193 / 220
第5章 六凶編 VS ブラッディマリア・ブルードラグーン
第192話 ウチナー 与那原謙介
しおりを挟む
与那原謙介は、1997年6月7日に、沖縄県那覇市で生まれた。父親は琉球大学教授、母親は国際通りの土産屋で勤務している。3歳離れた兄がおり、後に彼の影響で琉球空手を始めた。ポップカルチャーにも、興味を持ち、2000年代前半、沖縄からJ-POPのオリコンチャートにランクインしたアーティストの安室奈美恵・HY・ORANGE RANGEなどにハマった。中学生になると、沖縄の歴史に興味を持ち始め、首里城や琉球王国について研究するようになった。
「この赤い城が、昔の琉球王国の象徴だったんだ…。」
「これが、玉陵(たまうどぅん)か。スゴい。」
玉陵(たまうどぅん)は、琉球王国時代の国王と王家の墓である。1429年頃に尚巴志による三山統一で成立した琉球王国。明王朝の朝貢冊封体制に入り、中華世界の一員となった。対馬にいた島津氏の干渉を受け、攻め込まれることもあった。明王朝が滅び、清王朝になった後も変わらず、中華世界の一員であり続けた。清王朝は、乾隆帝の頃に全盛期を迎え、満・漢・蒙・回・西蔵、それらをひっくるめて「皇清の中夏」と呼んだ。しかし、清王朝が衰退し、日本が近代化すると、中華世界は崩れていき、琉球王国も立場が危うくなる。1879年に琉球処分を受け、琉球王国は消滅。沖縄県として、日本の一部になる。第二次世界大戦では、唯一の地上戦が起きた。戦後、アメリカの統治下に置かれ、1972年に沖縄返還で日本に戻って来た。波乱万丈な時代を送ってきた沖縄。琉球王国は栄枯盛衰の中で、独自の文化を形成し、守り継いで来たのである。
「壮大な歴史だな。」
2013年に高校生になった彼は、空手部に所属。琉球空手に熱心に取り組み、実力はメキメキと上達していった。琉球空手を極め、高校卒業後も大学で頑張り、師範代の実力を身に着けた。琉球大学で沖縄の文化や歴史を研究し、それらに携わる仕事に就こうと就職活動を続けるも、中々見つからず、落選を繰り返した。
「中々辿り着けんさ~。」
落ち込む彼。兄は励ます。
「なんくるないさ。」(何とかなるさ。)
選択肢の幅を広げようと、一か八かの形でワーキングホリデーという形で海外へ行くことにした。行き先は台湾。中国語を熱心に勉強し、7月から約1ヶ月間台湾で過ごす。
2019年7月、台湾へ行った。桃園国際空港から電車で台北市内へ行く。台北101が聳え立ち、狭い町中をバイクが走る。
「うはー。大都会さね~。」
沖縄よりも南国なので、かなり蒸し暑い。台湾発祥の小籠包のお店 鼎泰豊で小籠包をいただく。
「ハフハフ、汁が美味いな。」
沖縄と同じく美味いものがいっぱいあるので、食うには困らなかった。
沖縄
・スパムおにぎり
・ゴーヤチャンプルー
・ソーキそば
・タコライス
・ラフテー
台湾
・小籠包
・パイコー
・牛肉麺
・魯肉飯
・東波肉
南国の日々を満喫しながら、謙介は中国語を勉強し、台湾に移住して仕事することのイメージと計画を立てていった。
国立故宮博物院に行き、明・清王朝時代の美術品や絵画が多く展示され、謙介の知的好奇心をくすぐる。その中でも最も魅了されたものが、翠玉白菜と肉形石である。いずれも清王朝期に作られた彫刻であり、翠玉白菜は白菜の白い部分と葉っぱを上手く表現しており、葉っぱにはキリギリスがいる。肉形石は瑪瑙石と呼ばれる石を彫って作り、東波肉という豚の角煮を表現している。プルプルの脂身と下の肉の部分をリアルに表している。
「すごい…。」
白菜の上のキリギリスは縁起物であるらしく、清王朝の頃には宮廷に置かれている。肉形石も、沖縄のラフテーに似ているから親近感がある。
「何かラフテーみたいだな。」
いつかは、こういった所で働きたいな、と夢を抱いた。
沖縄に帰り、琉球大学卒業後、沖縄県立博物館・美術館で学芸員として働いた。沖縄の文化を研究しながら働いていたが、働き始めて3年目辺りで海外移住を希望するようになった。
(台湾に移住だ。)
台湾での就職先を探す。国立故宮博物院だが学芸員の募集はしておらず、もっと特殊な仕事は無いか、と探すと、探偵の仕事が見つかった。
「李章探偵事務所?」
台北市にある李章探偵事務所に、狙いを定めた。でも、自分にはまだ探偵の知識は無い。探偵の基礎知識を学ぶ必要がある。那覇市にあるガル探偵学校沖縄リゾート校に通うことにした。探偵の基礎を学び、調査方法などの知識を得た。
住居を確保し、2026年春に台湾へ移住した。台北市の李章探偵事務所の面接を受け、内定を獲得した。
「やった~!!!」
沖縄人の謙介は、イチャリバチョーデー(出会えば皆兄弟) という考えがあり、気さくな性格をしている。すぐに李章達と打ち解けた。王白龍と梅李香と、饒河街観光夜市で就職祝いの小さな食事会(食べ歩き)をした。
「おめでとう!!これからよろしくな。我是王白龍。」
「我是梅李香。よろしく!!」
台湾料理に舌鼓を打ち、パイナップルジュースで乾杯する謙介。台北101の上に見える満月を見て、ニッコリ微笑んだ。
「この赤い城が、昔の琉球王国の象徴だったんだ…。」
「これが、玉陵(たまうどぅん)か。スゴい。」
玉陵(たまうどぅん)は、琉球王国時代の国王と王家の墓である。1429年頃に尚巴志による三山統一で成立した琉球王国。明王朝の朝貢冊封体制に入り、中華世界の一員となった。対馬にいた島津氏の干渉を受け、攻め込まれることもあった。明王朝が滅び、清王朝になった後も変わらず、中華世界の一員であり続けた。清王朝は、乾隆帝の頃に全盛期を迎え、満・漢・蒙・回・西蔵、それらをひっくるめて「皇清の中夏」と呼んだ。しかし、清王朝が衰退し、日本が近代化すると、中華世界は崩れていき、琉球王国も立場が危うくなる。1879年に琉球処分を受け、琉球王国は消滅。沖縄県として、日本の一部になる。第二次世界大戦では、唯一の地上戦が起きた。戦後、アメリカの統治下に置かれ、1972年に沖縄返還で日本に戻って来た。波乱万丈な時代を送ってきた沖縄。琉球王国は栄枯盛衰の中で、独自の文化を形成し、守り継いで来たのである。
「壮大な歴史だな。」
2013年に高校生になった彼は、空手部に所属。琉球空手に熱心に取り組み、実力はメキメキと上達していった。琉球空手を極め、高校卒業後も大学で頑張り、師範代の実力を身に着けた。琉球大学で沖縄の文化や歴史を研究し、それらに携わる仕事に就こうと就職活動を続けるも、中々見つからず、落選を繰り返した。
「中々辿り着けんさ~。」
落ち込む彼。兄は励ます。
「なんくるないさ。」(何とかなるさ。)
選択肢の幅を広げようと、一か八かの形でワーキングホリデーという形で海外へ行くことにした。行き先は台湾。中国語を熱心に勉強し、7月から約1ヶ月間台湾で過ごす。
2019年7月、台湾へ行った。桃園国際空港から電車で台北市内へ行く。台北101が聳え立ち、狭い町中をバイクが走る。
「うはー。大都会さね~。」
沖縄よりも南国なので、かなり蒸し暑い。台湾発祥の小籠包のお店 鼎泰豊で小籠包をいただく。
「ハフハフ、汁が美味いな。」
