172 / 428
前世編
第50話:ソナと氷魔法
しおりを挟む
翌朝、エカはジャミ様に昨夜の出来事を話しに行った。
同行したソナは、夢の内容をほとんど覚えていなかった。
「何か夢を見た気がするけど、思い出せないの」
「夜中にソナが苦しみ始めて、身体が凄く冷たくなったんです」
ジャミ様の私室で、ソファに座った2人は異変が起きた事を話す。
テーブルには占術に使う水晶玉が置かれていて、その中で氷の粒と黒い影のようなものが渦を巻いていた。
しばらく見ていると赤と金の炎が渦に入り込み、黒い影だけが消えた。
「夢の内容は忘れていい記憶だね。起きてから少し心が軽くなったんじゃないかい?」
「うん。何かスッキリした感じなの」
水晶玉をじっと見つめた後、ジャミ様はソナに微笑みかけて問う。
ソナも微笑んで答えた。
「目が覚めたらエカが抱き締めてくれてて、凄く嬉しかったの」
「それでいい。嬉しい事や楽しい事で心を満たしてゆけばいいんだよ」
少し頬を赤らめて言うソナの隣で、エカもちょっと照れてる。
ジャミ様はそれを微笑んで眺めながら言った。
「ソナは氷の魔法に目覚めかけているようだね」
「魔法、もう使えるの?」
ジャミ様が言うと、ソナが嬉しそうに聞いた。
昨夜、ソナの身体が氷のように冷たくなったのは、氷の魔力が体内で暴走したから。
暴走した魔力がソナの心臓を凍り付かせていたのを、僕の炎で融かして蘇生させたんだよ。
ジャミ様は水晶玉からその情報を読み取っていた。
「この魔法書をあげよう。魔法の練習はエカがいる時だけにするんだよ」
「ありがとう、ばぁば」
渡された本を、ソナは宝物を貰ったみたいに喜んで抱えた。
「ここが宮廷魔導師たちの練習場ニャ」
魔法の練習をしたいとお願いしたら、王様はエカとソナを防壁で覆われた場所に連れて来てくれた。
防壁のすぐ外には見張り小屋があって、ローブを着た猫人が見張り役として待機してる。
「練習に来た子たちニャ、通してあげてニャン」
「かしこまりました」
王様に命じられた猫人が、防壁を撫でるような仕草をする。
防壁の一部がスーッと溶けるように開いた。
「凄い、魔法かっこいい~」
「ありがとうございます」
ソナは初めて見る防壁の魔法にも好奇心をくすぐられたみたい。
褒められた猫人が、嬉しそうに微笑んでお辞儀した。
「ここから入るニャ」
そう言って、王様が先に防壁の入口から中へ入ってゆく。
エカとソナも続いて中に入った。
防壁の中は学園の魔法練習場と似ていて、広場に的が置いてある。
ローブ姿の猫人たちが、その的に火球や氷刃などの魔法を放って練習していた。
「魔法は使い続ける事で技術が上がるニャ。だから、みんな毎日練習してるニャン」
「私も毎日練習する!」
王様から説明を受けて、ソナは張り切って練習に向かった。
同行したソナは、夢の内容をほとんど覚えていなかった。
「何か夢を見た気がするけど、思い出せないの」
「夜中にソナが苦しみ始めて、身体が凄く冷たくなったんです」
ジャミ様の私室で、ソファに座った2人は異変が起きた事を話す。
テーブルには占術に使う水晶玉が置かれていて、その中で氷の粒と黒い影のようなものが渦を巻いていた。
しばらく見ていると赤と金の炎が渦に入り込み、黒い影だけが消えた。
「夢の内容は忘れていい記憶だね。起きてから少し心が軽くなったんじゃないかい?」
「うん。何かスッキリした感じなの」
水晶玉をじっと見つめた後、ジャミ様はソナに微笑みかけて問う。
ソナも微笑んで答えた。
「目が覚めたらエカが抱き締めてくれてて、凄く嬉しかったの」
「それでいい。嬉しい事や楽しい事で心を満たしてゆけばいいんだよ」
少し頬を赤らめて言うソナの隣で、エカもちょっと照れてる。
ジャミ様はそれを微笑んで眺めながら言った。
「ソナは氷の魔法に目覚めかけているようだね」
「魔法、もう使えるの?」
ジャミ様が言うと、ソナが嬉しそうに聞いた。
昨夜、ソナの身体が氷のように冷たくなったのは、氷の魔力が体内で暴走したから。
暴走した魔力がソナの心臓を凍り付かせていたのを、僕の炎で融かして蘇生させたんだよ。
ジャミ様は水晶玉からその情報を読み取っていた。
「この魔法書をあげよう。魔法の練習はエカがいる時だけにするんだよ」
「ありがとう、ばぁば」
渡された本を、ソナは宝物を貰ったみたいに喜んで抱えた。
「ここが宮廷魔導師たちの練習場ニャ」
魔法の練習をしたいとお願いしたら、王様はエカとソナを防壁で覆われた場所に連れて来てくれた。
防壁のすぐ外には見張り小屋があって、ローブを着た猫人が見張り役として待機してる。
「練習に来た子たちニャ、通してあげてニャン」
「かしこまりました」
王様に命じられた猫人が、防壁を撫でるような仕草をする。
防壁の一部がスーッと溶けるように開いた。
「凄い、魔法かっこいい~」
「ありがとうございます」
ソナは初めて見る防壁の魔法にも好奇心をくすぐられたみたい。
褒められた猫人が、嬉しそうに微笑んでお辞儀した。
「ここから入るニャ」
そう言って、王様が先に防壁の入口から中へ入ってゆく。
エカとソナも続いて中に入った。
防壁の中は学園の魔法練習場と似ていて、広場に的が置いてある。
ローブ姿の猫人たちが、その的に火球や氷刃などの魔法を放って練習していた。
「魔法は使い続ける事で技術が上がるニャ。だから、みんな毎日練習してるニャン」
「私も毎日練習する!」
王様から説明を受けて、ソナは張り切って練習に向かった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる