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第5章 六凶編 VS ブラッディマリア・ブルードラグーン

第210話 同時進行の惨劇

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 大阪で、ブラッディマリアの刺客が兵力を集めている頃、関東にはブルードラグーンからの刺客が現れた。3人の男女と数人の部下達を引き連れていた。千葉県浦安市にある東京ディズニーランドを一瞥し、レンタカーで千葉市へ向かう。
「何が夢の国だ。ドブネズミが意気がりやがって…。」
坊主で、右頬に傷のある男。彼の名は、キム・ジハン(32)。北朝鮮出身で、元朝鮮人民軍兵士。脱北者であり、日本に亡命。無常観を持っており、アミューズメント施設などを、頽廃的な物として嫌っている。助手席にいる黒髪ショートの女性。彼女も同じような思想を抱いている。
「確かに、ドブネズミの楽園よね。」
彼女の名は、チョン・ソンミ(28)。韓国人。元特殊部隊の人間だったが、閉鎖的な韓国社会に絶望し、一時はひかりの会に入信。そこでも救いを得られず、ブルードラグーンに入った。レンタカーは2台おり、もう1台の運転席にいる男は、ガムを噛んでいた。
「カルト教団め。残酷な死を与えてやる。」
眼鏡をかけた短髪で、細身の男。彼の名は、葉山翔(25)。母子家庭で育ち、母親に溺愛された。母子相姦をしたことで、タブーに目覚め、快楽殺人者となった。部下達は計6人でアタッシュケースとキャリーバッグには、武器が積んである。狙いは、新たに六凶に名乗り出た世界T教会だ。本部は狙わず、支部を壊滅させる。支部は、千葉と横浜だ。

 千葉市に到着。日が沈み、暗くなってきた頃、世界T教会千葉支部に近づく。白い教会で、信者達が集まっている。挨拶代わりに、翔がショットガンで、窓を銃撃した。
「うわぁ!!!!」
「誰だ?!」
動揺する信者達。信者らしき1人の老婆が、果敢にも翔に突っかかる。
「不届き者め!!!調和を乱しに来たのね!!穢らわしい!!」
翔は、眉一つ動かさず、早撃ちで老婆の眉間を銃撃。
「消えろ、クソババア。」
老婆は倒れ、教祖は、これを宣戦布告とみなし、信者達に武器を取るよう指示。坊主頭の恰幅のいいオジサンが出て来た。
「ここに乗り込むとは、良い度胸だな。私は、世界T教会千葉支部教祖の小村良二。またの名を、ドルゴン!!調和を乱す者は、消し去ってくれようか!!!皆の者、奴らを消せ!!」
武器を持った信者達が襲いかかる。翔達の部下も武器を持って戦う。
「俺達の目的は、お前らの皆殺しだ!!」
キムは先陣切って飛び込み、信者達を殴り倒す。部下達も信者達を殺害する。あっという間に、信者達の死体が横たわり、白い教会の壁は血塗られた。
「き、貴様ら一体?!」
怖気づく教祖に、キムが詰め寄る。
「俺達が何者かって?まぁ、言うならば、復讐者集団って、所か。」
教祖の鳩尾を殴り、悶絶した所で顎を蹴り上げ、顔面に連続パンチをお見舞い。
「かはぁっ!!もうやベテ!!」
キムは、教祖が意識を失うまで殴り続けた。その間に部下達は、油を撒いていた。教祖が倒れ、火を放って撤収。
「まずは、1つ目。次に行くぞ。」
黒煙と炎が立ち込める教会を後にし、横浜市へ向かった。

 その頃、大阪ミナミでは、雅文達が調査をしていた。ブラッディマリアの里帆・成美を尾行し、グリ下キッズや路上生活者に声をかけている様子を撮影。
「奴ら、兵力を集めているんやな?」
「雅文さん、橋の上にムキムキな奴らがおったんですけど、ソイツらも仲間ちゃいます?」
玲奈は、橋の上にいたマリノとマッチョ軍団も、仲間では無いかと推測。尾行を続けるが、気付かれそうになっているのと、マッチョ軍団が近づいて来ていることに気づき、18時になった所で撤退し、この日の調査は終了。なんばウォークに逃げ込み、地下から難波を出る。
「あのマッチョ軍団、やはり、アイツらの仲間や。」
「そうでしょう?玲奈達のこと勘づいてたんですよ。」
一方、美鈴達も撤退。マッチョ軍団が睨みを利かせていたからだ。
「誰か尾行して来てたわ。」
「探偵…。かも、しれない…。」
「まぁ、良いわ。恭也の元に行きましょう。」

