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第5章 六凶編 VS ブラッディマリア・ブルードラグーン

第186話 カルトVSカンフー

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 香港にて、九龍半島にある繁華街 旺角。陳からの話を聞いた黄仙探偵事務所。
「ひかりの会、世界T教会か。韓国のカルト教団だな。」
日韓のカルト教団を勢力が、香港に迫って来ることを知り、ウォン達も作戦を立てる。その頃、日本海から南下して来た謎のチャーター船が、香港島の近くに現れた。
「ここか。香港というのは。」
韓国 加平郡から送り込まれたひかりの会の使者達である。キムから直々に力を授かった10人の男女によるAi改造兵士も、その中に含まれている。AI改造兵士とは、ステロイドホルモンやドーピングで使われている禁止薬物などを配合した培養液を注射したことにより、身体能力が強化され、一部の兵士は身体半分サイボーグにするなどで、著しく戦闘能力を強化した兵士である。香港に派遣されたメンバーは、AI改造兵士2人(男女)と信者5人の計7人。台湾にも、同じ兵力で派遣する予定。九龍半島南部の尖沙咀にあるチャイナフェリーターミナルに停泊。宣教師として、パスポートを見せて入国した。尖沙咀の九龍公園で布教活動を行う。
「アンニョンハセヨ!!韓国から来た我々は、ひかりの会!!愛・調和・力による理想郷を作りましょう!!」
AI改造兵士の黒髪ロングの女性 ボミ(25)。K-Popアイドル並みの美貌をしている。白装束の信者達の傍らにいる大柄な男もAI改造兵士。
「雨傘運動・2019反政府抗議活動、それらは失敗し、国家安全維持法が制定され、アップルデイリーまで消された!!ならば、ひかりの会と世界T教会の理想郷に、香港も組み込んで差し上げよう!!」
短髪で肩幅の大きい男性 ガンソ(25)。怪力自慢でテコンドー有段者。街宣して信者を募る。奴らの存在は、すぐに香港で話題になり、怪しい奴らとしてマークされた。

 奴らが来て3日目、油麻地の男人街で街宣。入信希望の10人の18~30代の男女に、入信の儀式を行う。
「よくぞ来た。我々の世界へ導いてやるぞ。」
ボミの呼びかけに、入信希望者が応じる。公衆の面前で裸になる入信希望者達。信者が洗礼として冷水を浴びせる。ペアを作り、愛の儀式として、乱交パーティーを行う。それから、入信希望者達を自分達のチャーター船に連れ込み、信者を増やすように呼びかけた。5日目、旺角の黄仙探偵事務所に、奴らを調査するよう依頼が入った。
「もしや、奴らが陳が言っていた連中か?」
ウォン達は、早速調査に乗り出す。入信希望者は40人まで膨れ上がり、各地で信者が街宣を行う。ウォン達は、聞き込み調査を行い、奴らが街宣を行ったエリアを廻る。そして、奴らのチャーター船を特定した。
「あの船か…。」
武闘派のリーと頭脳派のアグネス。シンガポールにルーツのある2人は、相性が良い。気づかれないように、船の周りで調査すると、入信希望者達に武術訓練を施していた。
「構えは、こうだ。」
「流石は、イップ・マンやブルース・リーを輩出しただけはある。コイツらをしっかり鍛え上げて、韓国へ持ち帰れば、我らの東アジア制圧の野望にグッと近づける。」
ボミとガンソの恐るべき野望に、2人は慄然とした。
(東アジア制圧?!)
東アジアの支配者は、歴史上で言えば、近代以前までは朝貢冊封体制と華夷秩序に基づいて、中国王朝が頂点に立ち、近代以降と第二次世界大戦時は大日本帝国が列強国としてアジアに君臨し、日本を盟主にした大東亜共栄圏を作ろうとしたなど、時代によって変遷してきた。現在、ひかりの会と世界T教会という日韓のカルト教団が手を組み、東アジア制圧に乗り出そうとしている。
「そうなれば、北朝鮮以上に恐ろしい世界になってしまうわ。」
「そうだな。奴らがカルト教団であることを皆に知らせる必要がある。」
2人は、熱心に証拠を集めた。

