消え方をしていると思うと、少し呆気なさと物足りなさを感じた。
……そういえば少し前に父さんも似たようなことを言ってた気がするな。
――――
―――
――
―
「んー……?」
いつものように父さんとのゲームに付き合っていたある日、何か納得がいかないように首を傾げていた。
「父さん?やめろよ、まだやり込み要素があるから付き合えとか言うのは。もう八時間はやってるじゃねえか」
「いやいや、違う違う。やりたいことは大体終わったからそれは別にいいんだよ。ただ今倒した裏ボスなんだけどさ、倒して強い武器とか防具を貰えるのはいいんだけど倒した後がアッサリし過ぎっていうか、せめて何か会話の一つくらいほしかったなぁ……って」
「いや……わからんわ……」
――――
―――
――
―
あの時に父さんが言っていたことが今、ほんの少し理解できた気がした。どうせならゲームらしく何かしらのストーリーが欲しいとは思ったり……と。
とはいえ、まだ本筋であるストーリーもやってないのだから、この気持ちになるには時期尚早だろう。
「そんじゃま、やることもやったしヴェルネたちと合流するかな」
気持ちを切り替えて踵を返してこの場を去ろうとすると、ピロンという音と共に文字が書かれたウインドウが表示される。
――【現在のダンジョンが攻略されました。外へ脱出しますか?※「はい」を選んだ場合、二度とこのダンジョンに入ることができせん】
……ずいぶん躊躇させるような文章だな。まるでまだ何かを隠しているかのように。
レトナとの勝負……もといヴェルネたちとの合流が少し遅れるかもしれないが、もう少し探れるだけ探ってみるか。
そうして選択肢を「いいえ」にすると別の文章が表れる。
――【任意に脱出したい場合は「脱出」と声に出してください。わからないことがあった場合は「ヘルプ」と声に出してください】
「え……『ヘルプ』?」
俺が不意に気になった言葉をそのまま口に出すと、目の前に大量の項目が並んだウインドウが出てきた。
「フィールドの移動」「戦闘」「装備」などなどの項目が並び、一つである「装備」の欄をタッチしてみると更に別の項目が表示される。
また「武器と防具を装備するには」という項目をタッチして広げてみると「イベントリと言い――」と俺たちが手探りでやっていたことが簡単に説明されていた。
アレ、これって俺たちの苦労って……いや、考えるのをやめよう。なんだか悲しくなりそうだ……
それはそれとして。この部屋の探索を始める。
このゲームをやっていてわかったことが一つ。ゲームとはいえ現実と相違ない「感覚」を感じることができる。
何が言いたいのかというと、部屋の中に隠し部屋があれば空気の流れや空洞による音がわかったりするわけで、特別な知識がなかったり謎解きのようなギミックを解かずともその部屋のを在り処を探れてしまえるのだ。
「ここか」
部屋の一角で立ち止まり、一見何の変哲もない壁を触る。壁を触った感触はなく、俺の手は壁をすり抜けていた。
幻覚の壁ってやつか……わずかに流れる空気がここだけおかしかったから何か仕掛けがあると思ったが、まさか壁そのものが幻影だとは思わなかったな。
ちょうど人一人が通れそうな間隔で、中に入ってみると複数の宝箱が置かれていた。いわゆるボーナス部屋ってやつか。
宝箱をいくつか開けてみると、中には名前が似た防具一式が入っていた。説明文を見るとどうやら全て揃えて着れば特殊な効果を発揮する「セット装備」ってやつらしい。
全て着てみると若干中二病が入った黒ずくめの服と両耳にイヤリング二つが付けられた。
――【「真王」セット効果が発動します】
すると目の前にウインドウでそう表示され、ステータスのウインドウを出して内容を確認してみると「全てのステータス五十%アップ」「デバフ、状態異常無効」「無敵貫通」「即死回避」、さらには「HPが30%以下でステータスを追加で200%アップ」などなど。
なんかこれでもかってくらい色々詰め込まれた能力強化の内容が表示されていた。