 19時、難波にて、勧誘したグリ下キッズと路上生活者に事情を説明。ついて行く者達に東京行きの新幹線特急券を配布。
「だが、まだ心許ないな。アソコなら兵力は集められるぞ。」
「どこ?」
「西成。」
「アソコ、スラム街…。」
3人は、西成区へ移動。その日暮らしの労働者や路上生活者のいるあいりん地区に到着。
「何やアンタら?」
彼らに対し、里帆が意気揚々と語る。
「ご機嫌いかがかしら?その日暮らしの皆様方!!そのまま地面這いつくばって、底辺で惨めに生きる哀れな生活で、野垂れ死にする運命よね?だったら、私達と一緒に夢を見ない?成り上がれるチャンスよ!!今からゲームをしない?そこにいる貴方達で、殺し合いをするのよ!!!!!生きてられたら、私達の仲間として、底辺から連れ出してあげるわ!!!」
成美がアタッシュケースから、武器を取り出し、床にばら撒く。
「やったる、やったるでー!!!」
「どけや!!!ここから出るんや!!」
彼らは必死になって、武器を拾い、殺し合いを繰り広げる。血が飛び散り、死体の山が出来る。
「フン、極限状態の人間は、何でもするんだな。」
「フフフ、使える奴らは使うわよ。」
「コイツら、風呂入ってない。臭い…。」
3人は、殺し合いを見守っていた。

 同時刻、横浜市に到着した翔達。横浜みなとみらいがライトアップし、観覧車のネオンが煌めく。郊外にある教会に辿り着き、今度はソンミが、挨拶代わりに手榴弾を投げ込む。
「うわぁぁぁぁぁ!!!!!」
効果てきめんで、瞬く間に炎上し、信者達は火だるまになる。
「熱い!!熱い!!」
「人間バーベキュー、どこかで見たことあるな。」
翔が、悶える信者達を狙い撃ちにする。焼け落ちる教会から、武装した信者と教祖が現れる。
「貴様ら、何者だ?我が世界T教会に喧嘩を売るのか?」
プラチナアーマーに身を包んだ大柄な男。
「まぁ、復讐者集団ってことで。お前が教祖か?」
「如何にも。私は世界T教会横浜支部教祖の河村正親(まさちか)。またの名を、ウムドゥルドゥン。」
「モンゴル人みたいな名前しやがって…。ただのクソ親父が。」
キムと教祖が殴り合う。武装しているとはいえ、キムは、元北朝鮮軍の軍人。戦闘力は高い。素早さで圧倒し、顔面にパンチを浴びせる。
「がはっ!!」
「消えろ。」
教祖の口の中に、手榴弾を入れ、すぐさま離れる。
「がぁぁぁぁ!!!!」
口内で爆発し、教祖の顔が木っ端微塵に吹き飛んだ。
「よくも教祖様を!!」
ビキニアーマーに身を包んだ黒髪ショートの少女が、キムに斬りかかる。
「なんだお前は?」
「私は、川崎雅(みやび)。横浜支部の聖女よ。教祖様をよくも!!殺してやるわ!!」
睨みつけるキム。そこに翔が間に入る。
「ここは、俺に任せてくれないか?流石に連戦はキツイだろ?」
「すまんな。」
翔は、彼女の攻撃をひょいと避け、銃で両手足の付け根を狙撃し、動きを封じる。
「うぅ!!」
「ビキニアーマーなんて、所詮は飾り。お嬢ちゃん、その頭吹き飛ばしてやるよ。」
彼女の顔を掴み、口内を狙撃する。
「がはぁぁぁぁ!!!!!!」。
口から後頭部を撃ち抜かれ、血を流して苦しむ。
「じゃあ、脳天から花火を打ち上げようか。」
口内に銃を突っ込み、脳天まで撃ち抜いた。脳ミソと血が吹き出し、彼女は死亡した。
「ハハハ。美少女が血しぶきあげて、死ぬ光景は絵になるな…。」
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