237 / 428
前世編
第115話:名付けと贈り物
しおりを挟む
「君は【リヤン】と名付けよう。異国の言葉で【絆】という意味だよ」
愛し子を抱いて、エカは微笑みながら名を与えた。
父エカ・母ソナから生まれてきた子供は、母親似の男の子。
世界樹の民は白い髪、目が開いていない状態で生まれてくる。
その髪色は召喚獣を与えられると変化し、それと共に目も開く。
「不死鳥の里へ行ってくるよ」
エカはそう言って、不死鳥の里へ向かった。
かつて、エカの父ジャスさんがそうしたように。
事前にボクが里にいる両親に念話で知らせておいたから、エカの頼み事はすんなり受け入れてもらえた。
『この子の名はリアマ。あなたの子と良き縁で結ばれますように』
そう言って託されたのは、不死鳥の女の子。
孵化間もない、目の開いてない雛を懐で温めながら、エカは息子の元へ急いだ。
籠の中で眠る赤ん坊の枕元に、雛鳥をそっと置く。
雛鳥が目を開けた時に視界に入らないように後ろへ回り、エカは目覚めの言葉を紡いだ。
「覚醒」
雛鳥リアマが目を開けて、赤ん坊リヤンを見つめる。
純白だったリヤンの髪が鮮やかな赤に変わり、開かれた瞳も宝石のような赤。
「君の名はリアマ、そこにいる赤ん坊が君の主人だよ」
エカが優しい声で話しかける。
彼とボクが出会った頃と似た光景が見られて、なんだか懐かしかった。
召喚獣との契約が済んだ後は、親族や友人たちへのお披露目だ。
「「かわいい~!」」
孫を抱いたフィラさんと、隣に寄り添うジャスさんが揃って声を上げた。
周囲の騒がしさなど聞こえていないのか、リヤンはスヤスヤと眠っている。
「俺にも抱っこさせて。あ~可愛いなぁ~」
子供好きのアズも、宝物を扱うように慎重に抱っこした。
赤ん坊を慈しむアズの優しい笑みに少し切なさが混じっているのは、ルルの死と共に逝った胎児を想ったからかもしれない。
その胎児の転生者は今、アズの隣にいる。
「ほらルイ、君の従兄弟だよ」
「な、なんか壊れそうで抱っこするのが怖いんですけど……」
「横抱きにして、腕で頭と首を支えるんだよ」
自分の番が回ってきて緊張しながら抱っこするルイに、アズがアドバイスした。
アズはルルと共に世界各国を旅していた頃に孤児院に寄り、子守りを手伝った事があるらしい。
「どれどれ、ばぁばが可愛いひ孫に贈り物をあげようね」
ジャミ様は、守護の効果がある刺繍を施した産着をくれた。
病気や怪我をせず健康に育つように、と願いを込めてくれた刺繍は、白い花の形を描いている。
「私は子守歌を贈るね」
ローズはリヤンを抱っこして、愛歌鳥の聖女と呼ばれるに至った癒しの歌声を披露する。
その歌声は肩にとまる愛歌鳥ユズによって広げられ、世界樹の森全体に流れてそこに棲む生物たちを癒した。
「これはソナが食べてね。クロエたちが採ってきてくれた木の実でクッキーを作ってみたの。母乳に効果が出るから赤ちゃんが元気に育つよ」
エアは新作のお菓子をくれた。
サクサクしたクッキーの中にカリッとしたナッツが入った香ばしいお菓子は、後に出産祝いとして贈られる人気商品となった。
愛し子を抱いて、エカは微笑みながら名を与えた。
父エカ・母ソナから生まれてきた子供は、母親似の男の子。
世界樹の民は白い髪、目が開いていない状態で生まれてくる。
その髪色は召喚獣を与えられると変化し、それと共に目も開く。
「不死鳥の里へ行ってくるよ」
エカはそう言って、不死鳥の里へ向かった。
かつて、エカの父ジャスさんがそうしたように。
事前にボクが里にいる両親に念話で知らせておいたから、エカの頼み事はすんなり受け入れてもらえた。
『この子の名はリアマ。あなたの子と良き縁で結ばれますように』
そう言って託されたのは、不死鳥の女の子。
孵化間もない、目の開いてない雛を懐で温めながら、エカは息子の元へ急いだ。
籠の中で眠る赤ん坊の枕元に、雛鳥をそっと置く。
雛鳥が目を開けた時に視界に入らないように後ろへ回り、エカは目覚めの言葉を紡いだ。
「覚醒」
雛鳥リアマが目を開けて、赤ん坊リヤンを見つめる。
純白だったリヤンの髪が鮮やかな赤に変わり、開かれた瞳も宝石のような赤。
「君の名はリアマ、そこにいる赤ん坊が君の主人だよ」
エカが優しい声で話しかける。
彼とボクが出会った頃と似た光景が見られて、なんだか懐かしかった。
召喚獣との契約が済んだ後は、親族や友人たちへのお披露目だ。
「「かわいい~!」」
孫を抱いたフィラさんと、隣に寄り添うジャスさんが揃って声を上げた。