これはいくらなんでもやり過ぎ……と思ったが、そもそも俺が今倒したのは本来ストーリーを全て終わらせてから倒す相手であり、ソイツを倒して手に入れた装備なのだから当然とも言えるのだけれども……
「……こりゃ、ストーリー楽しみたい人からすれば要らない装備だな」
クリア後に好きに暴れてくれと言わんばかりの好き放題に能力を盛った装備なんて序盤で手に入ったところで……まぁ、「俺つえ~」して進めたい人が使うようなもんだな。あとは……
まだ開けてない最後の宝箱一つ。順番的に言えば武器か盾が出るかだと思うんだが……恐らくまたおかしな性能のものが出るのだろうけれども、内容はともかくその中身を確認する時の何が出るんだろうかというワクワク感は俺でも感じるので楽しみではある。
そんな楽しみを感じつつ宝箱を開けてみると、中から出てきたのは「銃」と「刀」だった。しかしそれぞれが別なのではなく、二つで一つといったものらしい。
「……銃といいこの武器といい、ファンタジーな世界観には不釣り合いなもんがちょいちょい出てくるな」
まぁ、ゲームだし、元の場所でもダンジョンで近未来的なガトリングや長身の刀が出てきたりもしたわけだし……絶対に出てこないっていうのはただの「そうであってほしい」という偏見と願望なのかもしれないけれども。
それはそれとして、早速新しい武器も装備してみる。
「しかし銃と刀に黒ずくめの服ね……勇者どころかアニメや漫画の主人公にでもなったみたいな気分だな」
なんて感慨に浸っていると、目の前にまたウインドウが出現した。
――【特殊武器を装備しました。特殊武器を装備していることで固有のスキルが使えるようになります】
そう説明文には書いてあり、「コマンド」と口にして使えるようになったスキルというのを確認してみる。
するとスキルが三つほど追加されており、「血の斬撃」「チャージバレット」「ブラッディレイン」があった。
……ストーリーを簡単に進めるわけにはいかないけど、この技や性能はちょっと試してみたいかもしれない。
そう思いはしたものの、レトナたちをあまり待たせるわけにもいかないのでこの辺りで「脱出」と口にして洞窟を出た。
そしてアップデートの通知が来たのはその後すぐだった。
0
お気に入りに追加
396
あなたにおすすめの小説
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
「君を愛せない」と言った旦那様の様子がおかしい
白羽鳥(扇つくも)
恋愛
「すまない、僕はもう君の事を愛してあげられないんだ」
初夜にそう言われた私はカッとなって旦那様を部屋から叩き出した。
そっちがその気なら、私だって嫌いになってやるわ! 家の事情で二年は離婚できないけれど、後からどれだけ謝って優しくしてくれたって許してあげないんだから!
そうして二年後に白い結婚が認められ、以前からアプローチしてくれた王子様と再婚した私だったが、まさかその後、旦那様と二度と会えなくなるなんて――
※「君を愛せない」系のアンチテーゼ。バッドエンドですがこういうケースもあり得るかなと。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
通称偽聖女は便利屋を始めました ~ただし国家存亡の危機は謹んでお断りします~
フルーツパフェ
ファンタジー
エレスト神聖国の聖女、ミカディラが没した。
前聖女の転生者としてセシル=エレスティーノがその任を引き継ぐも、政治家達の陰謀により、偽聖女の濡れ衣を着せられて生前でありながら聖女の座を剥奪されてしまう。
死罪を免れたセシルは辺境の村で便利屋を開業することに。
先代より受け継がれた魔力と叡智を使って、治療から未来予知、技術指導まで何でこなす第二の人生が始まった。
弱い立場の人々を救いながらも、彼女は言う。
――基本は何でもしますが、国家存亡の危機だけはお断りします。それは後任(本物の聖女)に任せますから
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる