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第6章:作られた生命
第53話:納期の遅延
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人として扱ってくれる事が嬉しいと、アイオは言う。
コロニーには人工的に生命を作り出す技術は存在しなかったから、僕にとってはアイオが初めて会う人工生命体だ。
僕が所有者だと言うけれど、アイオには感情があるし、人間と接しているような感じがするから、僕はパートナーだと思ってる。
乗組員たちからは、アイオは僕の【嫁】だと言われるけどね。
子供たちも乗組員登録時に僕を父、アイオを母に希望していたから、夫婦だと思われているんだろう。
アイオが僕に好意を寄せてくれている事は、勿論知っている。
でも、自分の気持ちがよく分からなくて、僕はアイオの好意をまだ受け止められずにいた。
宇宙船アルビレオ号
艦長トオヤ・ユージアライトの日記より
「何? まだ仕上がらないのか?!」
怒りを帯びた声が、隣室から聞こえる。
その部屋は、トオヤたちが次に見学に入る予定の場所だ。
今向かうと雰囲気の悪い場面に鉢合わせしそうなので、案内人のジュリアはトオヤたちを今の部屋で少し待たせた。
「納期はとっくに過ぎているじゃないか。殿下がお優しいからといって調子に乗るなよ」
納品先は、どうやらやんごとなき御方らしい。
トオヤたちはとばっちりを受けないように、今いる部屋で待機し続ける。
しかし運が悪い事に、声の主はジュリアにも文句を言いに来た。
「ジュリア博士、いるか? 接客なんかしてないで、作業を急いでくれないか」
乱暴に扉を開けて入ってきたのは、軍服を着た中年男性。
胸元の階級章デザインは、この国の王家直属部隊を表していた。
「オルディニス少尉、この方々はアエテルヌム星の関係者御一行様ですよ。失礼の無いようにお願いします」
「何? アエテルヌムだと?」
対するジュリアは全く怯む様子は無く、冷静に言い返す。
オルディニス少尉と呼ばれた男は、驚いたように聞き返した後、室内にいるトオヤたちを見回した。
「これは失礼しました。深淵なる叡智を持つアエテルヌムの使者様に、御挨拶申し上げます」
「光エネルギーの補給のため、しばらく滞在しています。よろしくお願いします」
オルディニス少尉は、アルビレオの艦長服を着たトオヤをリーダーと認識して敬礼する。
トオヤも落ち着いた様子で敬礼して応えた。
「お話が聞こえてしまったのでお聞きしますが、何の仕上げが進まなくて困ってらっしゃるのですか? アエテルヌムの知識が役立つならお手伝いしましょうか?」
「是非お願いします!」
「お手を煩わせても、よろしいのですか?」
トオヤの隣から、アイオが提案する。
オルディニス少尉の背後にいた研究員の若者が、強力な助っ人がきたとばかりに即答し、年配の研究員が慎重に確認した。
「大丈夫ですよ。僕たちも施設見学をさせてもらいましたから、お礼という事にしましょう」
「ありがとうございます」
トオヤもアイオに同意し、研究員たちに加えてジュリア博士とオルディニス少尉も一緒に礼を述べる。
「では、どうぞこちらへ」
ジュリアに案内されて、トオヤたちは隣の研究室へ移動した。
コロニーには人工的に生命を作り出す技術は存在しなかったから、僕にとってはアイオが初めて会う人工生命体だ。
僕が所有者だと言うけれど、アイオには感情があるし、人間と接しているような感じがするから、僕はパートナーだと思ってる。
乗組員たちからは、アイオは僕の【嫁】だと言われるけどね。
子供たちも乗組員登録時に僕を父、アイオを母に希望していたから、夫婦だと思われているんだろう。
アイオが僕に好意を寄せてくれている事は、勿論知っている。
でも、自分の気持ちがよく分からなくて、僕はアイオの好意をまだ受け止められずにいた。
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「何? まだ仕上がらないのか?!」
怒りを帯びた声が、隣室から聞こえる。
その部屋は、トオヤたちが次に見学に入る予定の場所だ。
今向かうと雰囲気の悪い場面に鉢合わせしそうなので、案内人のジュリアはトオヤたちを今の部屋で少し待たせた。
「納期はとっくに過ぎているじゃないか。殿下がお優しいからといって調子に乗るなよ」
納品先は、どうやらやんごとなき御方らしい。
トオヤたちはとばっちりを受けないように、今いる部屋で待機し続ける。
しかし運が悪い事に、声の主はジュリアにも文句を言いに来た。
「ジュリア博士、いるか? 接客なんかしてないで、作業を急いでくれないか」
乱暴に扉を開けて入ってきたのは、軍服を着た中年男性。
胸元の階級章デザインは、この国の王家直属部隊を表していた。
「オルディニス少尉、この方々はアエテルヌム星の関係者御一行様ですよ。失礼の無いようにお願いします」
「何? アエテルヌムだと?」
対するジュリアは全く怯む様子は無く、冷静に言い返す。
オルディニス少尉と呼ばれた男は、驚いたように聞き返した後、室内にいるトオヤたちを見回した。
「これは失礼しました。深淵なる叡智を持つアエテルヌムの使者様に、御挨拶申し上げます」
「光エネルギーの補給のため、しばらく滞在しています。よろしくお願いします」
オルディニス少尉は、アルビレオの艦長服を着たトオヤをリーダーと認識して敬礼する。
トオヤも落ち着いた様子で敬礼して応えた。
「お話が聞こえてしまったのでお聞きしますが、何の仕上げが進まなくて困ってらっしゃるのですか? アエテルヌムの知識が役立つならお手伝いしましょうか?」
「是非お願いします!」
「お手を煩わせても、よろしいのですか?」
トオヤの隣から、アイオが提案する。
オルディニス少尉の背後にいた研究員の若者が、強力な助っ人がきたとばかりに即答し、年配の研究員が慎重に確認した。
「大丈夫ですよ。僕たちも施設見学をさせてもらいましたから、お礼という事にしましょう」
「ありがとうございます」
トオヤもアイオに同意し、研究員たちに加えてジュリア博士とオルディニス少尉も一緒に礼を述べる。
「では、どうぞこちらへ」
ジュリアに案内されて、トオヤたちは隣の研究室へ移動した。
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