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第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第130話 LEVEL3 中国

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    ウォン達に別れを告げ、香港国際空港で出国手続きを行い、13時の香港発北京行きの飛行機に乗り、香港を後にした。香港は東南アジアの近くで、温暖な気候だったが、北京の冬は寒く、氷点下まで気温が下がることもある。気温の変化に対応することが鍵。3時間の移動を経て、北京首都国際空港に到着した。
「さぁ、着いた。」
入国審査を経て、手荷物を受け取り、空港で出迎えを待つ。しばらくすると、現地の探偵が手配したマイクロバスが来て、それに乗って、空港を後にした。空港から南下していくと、北京の中心地に入り、紫禁城や天安門広場が見えた。時刻は17時。マイクロバスは一同を下ろし、運転手は到着したエリアについて簡単な説明をした。ここは王府井(ワンフーチン)は、日本の銀座に匹敵する繁華街で、ショッピングスポットの他、古い街並みを再現した屋台街もある。運転手に案内され、大きな一軒家のような建物に着いた。中に入ると、中国四聖獣の1つである玄武が2対になって置かれている。黒いスーツのガッチリした男性が出迎え、応接間に案内し、中国茶を振る舞ってくれた。全員が席に着いた所で男性が自己紹介した。
「歓迎光臨!大家好!我叫李克。」(ようこそ、皆さんこんにちは。私は李克と申します。)
ここは、北京を拠点とする「有哏公司影子侦探办事处」(中国語:ヨウゲンゴンシー インズー ジェンタンバンジーチュウ 日本語:有限会社 シャドー探偵事務所)北京本社である。彼が2014年に立ち上げた探偵事務所で、現在は上海・重慶・広州に支部を設け、それぞれの事務所の入り口には、青龍・白虎・朱雀の置物が2対で鎮座している。所長の、李克(中国語:リー・クー 日本語:り・こく)は1978年生まれの48歳。北京出身で、元人民解放軍の軍人。退役後は経営を学び、探偵事務所を設立。上海・重慶・広州の探偵達を加入させ、規模を拡大した。所長の横にいる3人も自己紹介した。
「我是張水竜。」(私は、張水竜です。)
張水竜(中国語:チャン・シュイロン 日本語:ちょう・すいりゅう) 1990年生まれの36歳。清王朝を作った女真人の末裔 満州民族。色白で面長。頭脳明晰である。
「我是陳曹秀。」(私は、陳曹秀です。)
陳曹秀(中国語:チェン・ツァオシゥ) 1999年生まれの27歳。北京市出身。中国武術に長けている。
「我是李桃桃。」(私は、李桃桃です。)
李桃桃(中国語:リー・タオタオ 日本語:り・とうとう) 1999年生まれの27歳。天津市出身。黒髪ショートの豊満な女性。料理の腕はピカ一。李克は日本に行ったことがあり、日本語が堪能で、他の者も日本語が話せて、理解できる。陳達も自己紹介し、アイスブレイクを経て、日程の段取りを確認。時刻は19時。事務所を後にし、宿泊先に向かう。

   ホテルは、北京市東城区にある北京飯店。チェックインし、荷物を置いてから、夕食をいただく。北京名物の北京ダックや、北京料理では主食の水餃子に舌鼓を打つ。初めての中国で、北京ダックを食べる雅文と美夜子。神戸の子息と芦屋の令嬢であるが、北京ダックは初。薄い餅のような皮に、ダックの切れ端とネギを乗せ、甜麺醤をつけて巻いていただく。
「美味い!」
「本場の北京ダックは、美味しいわね。」
水餃子は主食で、日本のおにぎりのように具のバリエーションが豊富である。
「雅文さん、あーん🖤」
「あ、あーん…。」
「玲奈ちゃん、妻みたいやね。」
「妻って、そんな照れますよ~。」
北京料理を堪能し、精をつけた。ホテルに戻り、シャワーを浴びて、明日の準備をし、眠りに着いた。翌日、起床した一同はトレーニングウェアに着替え、東単公園でラジオ体操し、ホテルのレストランで朝粥をいただく。9時に王府井にある事務所に集合した。ここで今日の特訓内容が説明された。午前の部は、国家スタジアム周辺でランニング&筋トレ、午後の部は、万里の長城でトレーニング、と体育会系の内容となった。
  
   事務所から移動し、国会スタジアムについた。国家スタジアムは、2008北京オリンピックのメイン会場で、オリンピック公園にある。敷地は広大なので、トレーニングには打ってつけである。北京は北部に位置するため、1月の気温は10℃を下回る。
「寒い…。」
「台湾と香港温かかったから、北京めっちゃ寒い~!」
準備運動を済ませ、一同は、オリンピック公園でランニングを行う。ターニングポイントを決め、タイムを図る。
「開始!!」
号令と共に、雅文達が走り出す。敷地は広大なため、ガイドとして張・陳・李が自転車で並走する。乾燥した気候なので、息が上がるのが早い。
「ハァハァ…。」
「キツイわ…。」
並走する3人が、雅文達を鼓舞する。
「加油!」(頑張れ!)
ランニング後は、筋トレを行う。元中国人民解放軍の軍人でもある李は、キツいトレーニングで雅文達を追い込むが、それと同様に3人も鍛錬に励んでいた。
「我々が、手本にならなければな。」
午前中のトレーニングを終え、クールダウンをして疲労を取る。昼食は、北京のローカルグルメ「老北京小吃」(ラオベイジンシャオチー)をいただく。李が全員分出したが、お手頃価格なので問題なし。1時間の休憩を経て、13時にマイクロバスで万里の長城へ向かった。

 万里の長城は、人工衛星で唯一確認出来る建造物で、ユネスコ世界文化遺産である。混雑する時間を避け、長城に上る。ウォーミングアップを済ませ、長城でランニングをする。万里の長城は、標高の高い山岳地帯にあり、強風が吹いている。足がパンパンになる雅文達。その後、カンフー修行も行った。16時、万里の長城を後にし、ホテルに戻った。しっかりとケアをし、明日に備える。夕食は、水餃子と四川料理を堪能した。
「みんな、あと3日だ。頑張ろう。」
「はい!」
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