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夢の内容を元に書いたイオ視点の話

第31話:黒猫とティータイム

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「お茶でも飲みながらゆっくり聞いてね」

 って言いながら、タマがテーブルの上をトントンと軽く叩いたら、何も無かったテーブルの上にティーセットや焼き菓子が現れた。

 収納系か創造系の魔法かな?
 いいなこれ、便利だ。

 落ち着きかけてふと気付く。
 レオさん何か知ってそうだったけど、さっきの場所で待ってるのかな?

「レオさん待たせてるから、しばらくかかるって言いに行った方がいいかな?」
「ここを出たら時間は巻き戻してあげるから、待たせる心配はしなくていいよ」

 タマ、時間魔法使えるのか。
 司書のレオさんが入れなくて、なんで俺が入れたのか?
 守護霊のタマの姿が視えるか否かが、ここに入れる鍵なのか?

「レオさんは入れないのかな?」
「うん。彼はボクを視る事が出来ないから」

 やっぱりそうだった。


 タマが慣れた手つきで淹れてくれたお茶は、日本でも馴染みのセイロンティーっぽい。
 苦みは少なく香りの良い、俺が小学生の頃にハマってたやつ。
 子供の頃はティーカップに角砂糖2コ入れて甘くして飲んでた。
 社会人になってからは砂糖無しを好むようになったけど、緑茶よりもよく飲むお茶だ。
 異世界で飲むセイロンティーっぽいお茶は、日本のスーパーとかで買うものより格段に香りも味も良かった。

 焼き菓子は様々な味と形のクッキーで、これも美味しい。
 特に、バターをたっぷり使ってるっぽい、一番サクサクした食感の四角いやつが好み。
 口の中でほろっとほどけるように溶けて、塩気のあるバターの風味が広がる。

「お茶もお菓子も美味しい~、これってどこかで売ってる? それとも、タマの魔法で作った?」
「ボクの創造系魔法だよ」

 美味しいと褒めたら嬉しかったのか、タマがニコニコしてる。

「その魔法を覚えたら、俺も作れるかな?」
「料理は使う素材と使う者のセンスで変わるから、全く同じ味は出せないけどね」

 おかわりのお茶を淹れながら、タマが説明してくれた。

 なるほど。
 そこらへんは普通に料理するのと同じか。

「この味が気に入ったなら、ここに来たらいつでも出してあげるよ」

 ってタマが言ってくれたので、図書館に来る楽しみが増えた。


「じゃあ、そろそろ本題に入ろうか」

 と言ってタマが話し始めた内容は、なんとなく予想してた事。

「ここの本はね、現代には伝えられていない古代の情報が書いてあるんだ」
「禁書コーナーあるあるだね」
「ボクは神様から、ここへ入れる者に本を読ませるようにって指示されてる」
「俺みたいな本好きじゃなかったら、拒否られそうな数の本だね」

 異空間の本棚に並ぶ分厚い本の数はかなりある。
 古代の情報って事は、裏歴史とか失われた古代魔法とかだろうか?

「時間は君の記憶だけ残して巻き戻すから、ゆっくりじっくり読んでいってね」

 うん、ゆっくり本が読めるのは俺には素晴らしいご褒美だけど。
 まさか、異世界転移に転生に時間逆行まで経験するとは思わなかったよ?
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