 奴らが香港に来て、1週間が経過した。その間、食事などは入信希望者から出家の布施として、茶餐店や夜市の出店でテイクアウトしたものなどを届けてもらっていた。ウォン達は香港市民に、韓国から来たひかりの会の恐るべき野望を説明。市民達は一致団結して、ひかりの会を香港から追い出そうと立ち上がった。この様子を見た香港警察も重い腰を上げて、ひかりの会追放に乗り出す。奴らが来て12日目、旺角の女人街でひかりの会が無許可の宗教活動を行い、止めようとした市民が襲撃される事件が起きた。
「調和を乱す者には、力で制裁だ!!」
夜のネオン煌めく街で、銃撃戦が起こる。
「我らの世界に連れて行ってやる!!」
「ここは香港!!俺達の自由を奪うな!!」 
市民達は、ひかりの会信者達と応戦するが、持参していたダイナマイトで露店ごと爆破され、辺りは火の海に包まれる。
「フフフ、我らの貴い野望を邪魔するから、こうなるのよ。焼き払ってしまいなさい。」
悶え苦しむ市民と、炎上する露店を見下ろしながら、ほくそ笑むボミ。そこにウォン達が来た。
「お嬢さん、こんなバカな真似はよしな。」
「誰、アンタ?」
「私は、黄仙探偵事務所所長 ウォン・クーシェンだ。お前達のことは、私の友人の陳から聞いた。確か、日本の世界T教会の親分だな?日本人のひかりとかいう小娘を崇拝して、東アジア制圧しようとしているんだってな。もし、日本を狙うのなら、この香港でお前達を止めてやる。親友達の居場所を奪わせやしない!!!」
好戦的な様子のウォンに、ボミは笑みを浮かべる。
「何?ジャッキー・チェンのマネ?フフフ、信者達。逃亡と戦闘。この2つを遂行しなさい!!!」
ボミの号令で、信者達は統率の取れた動きを見せる。ボミは白いラバースーツに身を包み、右腕には小型のバズーカが付いている。
ガンソが、ネイザンロードへ信者達を誘導し、尖沙咀のチャイナフェリーターミナルへ向かわせる。
「逃がすか!!」
リーがバイクで、ガンソに体当たりするが、軽々と受け止められた。白いラバースーツに身を包み、身体は筋骨隆々。
「な、動かない!?」
「フン、調和を乱す者は制裁だ!!」
持ち上げると、近くの店へ投げ飛ばした。ボミ達もネイザンロードで尖沙咀へ逃亡しようとするため、ウォン達もバイクで追いかける。

 ウォンとボミの一騎打ちとなり、ウォンは詠春拳の動きで、攻撃を受け流す。
「やるわね。」
「舐めてもらっちゃ困るな。」
香港警察も出動し、ひかりの会信者達を追う。ネイザンロードを走るバスを見つけ、ボミはロープでバスに掴まり、屋根に乗ろうとする。
「クソ、逃がすか!!」
ウォンも走って追いかけ、バスに掴まる。ネイザンロードを爆走するバス。屋根に上がり、ボミを掴まえる。
「逃がさねぇぞ!!」
「放しなさいよ!!」
ボミの蹴りを受けながらも、ウォンは決して放さない。ネイザンロードを南下し、油麻地へ進む。大量のネオン看板。ボミを掴み、看板に激突させる。
「ハッハッハッ!!顔面ごと潰れろ!!」
持ち上げて、道路に投げ飛ばす。バスに撥ね飛ばされ、落下した先でタクシーに轢かれた。多重事故でバスとタクシーは停車した。
「無問題?」
「死了?」
駆け寄る一同。ボミは立ち上がり、折れた腕を掴んで、強制的に骨ごとくっつけた。頭も同様に掴んで、首を元に位置に戻した。頭から血を流しているが、殺気は衰えない。バズーカでバスとタクシーを爆破した。
「ギィヤァァァァァ!!!!!」
ウォンは愕然とした。 
「一体何なんだ…。」 
「フフフ、私はAI改造兵士。教えのためなら、死も厭わないわ。」
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