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「でもある」が正しいと思ってる

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 結局ルルアがリクエストした服は全部買った。
 そして今は最初にルルアが選んだ中二病っぽい服を着てデートを継続していた。やはり俺の格好が相当珍しいのかすれ違う魔族たちの視線が突き刺さる。

「これは中々の恥ずかしさがあるな……」

「大丈夫、みんなお兄ちゃんが格好良いから見てるんだよ!」

 根拠の無い励ましでフォローしてくれるルルア。でも絶対違う、アレは変なものを見る目だ。

「どっちにしても注目されるのは恥ずかしいんだけど。まだ人間だからって避けられてた時の方が気楽だった気がするよ」

「そう言わないで、ルルアが格好良いって言ってるんだからそれでいいじゃない♪」

 そう言いながら腕に絡んでくるルルア。さらに痛い視線が刺さって息苦しく感じてきた……

「あっ、ロリコンの人間だ。今日は変な服着てるんだな!」

「誰がロリコンだ。あと服のことは余計だよ」

 幼い少年の声に思わずツッコミを入れてしまい、声のした方へ振り返ると見覚えのある少年たちがいた。
 たしかコイツらはここに来たばかりの頃、俺に石を投げてきた悪ガキ共だった。
 また俺をバカにしに来たのか、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべている。

「だって俺たちと同じくらいの女子と腕とか組んじゃったりしてさ~……母ちゃんたちが言ってたけどソイツ付き合ってるんだろ?小さい女の子が好きな奴はロリコンってバカにされるんだろ?だからお前はロリコンだ!」

「…………」

 ここでムキになって「コイツはお前や俺らよりも年上だぞ」って言うと、それはそれでルルアがターゲットにされて変な悪口を言われそうなんだよなぁ……
 だとしたらいっその事、腹を括るか。

「まぁ、恋人だからほとんど間違ってはないな。でも一つだけ違うことがあるぞ」

「何が?」

「俺がロリコンだからルルアと恋人なんじゃない。ルルアと恋人だからロリコンって言われても仕方ないってだけ」

 俺の屁理屈みたいな言葉に少年たちがしばらく固まり、揃って首を傾げた。

「何が違うの?」

「そんなん簡単だ。ロリコンは小さい女の子なら誰でもいいけど俺はルルアだから恋人になっただけで誰でもいいわけじゃないんだよ」

 そう言ってもやっぱり相手が子供というのもあるのか、難しい顔をしてあまり理解できてないようだった。コイツらに言い訳しても虚しい気がしてきたな……
 でもこのままただのロリコン犯罪者扱いされるのも癪なのでもう少し別の角度から攻めてみることにしよう。

「……あとついでに言うとルルア以外にもお姉さん系の恋人もいる」

「「二股⁉」」

 なぜその言葉を知っているのか……少年たちの情報の供給源が凄い気になります。
 なんて思ってると、彼らの反応を面白く感じたらしいルルアが妖しく笑う。

「もう一人いるよ?」

「え?それって……」

「それに他にもまだお兄ちゃんのこと好きだって言う子もいるし!お兄ちゃんって結構モテるんだよ?子供っぽいあなたたちと違って♪」

 挑発気味なルルアの言葉に少年たちは悔しそうに顔を歪めたり、もしくは面白くなさそうに口をへの字に曲げる。

「はぁ?別に俺たちは女なんかにモテたいとか思わないし!」

 先頭にいたツンツンした髪型をした生意気そうな少年が彼らを代表するように発言する。
 しかしその発言に数人の少年たちが「えっ⁉」みたいな驚いた顔を彼に向けた。

「ふーん……まぁ、だったら別にいいんじゃない?そうやって意地張って寂しく生きてれば。でもルルアたちはまだこれからデートの続きをしなきゃいけないんだから、用が無いなら邪魔だから退いてくれる?」

 ルルアの遠慮無い辛辣な言葉に相手の少年は何も言い返せず、俺は彼女に「行きましょ?」と手を引っ張られて彼らの横を通り過ぎた。
 すれ違う少年たちの中には羨望の眼差しを向けてくる者もいて、少しだけ居た堪れない気持ちになってしまう。
 なんというか……相手が悪かったなとしか言いようがない。ルルアの方が長く生きているにも関わらず、その蓄えた語彙力で大人気なく少年たちを言い負かして見せ付けるなんて我が彼女ながら性格が悪い。

「おいおい……さっきのはちょっと言い過ぎじゃないか?」

「いいの、ルルアたちのこと馬鹿にする男子が悪いんだから!あんな奴らにお兄ちゃんとのデートの邪魔をされたくないんだから!」

 少年たちの姿が見えなくなったところで立ち止まり、彼らがいた方向に向かってベッとしたを出す。子供相手にも嫉妬するのか、お前は。
 なんだか年齢がどうこう以前にルルアがさっきの少年たちとそう変わらないように見えてきた気がするよ……

「そうか……なら次はどこに行きたい、お姫様?」

「うふふっ♪」

 ちょっとキザッぽくそう言って手を差し伸べると、それが気に入ったらしいルルアが嬉しそうに笑う。
 彼女は「だったらねー……」と言ってあらかじめ行きたい場所が決まっていたかのようにあっち行きたいこっち行きたいと次々指し示して俺を連れ回す。
 そして夕食をヴェルネたちと食べた後、その時間はやってきてしまった。
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