沖縄と同じく美味いものがいっぱいあるので、食うには困らなかった。
沖縄
・スパムおにぎり
・ゴーヤチャンプルー
・ソーキそば
・タコライス
・ラフテー
台湾
・小籠包
・パイコー
・牛肉麺
・魯肉飯
・東波肉
南国の日々を満喫しながら、謙介は中国語を勉強し、台湾に移住して仕事することのイメージと計画を立てていった。
国立故宮博物院に行き、明・清王朝時代の美術品や絵画が多く展示され、謙介の知的好奇心をくすぐる。その中でも最も魅了されたものが、翠玉白菜と肉形石である。いずれも清王朝期に作られた彫刻であり、翠玉白菜は白菜の白い部分と葉っぱを上手く表現しており、葉っぱにはキリギリスがいる。肉形石は瑪瑙石と呼ばれる石を彫って作り、東波肉という豚の角煮を表現している。プルプルの脂身と下の肉の部分をリアルに表している。
「すごい…。」
白菜の上のキリギリスは縁起物であるらしく、清王朝の頃には宮廷に置かれている。肉形石も、沖縄のラフテーに似ているから親近感がある。
「何かラフテーみたいだな。」
いつかは、こういった所で働きたいな、と夢を抱いた。
沖縄に帰り、琉球大学卒業後、沖縄県立博物館・美術館で学芸員として働いた。沖縄の文化を研究しながら働いていたが、働き始めて3年目辺りで海外移住を希望するようになった。
(台湾に移住だ。)
台湾での就職先を探す。国立故宮博物院だが学芸員の募集はしておらず、もっと特殊な仕事は無いか、と探すと、探偵の仕事が見つかった。
「李章探偵事務所?」
台北市にある李章探偵事務所に、狙いを定めた。でも、自分にはまだ探偵の知識は無い。探偵の基礎知識を学ぶ必要がある。那覇市にあるガル探偵学校沖縄リゾート校に通うことにした。探偵の基礎を学び、調査方法などの知識を得た。
住居を確保し、2026年春に台湾へ移住した。台北市の李章探偵事務所の面接を受け、内定を獲得した。
「やった~!!!」
沖縄人の謙介は、イチャリバチョーデー(出会えば皆兄弟) という考えがあり、気さくな性格をしている。すぐに李章達と打ち解けた。王白龍と梅李香と、饒河街観光夜市で就職祝いの小さな食事会(食べ歩き)をした。
「おめでとう!!これからよろしくな。我是王白龍。」
「我是梅李香。よろしく!!」
台湾料理に舌鼓を打ち、パイナップルジュースで乾杯する謙介。台北101の上に見える満月を見て、ニッコリ微笑んだ。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
Strawberry Film
橋本健太
現代文学
「写真と言うのは、人の人生の中の、ほんの少しの断片を切り取ったもの。後で見た時に、美しいと思えるようにするもの。カメラマンっていうのは、そういう仕事さ。」
その一心で、ある時はグラビア専門のカメラマンとして、何人もの少女の写真を撮り、イメージビデオ作成に貢献し、写真集も出した。またある時はジャーナリストとして、海外に赴き、テレビで放送されない真実を撮影し、報道してきた。いつしか大物になった彼は、地元の京都に芸能事務所 Strawberry Milkを立ち上げ、多くの夢見る少女達の背中を押し、才能を引き出して、花を咲かせた。
この物語の主人公 香塚 薫(1974~2019)は、京都府出身のカメラマンである。これは、彼の生涯と彼が遺した写真集やイメージビデオ、また、撮影してきたものにまつわる物語である。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる