191 / 229
第5章 六凶編 VS ブラッディマリア・ブルードラグーン
第190話 台南ガール 梅李香
しおりを挟む
梅李香は、2002年10月11日に台湾台南市南区で生まれた。家はパイナップル農家で、李香も野生児であった。畑仕事をよく手伝い、パイナップルの収穫もしていた。
「植えて、植えて、収穫して、これでお金になる。」
南北に長い台湾。台南市は、台湾の6大直轄市の1つであり、観光スポットも充実している。台北市と並ぶ都会でもあり、李香は充実した日々を送っていた。
小学生の頃に、香港映画「グランドマスター」の影響で、カンフーを始めた。
「イップ・マンって人、スゴイよね。」
イップ・マンが考案したとされる詠春拳は、中国広東省を中心に伝承されてきた徒手武術を主とする中国武術。イップ・マンの弟子には、ブルース・リーもいた。香港映画の他にも、台湾映画にハマっていた李香は、2008年に公開された「カンフー・ダンク」にもハマった。主題歌も担当した周杰倫(ジェイ・チョウ)にメロメロになった。疫病危機を乗り越え、台北市立大学に進学。台北市に移住した。
「うわー!!!スゴいな!!!」
聳え立つ台北101やハイテクなエリアなどに圧倒される。都市発展について勉強。台北市の夜市でアルバイトをしながら、生計を立てていた。
「世界中から観光客が来てるね。」
彼女は士林区に住んでおり、士林夜市(シーリンイエシー)で働いていた。士林区には、世界四大博物館の1つである国立故宮博物院があり、世界中から観光客が訪れる。働いていた店では、台湾名物の大鶏排(ダージーパイ)を販売している。大鶏排は巨大なフライドチキンである。マスターは素手で、大鶏排を揚げ、鍋に手を突っ込んで取り出した。
「マスター、スゴイです!!」
「ハッハッハッ!!心頭滅却だよ。」
士林夜市は、2011年にリニューアルし、昔ながらの雰囲気をそのままに、安全で衛生的な環境で食べ歩きやショッピングを楽しめる。小籠包の他に、牡蠣オムレツ・胡椒餅(フーシャオピン)・牛肉麺などの台湾名物がいただける。マスターの真似して、素手で取ろうとしたが、爪と指の間に油が入り、火傷しそうになった。
「アイヤー!!!!」
「ハッハッハッ!!修行が足りんな!!」
バイトに励む一方で、就職先を考えた時、人と違う特殊な仕事に就きたい、という考えに辿り着いた。大学では、しっかりと単位を取得し、卒業に向けて準備を進めていた。Eスポーツ・YouTube・TikTok・Instagramなどで仕事が出来る時代。台湾のIT大臣で天才と言われるオードリー・タンにも憧れを抱いている。IT企業も台湾には豊富にあるが、ITになると座りっぱなしでパソコンをカチャカチャいじってるイメージがあり、活発な李香とは相性が悪い。特殊な仕事で何があるかを考えた。2023年春、全世界で海外旅行が再開され、行ける範囲が広がったことを受け、3回生になった李香は思い切ったチャレンジをする。海外留学だ。行き先はイギリス。世界の標準語とも言える英語を習得するのと、イギリスは文学が成熟しており、そういった文化を体感したい、という目的である。
2023年7月、4週間という短期間だが、李香にとって初の海外での留学が始まった。桃園国際空港から10時間かけて飛び、ロンドンヒースロー空港に着陸。入国審査を済ませ、イギリスの街へ出た。
「うわぁ~!!!スゴい!!!!」
2階建てバスが走り、時計台が聳え立つ。これぞ西洋という街並みが広がっていた。
「スゴい。白人さんデカイな。」
かつて世界でいち早く産業革命を起こし、近代化に成功したイギリス。圧倒的な軍事力で、アジアやアフリカを植民地にし、大英帝国と呼ばれた。李香は英語を学び、イギリス文学や都市発展について勉強した。イギリス料理も口に合い、特にフィッシュアンドチップスにハマった。
「大鶏排みたいで美味しい。」
