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次から次へと

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皆様、いつも「最強超人は異世界にてスマホを使う」をご覧いただきありがとうございます。
今年も僅かとなりましたので短い挨拶を……
自分は今年は散々な一年だったので来年は良い年にしたいものです。皆様も怪我や健康に気を付けて過ごされますようお祈り申し上げます。
では良いお年を!

――――
―――
――


「……参考までに、ワタクシの何が至らないのか……教えていただいてもよろしいでしょうか?」

 本当に悔しかったのか、起き上がった彼女の目には若干の涙が浮かんでいたルディ。

「……別にあんたが悪いわけじゃない。ただ俺にはもう相手がいるってだけの話だ」

「このワタクシよりも魅力的な女性なのですか⁉」

「うん」

 ルディの問いに即答すると彼女は気の抜けた顔となり、その場にパタリと倒れてしまう。連れの大男が心配した様子でオロオロとしてしまっていた。

「オ、ジョウ……デー……ダイ、ダイジョウブ?」

 大男がしゃがんで拙い言葉を彼女に投げかけるが、ルディはしばらく反応しなかった。

「……とりあえず報酬だけ貰ってもう帰っていい?流石にちょっと面倒臭くなってきた」

 プププと笑いを堪えているリーシアにそう言って話を進めようとする。

「えぇ、もちろん……今回の功績も含めて上乗せした金額を渡すわ」

 リーシアはその言葉通りの銀貨が結構入った袋を渡してきた。

「本当に多いな」

「それだけ今回の結果に満足してるってことだよ。さっきも説明したけど、グループ内で良い成績を残せばギルドの追加予算が貰えるし、互いにwin-winってわけさ!」

 その予算というのが相当多いんだろうな、なんて邪推をしたり。
 それはそれとして、やることもやったし帰ろうとする。

「……お待ちください」

 するとルディが俺を呼び止め起き上がる。

「まだ何かあるのか?先に言うが何回勧誘されても俺はそっちに行かないからな」

「フフフフ……ですがやめません。あなたほどの逸材をみすみす見逃せと?そんなことできるはずがないでしょう!宣言します、ワタクシはあなた様が誘いを首を縦に振って受けるまで……ワタクシのモノになるまで諦めはしませんわ!」

 さっきまで絶望していたのが嘘のように自信を取り戻していた彼女はそう言って俺の横を素通りして出て行く。大男も軽く会釈をしてその後を追う。

「……また変なのに目を付けられちまったなぁ」

「ごめんなさいね、私の幼馴染が。昔から特殊な性格で我が道を往くって感じだったから」

 さっきの口ぶりからして知り合いであることは察していたが、幼馴染だったか。

「私もあの子の性格には苦労させられてきたから代わりに謝っとくよ。ごめんね?」

「いや、別に……楽しそうな性格してるなってくらいにしか思ってないから」

「そう?そう言ってくれると気が楽に……ああいや、もう一つ謝らないといけないことがあったわ」

――――
―――
――


「死ねぇ!」

 裏ギルドから出るとすぐに上から襲われる。
 殺気満々でナイフを突き付けてくるソイツの頭を鷲掴みにして地面に叩き付けた。
 叩き付けたソイツは手も足もあらぬ方向へ向いてすでに原型を留めておらず、周囲で暇を潰していたらしい裏ギルドの連中はそれを見て「うへぇ」と苦い顔をしていた。

「リーシア、ここで『散らかしたもの』は処理してくれるんだろ?」

「ああ、あんたが最初にここの奴を一人殺った時みたいにこっちで片付ける。だから存分にやりな!」

 リーシアからの許可が出たその瞬間、俺を狙った奴らが一斉に出てくる。
 さっきリーシアが謝ろうとした内容はこうだ。
 「今回の競争で負けた奴らが納得できず、もしくはその賞金を奪い取ろうとする奴らが出てくる。その時はこの裏ギルドの周辺だけで倒した奴らはリーシアの方で処理する」とのこと。
 そして襲ってくる奴の対処は生かすも殺すも俺次第でいいとさ。元々襲ってくる奴らもまともな秩序がある中で生きていない。
 裏の世界で死んだとしても全部自己責任となるみたいだし、俺自身も命を狙ってくるのなら容赦しない。
 ……俺は善も悪も全てを救えるヒーローじゃない。できるのは自分に悪意を向けてくる者、他者に害を与える者にそれ以上何もさせないことだ。
 「そのために警察がいる」と人々は口にするが、それでもどうにもならない奴らは必ず存在する。
 裏ギルドはそんな奴らをこっそりと消すためのもの……だがそこに所属してる奴らも大抵は人殺しを何とも思ってないだろう。
 だから俺は――

「ぜ、全員殺っちまった……!」

「二、三十人はいたはずなのに容赦ねぇ……というか正気の沙汰じゃねぇな、こりゃ」

「老若男女関係なく殺しちまうなんて……血も涙もない非常さだ。いくら裏ギルドのアサシンでもここまで残忍じゃないぞ……」

 ……なんて、同じ人殺しの匂いをさせてる奴らが言いやがる。
 俺は指を指されるようなことをしているのは確かだが、同族のコイツらには言われたくないとは思う。

「たしかにこっちで処理するとは言ったけどさぁ……いくら何でもやり過ぎじゃない?片付けるこっちの身にもなって遠慮してほしいんだけど……」

「なら今度からは無責任なことは口にしないことだ。少なくとも今回だけでも口約束とは言え『やる』と言ったんだから最後までやってくれ」

「言われずともやるさ。しかし、話に聞いてはいたが優秀賞を取るとこれだけの奴らに襲われるのか……これは考えものだな」

 さっきまでのウキウキしていた様子が一変し、憂鬱そうにするリーシア。
 それを他所に襲ってくる奴らもいなくなったし、今度こそ帰ろうかとしたその時、ルディを護衛していた大男が何故か戻ってきた。
 その表情は苦痛に歪み、体の至るところにはナイフや剣が痛々しく刺さっている。

「あんたはルディの……何があったんだ!?」

「ダズ、ダッゲデクレェ……!」

 わかり辛いが俺の耳には確かにこう聞こえた。「助けてくれ」と。
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