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前世編
第27話:図書館で見たもの
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「命中や成功の確率を上げるスキルといえばエテルの漁業組合の抽選会だけど、あんなのまず当たらないから図書館の魔導書を探す方がいいわ」
マリンの指示で、パーティメンバー4人で魔導書探し。
人手がほしいから~って事で、人じゃないけどボクまで駆り出されたよ。
それにしても、学園の図書館、広大過ぎじゃない?
本や資料類合わせて1億超える数って凄くない?
この中から目的の魔導書を探すなんて…途方もないよ。
「命中率を上げる支援魔法かい? あっちの棚で見たような…」
って図書館を管理するクー・ピイさんは言うんだけど…
…その棚っていうのがデカ過ぎて天井近くまで本が並んでて、果てしない感が続く。
「フラムは上の方を探して。俺は下段を探すから」
「はーい」
エカの指示で、ボクは赤い小鳥の姿になって棚の上段から中段を見て回る。
下段はエカとパーティメンバーが両端と真ん中から進んで探してゆく。
「これかなぁ…?」
クロエが1冊を棚から引き出して見ると………
タイトル:【必ず当たる魔法】
内容:明日の天気を当てたい人のためのお天気占い
………違ったようだ。
「…当てたいのは天気じゃない」
ふうっと軽く溜息をついて、クロエは本を戻した。
「ん~、これかぁ?」
チャデも1冊の本を取って見ると………
タイトル:【狙いを外さない魔法】
内容:テストの予想を外さないおまじない
………それは検定試験の時でいい…かな?
「…今はテスト以前の問題だぜ」
フッと苦笑してチャデも本を戻した。
「もしかして、これかな?」
エカも1冊を取り出して見ると………
タイトル:【狙い撃つ魔法】
内容:あなたのハートを狙い撃ち
………恋愛経験ゼロの子供には意味が無かった。
「???」
エカにはまだ早かったみたい。
「ありそうでなかなか見つからないわねぇ…」
探し疲れたマリンが、げっそりしながら本を手に取ると………
タイトル:基礎から学ぶ身体強化魔法
内容:ステータスUPのオススメ支援魔法集
………お?!
「…あったぁぁぁ!!!」
思わず叫んでしまい、慌てて自分の口を塞ぐマリン。
周囲を見回したけど、見える範囲に他の人はいなかった。
もしかしたら両隣の通路の人に聞こえていて、驚かせたかもしれないけどね。
やっと見つけた本を持って、エカたちは図書館中央にの閲覧コーナーに移動した。
この図書館は学園の本館隣にある円筒形の建物で、中央に閲覧コーナーがあり、放射状に本棚が並んでいる。
閲覧コーナーからは全ての通路が見渡せるので、図書館で誰かとはぐれた時はそこへ行けばいい。
さっき叫んじゃったマリンは各通路を覗いて、誰かいないか確認して回ったけど、誰もいなかったみたい。
「…よかったぁ…他に人がいなくて…」
「そりゃいないさ、見ろよ時計、真夜中だぜ」
「腹減った…ごはん食べ損ねちゃったなぁ」
「え?…あぁ、こんな時間になってたのね」
探すのに時間がかかり過ぎて、夕飯を食べ損ねてしまったエカたち。
いつもならお風呂に入る時間だけど、今はとにかく支援魔法を!という事になった。
「せっかくだから3人とも習得しちゃおうよ」
「OK」
「魔法は多くて損は無いからね」
魔法学部のエカ、クロエ、マリンは、順番に魔導書を読み、そこに記された起動言語と魔法イメージを記憶した。
「よし覚えた」
「明日の実習で試してみましょう」
「じゃあ、本を戻してくるね」
3人の魔法使いたちは下位支援魔法を習得して、マリンが本を元の場所へ返して図書館を出たんだけど…
「ねえエカ、あなたの弟って青い毛並みのコよね?」
廊下を歩きながら、マリンが小声でエカに聞いてくる。
「うん。俺くらいの背格好で、毛色が青だよ」
「さっき、そっくりな子がいたんだけど…」
…マリン、何か見たっぽい。
「…え? でも図書館には俺たちしかいなかったよね?」
「その筈なんだけど、見たのよ」
「声かけてみた?」
「ううん。一瞬チラッと見えただけで、すぐ消えちゃったの」
「…消えた…?」
困惑したエカが、鼻の穴広げて真顔になる。
それ、何か違うモノじゃないかな?
アズは瞬間移動の魔法なんて持ってないからね。
「もしかしてそれ、図書館の守護霊じゃない?」
「そういや禁書を護ってるっていう神霊がいるらしいよな」
クロエとチャデも会話に加わる。
「神霊が見えたら、禁書の間に入れるってウワサあるよな?」
「マリン、今度探してみようよ」
結局、マリンが見た青い毛並みの仔猫人が誰かは分からないまま、一同はその場を立ち去った。
マリンの指示で、パーティメンバー4人で魔導書探し。
人手がほしいから~って事で、人じゃないけどボクまで駆り出されたよ。
それにしても、学園の図書館、広大過ぎじゃない?
本や資料類合わせて1億超える数って凄くない?
この中から目的の魔導書を探すなんて…途方もないよ。
「命中率を上げる支援魔法かい? あっちの棚で見たような…」
って図書館を管理するクー・ピイさんは言うんだけど…
…その棚っていうのがデカ過ぎて天井近くまで本が並んでて、果てしない感が続く。
「フラムは上の方を探して。俺は下段を探すから」
「はーい」
エカの指示で、ボクは赤い小鳥の姿になって棚の上段から中段を見て回る。
下段はエカとパーティメンバーが両端と真ん中から進んで探してゆく。
「これかなぁ…?」
クロエが1冊を棚から引き出して見ると………
タイトル:【必ず当たる魔法】
内容:明日の天気を当てたい人のためのお天気占い
………違ったようだ。
「…当てたいのは天気じゃない」
ふうっと軽く溜息をついて、クロエは本を戻した。
「ん~、これかぁ?」
チャデも1冊の本を取って見ると………
タイトル:【狙いを外さない魔法】
内容:テストの予想を外さないおまじない
………それは検定試験の時でいい…かな?
「…今はテスト以前の問題だぜ」
フッと苦笑してチャデも本を戻した。
「もしかして、これかな?」
エカも1冊を取り出して見ると………
タイトル:【狙い撃つ魔法】
内容:あなたのハートを狙い撃ち
………恋愛経験ゼロの子供には意味が無かった。
「???」
エカにはまだ早かったみたい。
「ありそうでなかなか見つからないわねぇ…」
探し疲れたマリンが、げっそりしながら本を手に取ると………
タイトル:基礎から学ぶ身体強化魔法
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………お?!
「…あったぁぁぁ!!!」
思わず叫んでしまい、慌てて自分の口を塞ぐマリン。
周囲を見回したけど、見える範囲に他の人はいなかった。
もしかしたら両隣の通路の人に聞こえていて、驚かせたかもしれないけどね。
やっと見つけた本を持って、エカたちは図書館中央にの閲覧コーナーに移動した。
この図書館は学園の本館隣にある円筒形の建物で、中央に閲覧コーナーがあり、放射状に本棚が並んでいる。
閲覧コーナーからは全ての通路が見渡せるので、図書館で誰かとはぐれた時はそこへ行けばいい。
さっき叫んじゃったマリンは各通路を覗いて、誰かいないか確認して回ったけど、誰もいなかったみたい。
「…よかったぁ…他に人がいなくて…」
「そりゃいないさ、見ろよ時計、真夜中だぜ」
「腹減った…ごはん食べ損ねちゃったなぁ」
「え?…あぁ、こんな時間になってたのね」
探すのに時間がかかり過ぎて、夕飯を食べ損ねてしまったエカたち。
いつもならお風呂に入る時間だけど、今はとにかく支援魔法を!という事になった。
「せっかくだから3人とも習得しちゃおうよ」
「OK」
「魔法は多くて損は無いからね」
魔法学部のエカ、クロエ、マリンは、順番に魔導書を読み、そこに記された起動言語と魔法イメージを記憶した。
「よし覚えた」
「明日の実習で試してみましょう」
「じゃあ、本を戻してくるね」
3人の魔法使いたちは下位支援魔法を習得して、マリンが本を元の場所へ返して図書館を出たんだけど…
「ねえエカ、あなたの弟って青い毛並みのコよね?」
廊下を歩きながら、マリンが小声でエカに聞いてくる。
「うん。俺くらいの背格好で、毛色が青だよ」
「さっき、そっくりな子がいたんだけど…」
…マリン、何か見たっぽい。
「…え? でも図書館には俺たちしかいなかったよね?」
「その筈なんだけど、見たのよ」
「声かけてみた?」
「ううん。一瞬チラッと見えただけで、すぐ消えちゃったの」
「…消えた…?」
困惑したエカが、鼻の穴広げて真顔になる。
それ、何か違うモノじゃないかな?
アズは瞬間移動の魔法なんて持ってないからね。
「もしかしてそれ、図書館の守護霊じゃない?」
「そういや禁書を護ってるっていう神霊がいるらしいよな」
クロエとチャデも会話に加わる。
「神霊が見えたら、禁書の間に入れるってウワサあるよな?」
「マリン、今度探してみようよ」
結局、マリンが見た青い毛並みの仔猫人が誰かは分からないまま、一同はその場を立ち去った。
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