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第3章:翼の惑星
第27話:強制収容施設
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僕は敵軍の一部に後を追わせながら、浮遊移動能力で適当なところまで移動してから瞬間移動で収容施設付近へ移動した。
取り残された連中が村への攻撃に戻るにしても、施設へ向かうにしても、それなりの時間を要するだろう。
吸血族の男から読み取った情報にある施設は、僕が育った軍事コロニー・ベネトナシュ並のセキュリティに守られていた。
以前の僕には、このセキュリティを突破出来なかったと思う。
でもアルビレオの所有者に施される様々な能力上昇とサイキックがある今は、容易に突破する事が出来た。
宇宙船アルビレオ号
艦長トオヤ・ユージアライトの日記より
放電を続けるバリアの外側に現れたトオヤは、短銃の最大威力でレーザーを撃ってみた。
(……やはり、壊れないか……)
レーザーがバリア表面に吸収されたのを見て、トオヤはその強度を把握する。
短銃をホルダーに収めた流れで、彼は光剣での攻撃に転じる。
抜刀一閃!
その武器の交換から瞬時に攻撃に転じる動作は、かつてコロニー最速と言われた。
命中率トップのティオ、攻撃速度トップのトオヤとして、軍事訓練場で評価されていた。
抜刀術は古代地球の小国に伝わるもので、本来は光剣ではなくカタナという金属の剣を使う。
トオヤは、それを光剣の技能として仕上げたパウアの弟子だ。
短銃からの換装抜刀は、トオヤ独自の技術。
剣を抜き放つ勢いの攻撃は、普通に剣を振るよりも大きなダメージが出せる。
短銃のレーザーよりも威力があるそれでも、バリアの一部の放電を多少減らした程度だった。
(……これも駄目か)
軽く溜息をついていると、バリアへの攻撃に気付いた吸血族の警備兵が出てきて、一斉射撃を浴びせてきた。
トオヤは空中に浮かんだまま、敵兵のレーザーの向きを念動力で曲げて、撃った本人に返す。
それはサイキック能力者には馴染みの反射で、ベガが得意とする。
しかしこの惑星では馴染みがないのか、吸血族は反射への対策をしておらず、反射されたレーザーが直撃して次々に倒れていった。
せっかくのバリアも、味方の放ったレーザーは反射されても素通りする仕様らしい。
敵兵の大半が自滅したところで、トオヤはアルビレオにアクセスして主砲を撃たせ、それをバリアに向けて転送した。
「!!!」
増援で出てきた者も含めて、警備兵が驚愕している。
なかなかの強度のバリアだが、さすがに宇宙船の主砲には勝てないらしい。
光エネルギーの主砲は、ドーム状のバリア上部を貫いて消滅させた。
バリアが消えたので、トオヤは悠々と建物の入口前に降りてゆく。
「この化け物め!」
「やめろ撃つな! 自滅するぞ!」
騒ぐ人々の真ん中に降り立つトオヤに数人が銃を向けるが、仲間が慌てて制した。
先程反射を食らった兵士たちは既に絶命しているが、遅れて出て来てその様子を目撃した者が警戒している。
「なら取り押さえるまでだ!」
悠々と歩いて通り過ぎようとするトオヤに、左右から兵士が飛びかかる。
トオヤは身を翻して軽く避けると、光剣を抜き放ちながら1人、返す動作でもう1人を斬り捨てた。
「僕も一応軍隊あがりだからね。人を殺す時は躊躇しないよ」
いつもより低い声で、トオヤは凄む。
圧された人々が後退る間を通り抜け、彼は建物の扉をロックしている開閉パネルに手を当てた。
閉じられていた扉が開き、トオヤは建物内へ入ってゆく。
迂闊に攻撃出来ない兵士たちが、ゾロゾロとその後ろからついてくる。
トオヤが通路を進むと、閉鎖されていた扉が次々に開いてゆき、セキュリティシステムは一切反応しなかった。
「な……何故セキュリティが反応しないんだ?」
「まさか、あの一瞬でハッキングしたのか?」
背後の兵士たちがザワつく。
トオヤはしばらく通路を進むと、急に瞬間移動してその場から消えた。
「……なにっ?!」
兵士たちがギョッとした直後、列の前後の侵入防止扉が閉まる。
トオヤを追っていた兵士たちは、前進も後退も出来ない空間に閉じ込められてしまった。
慌てて他の場所にいる兵士に連絡しようとしたが、通信機が機能停止していて使えない。
はめられた、と気付いた時にはもう遅く、彼等は天井から噴射された睡眠導入剤のガスを吸って次々に倒れていった。
取り残された連中が村への攻撃に戻るにしても、施設へ向かうにしても、それなりの時間を要するだろう。
吸血族の男から読み取った情報にある施設は、僕が育った軍事コロニー・ベネトナシュ並のセキュリティに守られていた。
以前の僕には、このセキュリティを突破出来なかったと思う。
でもアルビレオの所有者に施される様々な能力上昇とサイキックがある今は、容易に突破する事が出来た。
宇宙船アルビレオ号
艦長トオヤ・ユージアライトの日記より
放電を続けるバリアの外側に現れたトオヤは、短銃の最大威力でレーザーを撃ってみた。
(……やはり、壊れないか……)
レーザーがバリア表面に吸収されたのを見て、トオヤはその強度を把握する。
短銃をホルダーに収めた流れで、彼は光剣での攻撃に転じる。
抜刀一閃!
その武器の交換から瞬時に攻撃に転じる動作は、かつてコロニー最速と言われた。
命中率トップのティオ、攻撃速度トップのトオヤとして、軍事訓練場で評価されていた。
抜刀術は古代地球の小国に伝わるもので、本来は光剣ではなくカタナという金属の剣を使う。
トオヤは、それを光剣の技能として仕上げたパウアの弟子だ。
短銃からの換装抜刀は、トオヤ独自の技術。
剣を抜き放つ勢いの攻撃は、普通に剣を振るよりも大きなダメージが出せる。
短銃のレーザーよりも威力があるそれでも、バリアの一部の放電を多少減らした程度だった。
(……これも駄目か)
軽く溜息をついていると、バリアへの攻撃に気付いた吸血族の警備兵が出てきて、一斉射撃を浴びせてきた。
トオヤは空中に浮かんだまま、敵兵のレーザーの向きを念動力で曲げて、撃った本人に返す。
それはサイキック能力者には馴染みの反射で、ベガが得意とする。
しかしこの惑星では馴染みがないのか、吸血族は反射への対策をしておらず、反射されたレーザーが直撃して次々に倒れていった。
せっかくのバリアも、味方の放ったレーザーは反射されても素通りする仕様らしい。
敵兵の大半が自滅したところで、トオヤはアルビレオにアクセスして主砲を撃たせ、それをバリアに向けて転送した。
「!!!」
増援で出てきた者も含めて、警備兵が驚愕している。
なかなかの強度のバリアだが、さすがに宇宙船の主砲には勝てないらしい。
光エネルギーの主砲は、ドーム状のバリア上部を貫いて消滅させた。
バリアが消えたので、トオヤは悠々と建物の入口前に降りてゆく。
「この化け物め!」
「やめろ撃つな! 自滅するぞ!」
騒ぐ人々の真ん中に降り立つトオヤに数人が銃を向けるが、仲間が慌てて制した。
先程反射を食らった兵士たちは既に絶命しているが、遅れて出て来てその様子を目撃した者が警戒している。
「なら取り押さえるまでだ!」
悠々と歩いて通り過ぎようとするトオヤに、左右から兵士が飛びかかる。
トオヤは身を翻して軽く避けると、光剣を抜き放ちながら1人、返す動作でもう1人を斬り捨てた。
「僕も一応軍隊あがりだからね。人を殺す時は躊躇しないよ」
いつもより低い声で、トオヤは凄む。
圧された人々が後退る間を通り抜け、彼は建物の扉をロックしている開閉パネルに手を当てた。
閉じられていた扉が開き、トオヤは建物内へ入ってゆく。
迂闊に攻撃出来ない兵士たちが、ゾロゾロとその後ろからついてくる。
トオヤが通路を進むと、閉鎖されていた扉が次々に開いてゆき、セキュリティシステムは一切反応しなかった。
「な……何故セキュリティが反応しないんだ?」
「まさか、あの一瞬でハッキングしたのか?」
背後の兵士たちがザワつく。
トオヤはしばらく通路を進むと、急に瞬間移動してその場から消えた。
「……なにっ?!」
兵士たちがギョッとした直後、列の前後の侵入防止扉が閉まる。
トオヤを追っていた兵士たちは、前進も後退も出来ない空間に閉じ込められてしまった。
慌てて他の場所にいる兵士に連絡しようとしたが、通信機が機能停止していて使えない。
はめられた、と気付いた時にはもう遅く、彼等は天井から噴射された睡眠導入剤のガスを吸って次々に倒れていった。
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