イギリス文学を研究していると、アガサ・クリスティーやコナン・ドイルという推理作家を知り、シャーロックホームズなどの探偵小説にハマった。
「これだ!」
探偵という仕事に出会い、推理小説を読み漁って猛勉強した。帰国後、3回生の単位を全て修得し、4回生は卒業研究のみとなった。探偵学校に通い、探偵の基礎を学ぶ。
「探偵、というのは、警察が解決出来ない案件を担当します。」
「尾行・観察・盗聴。これらのことは、決して相手に気付かれてはいけない。探偵は、目立たないこと。」
探偵としての心構えや仕事内容・調査方法などを実習も交えながら習得していく。探偵の求人は乏しいが、それでも根気強く就活を続け、李章探偵事務所から内定をもらった。
相棒となった王白龍と共に、数々の案件を担当し、解決した。印象に残っているのは、ベトナムまで乗り込んだ件である。台北最大の夜市 饒河街観光夜市で、東南アジア系の怪しげな商人がいると聞き、調査に乗り出す。
「シンチャオ。ギラファノコギリクワガタやコーカサスオオカブトがいるよ。他にも、DVD買ってく?」
南国のカブトムシ・クワガタムシを密猟して販売、DVDの中身は東南アジアで撮影された売春のわいせつ物、証拠を集め、警察に突き出そうとしたが、奴は逃亡。ベトナムまで追いかけ、ハノイで追い詰めた。
「你好、逃げられると思った?」
「クッ、見ていろ。」
拳銃で発砲してきた。奴のアジトで一進一退の攻防を重ね、現地警察が来るまで時間を稼ぐ。最後は爆破して、脱出することが出来た。李章と王白龍のおかげで助かった。
「謝謝。」
この一件をきっかけに、彼らの絆は深まった。
「植えて、植えて、収穫して、これでお金になる。」
南北に長い台湾。台南市は、台湾の6大直轄市の1つであり、観光スポットも充実している。台北市と並ぶ都会でもあり、李香は充実した日々を送っていた。
小学生の頃に、香港映画「グランドマスター」の影響で、カンフーを始めた。
「イップ・マンって人、スゴイよね。」
イップ・マンが考案したとされる詠春拳は、中国広東省を中心に伝承されてきた徒手武術を主とする中国武術。イップ・マンの弟子には、ブルース・リーもいた。香港映画の他にも、台湾映画にハマっていた李香は、2008年に公開された「カンフー・ダンク」にもハマった。主題歌も担当した周杰倫(ジェイ・チョウ)にメロメロになった。疫病危機を乗り越え、台北市立大学に進学。台北市に移住した。
「うわー!!!スゴいな!!!」
聳え立つ台北101やハイテクなエリアなどに圧倒される。都市発展について勉強。台北市の夜市でアルバイトをしながら、生計を立てていた。
「世界中から観光客が来てるね。」
彼女は士林区に住んでおり、士林夜市(シーリンイエシー)で働いていた。士林区には、世界四大博物館の1つである国立故宮博物院があり、世界中から観光客が訪れる。働いていた店では、台湾名物の大鶏排(ダージーパイ)を販売している。大鶏排は巨大なフライドチキンである。マスターは素手で、大鶏排を揚げ、鍋に手を突っ込んで取り出した。
「マスター、スゴイです!!」
「ハッハッハッ!!心頭滅却だよ。」
士林夜市は、2011年にリニューアルし、昔ながらの雰囲気をそのままに、安全で衛生的な環境で食べ歩きやショッピングを楽しめる。小籠包の他に、牡蠣オムレツ・胡椒餅(フーシャオピン)・牛肉麺などの台湾名物がいただける。マスターの真似して、素手で取ろうとしたが、爪と指の間に油が入り、火傷しそうになった。
「アイヤー!!!!」
「ハッハッハッ!!修行が足りんな!!」
バイトに励む一方で、就職先を考えた時、人と違う特殊な仕事に就きたい、という考えに辿り着いた。大学では、しっかりと単位を取得し、卒業に向けて準備を進めていた。Eスポーツ・YouTube・TikTok・Instagramなどで仕事が出来る時代。台湾のIT大臣で天才と言われるオードリー・タンにも憧れを抱いている。IT企業も台湾には豊富にあるが、ITになると座りっぱなしでパソコンをカチャカチャいじってるイメージがあり、活発な李香とは相性が悪い。特殊な仕事で何があるかを考えた。2023年春、全世界で海外旅行が再開され、行ける範囲が広がったことを受け、3回生になった李香は思い切ったチャレンジをする。海外留学だ。行き先はイギリス。世界の標準語とも言える英語を習得するのと、イギリスは文学が成熟しており、そういった文化を体感したい、という目的である。
2023年7月、4週間という短期間だが、李香にとって初の海外での留学が始まった。桃園国際空港から10時間かけて飛び、ロンドンヒースロー空港に着陸。入国審査を済ませ、イギリスの街へ出た。
「うわぁ~!!!スゴい!!!!」
2階建てバスが走り、時計台が聳え立つ。これぞ西洋という街並みが広がっていた。
「スゴい。白人さんデカイな。」
かつて世界でいち早く産業革命を起こし、近代化に成功したイギリス。圧倒的な軍事力で、アジアやアフリカを植民地にし、大英帝国と呼ばれた。李香は英語を学び、イギリス文学や都市発展について勉強した。イギリス料理も口に合い、特にフィッシュアンドチップスにハマった。
「大鶏排みたいで美味しい。」
イギリス文学を研究していると、アガサ・クリスティーやコナン・ドイルという推理作家を知り、シャーロックホームズなどの探偵小説にハマった。
「これだ!」
探偵という仕事に出会い、推理小説を読み漁って猛勉強した。帰国後、3回生の単位を全て修得し、4回生は卒業研究のみとなった。探偵学校に通い、探偵の基礎を学ぶ。
「探偵、というのは、警察が解決出来ない案件を担当します。」
「尾行・観察・盗聴。これらのことは、決して相手に気付かれてはいけない。探偵は、目立たないこと。」
探偵としての心構えや仕事内容・調査方法などを実習も交えながら習得していく。探偵の求人は乏しいが、それでも根気強く就活を続け、李章探偵事務所から内定をもらった。
相棒となった王白龍と共に、数々の案件を担当し、解決した。印象に残っているのは、ベトナムまで乗り込んだ件である。台北最大の夜市 饒河街観光夜市で、東南アジア系の怪しげな商人がいると聞き、調査に乗り出す。
「シンチャオ。ギラファノコギリクワガタやコーカサスオオカブトがいるよ。他にも、DVD買ってく?」
南国のカブトムシ・クワガタムシを密猟して販売、DVDの中身は東南アジアで撮影された売春のわいせつ物、証拠を集め、警察に突き出そうとしたが、奴は逃亡。ベトナムまで追いかけ、ハノイで追い詰めた。
「你好、逃げられると思った?」
「クッ、見ていろ。」
拳銃で発砲してきた。奴のアジトで一進一退の攻防を重ね、現地警察が来るまで時間を稼ぐ。最後は爆破して、脱出することが出来た。李章と王白龍のおかげで助かった。
「謝謝。」
この一件をきっかけに、彼らの絆は深まった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
Strawberry Film
橋本健太
現代文学
「写真と言うのは、人の人生の中の、ほんの少しの断片を切り取ったもの。後で見た時に、美しいと思えるようにするもの。カメラマンっていうのは、そういう仕事さ。」
その一心で、ある時はグラビア専門のカメラマンとして、何人もの少女の写真を撮り、イメージビデオ作成に貢献し、写真集も出した。またある時はジャーナリストとして、海外に赴き、テレビで放送されない真実を撮影し、報道してきた。いつしか大物になった彼は、地元の京都に芸能事務所 Strawberry Milkを立ち上げ、多くの夢見る少女達の背中を押し、才能を引き出して、花を咲かせた。
この物語の主人公 香塚 薫(1974~2019)は、京都府出身のカメラマンである。これは、彼の生涯と彼が遺した写真集やイメージビデオ、また、撮影してきたものにまつわる物語である。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる