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弱小ダサ勇者
しおりを挟む俺は勇者だ。
後数日で勇者ではなくなる。
今日から数日、美少女と勇者稼業をしなければならないからだ。
リアルフロッグを一匹退治に行くらしい。
彼女はとにかく弱いらしく、隣町までひたすら逃げて旅していたようだ。むしろその根性すげえな!
まあ、俺を追いかけてきた根性もすごいけど。ある意味最強なんじゃないかと俺は予感してる。メンタルが。
俺が旅人の洋服と鍋の蓋と剣を装備していたら、美少女はやってきた。
さぁいきましょうとさっさと家を出る。
ちょっと待て!
俺の前をズンズン進んでるが、慎重に行かないのか?
弱いって言ってたよな?
彼女は村を出て、とにかくリアルフロッグがいる方角へ行く。
村を出て東の王城に向かえば普通にいるらしい。
俺は必死に彼女の後をついて行くので精一杯で(ダサい)、目の前に魔物が現れてしまった。
大きな声で美少女を呼ぶ。
少女は振り返ると、俺をフォローしようと魔法を唱え出した。すごい気合が見て取れる。
なんだ、協力関係は作る気あるんじゃないか!
と、口元が綻んだ瞬間。
僧侶の初期魔法の真空魔法が飛んでくる!
うわ、ちょっとまて!
待て!
威力がヤバい!!
まて!
巻き込まれてしぬ!!!
少女の魔法はきちんと魔物に当たって瞬時に消え去ったが、威力が半端ないせいでこぼれ球の魔力がこちらにまで流れてくる。
鍋の蓋は瞬間で刻まれて抹消、俺はその威力でボールが跳ねて転がるように後ろの方まですっ飛ばされた。
あ……
彼女が他の冒険者に敬遠されてんのは、弱いんだからじゃなく。
状況判断と、威力をコントロール出来ずにぶっ放す事で生傷絶えないって事なのね……
レベル低くてこれ…むしろ勇者じゃねーか?
そんな事を考えながら、手を空に向かって伸ばし、意識が遠のいていくのがわかった。
俺、勇者、やっぱり辞めたい……
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