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ダサい勇者再び
しおりを挟む俺は今は一応勇者だ。
教会にアイテムを届けるまでだ。
だがしかし、とうとうこの美少女に捕まってしまった。
足を差し入れているときの彼女の形相は、鬼武者のようだった。あのまま反発していたら、勇者だろうがきっと斬られてしまったであろう。
あなおそろしや!
俺はしぶしぶ美少女を部屋に入れた。
この部屋にはベッドの脇に宝箱しかない。人を入れるような広さはなかったが、仕方ない。
パーティは断ったことをもう一度話したが、何やらこの村から3日ほど東に行った所にある王都で、依頼所から依頼を受けてしまったらしい。
リアルフロッグを一体倒すと、60ゴールデン手に入るらしい。それを、俺に付き添ってもらって倒したいとのことだ。
一回付き合ってくれればいいらしい。
必死に両手を合わせてお願いしている。
うーむ、と、俺は目をつぶり腕を組んで考える。
もうレベル7だし、出来ない依頼じゃないが……結局便利屋じゃないかと俺ははぁ、とため息をつく。
一度きりとの約束で、俺は引き受けることにした。
勇者延長である。
ステキな村人は、ほんの半日程度で終わってしまった。
運命は俺をダサい勇者から引き離してくれないのか。
とりあえずこれから教会まで聖水ボトルを置いてくると伝え、部屋からお引き取り願った。
俺はトボトボと教会へ行くと、シスターさんに依頼の品を渡した。そして、お礼の40ゴールデンを手に入れた。
シスターさんは宝石のような笑顔で俺を送り出してくれた。
ああ、勇者やってみて良かった。
あの美少女のせいでまだ勇者はやめられないが……
俺は一礼をして教会を出ると、明日からの勇者生活を思い馳せ、盛大なため息をつくのだった。
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