周囲の騒がしさなど聞こえていないのか、リヤンはスヤスヤと眠っている。
「俺にも抱っこさせて。あ~可愛いなぁ~」
子供好きのアズも、宝物を扱うように慎重に抱っこした。
赤ん坊を慈しむアズの優しい笑みに少し切なさが混じっているのは、ルルの死と共に逝った胎児を想ったからかもしれない。
その胎児の転生者は今、アズの隣にいる。
「ほらルイ、君の従兄弟だよ」
「な、なんか壊れそうで抱っこするのが怖いんですけど……」
「横抱きにして、腕で頭と首を支えるんだよ」
自分の番が回ってきて緊張しながら抱っこするルイに、アズがアドバイスした。
アズはルルと共に世界各国を旅していた頃に孤児院に寄り、子守りを手伝った事があるらしい。
「どれどれ、ばぁばが可愛いひ孫に贈り物をあげようね」
ジャミ様は、守護の効果がある刺繍を施した産着をくれた。
病気や怪我をせず健康に育つように、と願いを込めてくれた刺繍は、白い花の形を描いている。
「私は子守歌を贈るね」
ローズはリヤンを抱っこして、愛歌鳥の聖女と呼ばれるに至った癒しの歌声を披露する。
その歌声は肩にとまる愛歌鳥ユズによって広げられ、世界樹の森全体に流れてそこに棲む生物たちを癒した。
「これはソナが食べてね。クロエたちが採ってきてくれた木の実でクッキーを作ってみたの。母乳に効果が出るから赤ちゃんが元気に育つよ」
エアは新作のお菓子をくれた。
サクサクしたクッキーの中にカリッとしたナッツが入った香ばしいお菓子は、後に出産祝いとして贈られる人気商品となった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
俺、貞操逆転世界へイケメン転生
やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。
勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。
――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。
――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。
これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。
########
この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。
チートを極めた空間魔術師 ~空間魔法でチートライフ~
てばくん
ファンタジー
ひょんなことから神様の部屋へと呼び出された新海 勇人(しんかい はやと)。
そこで空間魔法のロマンに惹かれて雑魚職の空間魔術師となる。
転生間際に盗んだ神の本と、神からの経験値チートで魔力オバケになる。
そんな冴えない主人公のお話。
-お気に入り登録、感想お願いします!!全てモチベーションになります-
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
ただあなたを守りたかった
冬馬亮
恋愛
ビウンデルム王国の第三王子ベネディクトは、十二歳の時の初めてのお茶会で出会った令嬢のことがずっと忘れられずにいる。
ひと目見て惹かれた。だがその令嬢は、それから間もなく、体調を崩したとかで領地に戻ってしまった。以来、王都には来ていない。
ベネディクトは、出来ることならその令嬢を婚約者にしたいと思う。
両親や兄たちは、ベネディクトは第三王子だから好きな相手を選んでいいと言ってくれた。
その令嬢にとって王族の責務が重圧になるなら、臣籍降下をすればいい。
与える爵位も公爵位から伯爵位までなら選んでいいと。
令嬢は、ライツェンバーグ侯爵家の長女、ティターリエ。
ベネディクトは心を決め、父である国王を通してライツェンバーグ侯爵家に婚約の打診をする。
だが、程なくして衝撃の知らせが王城に届く。
領地にいたティターリエが拐われたというのだ。
どうしてだ。なぜティターリエ嬢が。
婚約はまだ成立しておらず、打診をしただけの状態。
表立って動ける立場にない状況で、ベネディクトは周囲の協力者らの手を借り、密かに調査を進める。
ただティターリエの身を案じて。
そうして明らかになっていく真実とはーーー
※タグを変更しました。
ビターエンド→たぶんハッピーエンド
社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる