上 下
91 / 211
第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第90話 美ら海ハーレム

しおりを挟む
    那覇空港に到着し、レンタカーを返却して、航空券を受け取る。荷物を送り、17時30分発の宮古島行きの飛行機に乗る。
「宮古島、人魚伝説がある場所ね。」
「人魚に会いたいな…。」
人魚に思いを馳せ、飛行機は宮古島へ向かう。エメラルドグリーンの海に、夕陽が映え、これからの展開を予想しているかのようである。

    宮古空港に到着し、レンタカーを借りて、宿泊先へ向かう。宮古空港周辺は畑があり、草原が広がる。
「空がめっちゃ広いな。」
「島の風景ね。 」
市街地へ出て、しばらく走ると、謎の人形が立っていた。
「何やアレ?」
「警官の格好してますね。」 
これは、「宮古島守くん」というキャラクターで、交通安全を呼び掛けている。宿泊先に到着。格安ホテルに3人で泊まる。客室に入り、まずは風呂に入ることにした。浴槽はあったが、お湯は溜めず、シャワーだけの使用。
「宮古島も、めっちゃ暑いな…。」
「南国やからね。」
汗ばんだカッターシャツを脱ぎ、ズボンとスカートをハンガーにかけて干す。3人一緒に入浴する。
「美夜子さん、汗でベタベタして脱ぎにくいから、脱がしてください~!」
「もうしょうがないわね。」
3人共、裸になり、シャワーを浴びる。雅文は浴槽に入って、頭と身体を洗う。美夜子と玲奈は、仲睦まじい様子で身体を洗い合う。
「何か、レズみたいになってるな…。」
目の前で裸になっている美夜子と玲奈の色気に、思わずたじろぐ雅文。雅文自身、玲奈の裸を見るのは、初めてである。雅文はドキドキしながら、頭と身体を洗う。
「玲奈ちゃん、オッパイ大きいな…。」
「雅文さん、赤くなってます?」
「玲奈ちゃん、背中流すから座って。」
美夜子と玲奈の城崎での女子旅で、SMごっこをし、レズのような関係が出来た。玲奈は年上だが、少し子どもっぽい所があり、美夜子に甘えている。髑髏城との戦いで負傷し、しばらく入院していたから、尚更、雅文と美夜子にベッタリしている。シャワーを済ませ、身体を拭いて着替え、3人は夕食に向かう。

    日中は、美夜子と玲奈が運転していたということもあり、夜は雅文が運転する。宮古空港周辺は畑が広がり、空も広く感じる。
「玲奈ちゃん、美夜子にめっちゃ甘えてたけど、入院生活が寂しかったん?」
「はい。夜の病院は暗いし、中々1人でトイレ行けへんかった…。後、入院中に知ったんですけど、髑髏城との戦い、雅文さんと美夜子さん大活躍してましたね!」
「まぁ…。私は記憶の断片のパズルを取り戻せたし、友達を救えたからな…。」
「雅文のおかげよ。」
しばらく走ると、風情ある感じのお店が見えた。
「ん?「「島おでん たから」」?どないする?行く?」
「夏場でも、鍋物は食べたいわ。行きましょう。」
「良さそうですね。」
駐車場に駐車し、店内に入る。
「いらっしゃい。」
エプロンをした、大きなお婆さんが出迎えてくれた。
「オジィ?」 
「お婆よ。」

    カウンター席に着き、まずは飲み物を頼む。車で来たのと、明日も調査と言うことで全員ウーロン茶。島おでん盛り合わせと、宮古島名物の宮古そば、沖縄料理のポーク玉子をオーダーした。雅文の左側に玲奈、右側に美夜子が座り、ちょっとしたハーレムのようである。
「両手に花みたいやな…。」
「雅文さん、イケてますね。」
「玲奈ちゃん、雅文の腕掴まないの。」
しばらくしていると、島おでん盛り合わせと宮古そばが来た。島おでんには、一般的なおでんの具の他に、豚足やソーキなどが入っている。宮古そばはあっさりした味わい。
「いただきます。」
おでんをシェアし、宮古そばと一緒にいただく。
「美味いな。あっさりしてて。」
玲奈は、雅文を見つめて、
「雅文さん、アーンってしますよ。」
「ええの?じゃあ、お言葉に甘えて…。」
沖縄名物のソーキを、玲奈に食べさせてもらう。
「美味いよ。」
「玲奈にも、アーンって、して♥」
雅文は、味の染みた煮卵を玲奈に食べさせる。流石に一口では難しく、取り皿に半分嚙み千切ったのを落として、口を押さえた。
「ハフハフっ、熱っ、熱っ…。」
その後、ポーク玉子が来た。ポーク玉子は沖縄発祥の料理で、缶詰のランチョンミート(スパムポーク)と卵を炒めたものである。初めて見た料理に、3人は舌鼓を打つ。
「ポークの塩分が、ちょうどいい。」
「ユニークで美味しいわ。」
3人の仲睦まじい様子を、微笑ましく見ていたお婆が口を開いた。
「そこのお兄ちゃんお姉ちゃん達、随分仲良しだねぇ。恋人かい?」
「私達は、神戸から来ました。探偵です。」
「探偵、カッコいいねぇ…。」
「恐縮です。マダム。」
「マダムって、アンタも好きねぇ…。」
雅文とお婆との会話に、美夜子も入る。
「お話し中、すいません。私も探偵をしております。桐島美夜子という者です。沖縄本島や宮古島に人魚伝説があると聞いたのですが、何かご存じですか?」
「人魚…。あぁ、いたね!確か1ヶ月前かね、人魚の謎を探る、と本島から来た人がいたね。」
有力な情報だと確信した美夜子は、今回の依頼のターゲットである我那覇弘毅の写真を見せた。
「それは、この方ですか?」
「あぁ、そうそう。この人さ。あれから全く音沙汰無しで、どうなったか分からんのよね…。」
「分かりました。ありがとうございます。」
宮古島のグルメを堪能し、情報を得た3人は店を後にし、1日目の調査は終了。

 7月22日(火)、調査2日目、美夜子は昨夜の調査結果を依頼人に電話で報告した。この日は、依頼人が高校時代に人魚を目撃したというパイナガマビーチに向かう。朝食を済ませ、レンタカーを走らせる。美夜子はサングラスをかけ、胸元を露出した服装で、快調に宮古島の道路を走る。
「海が綺麗ね。」
「人魚に出会いたいね。」
青い空、エメラルドグリーンの海と、南国の風景が3人の好奇心を駆り立てる。真夏の冒険の予感がしてくる。パイナガマビーチに到着。青い海、白い砂浜、これぞ南国である。午前中は、雅文は海に入らず、砂浜で人魚を探す。
「お待たせ、雅文。」
水着に着替えた2人に、雅文は思わず見とれた。美夜子は、白いビキニで、右の胸元に赤いハイビスカスが描かれている。玲奈は、白いレオタードで、横に青い線が描いてある。
「純白さが、海に映えるね。」
「雅文さん、照れてます?」
「玲奈ちゃん、海に入る前は準備体操よ。」
美夜子と玲奈は、海に入る前に準備体操をした。白い水着から、溢れんばかりの豊満な乳房と尻、引き締まったウェストと太もも、全てが調和した美しさに、雅文は息を飲んだ。
「モディリアーニの絵画みたいや…。」
その後、雅文は砂浜を歩き回って、人魚を探す。美夜子と玲奈は、南国の海を満喫。
「あ~、気持ちいい~!」
「楽しいわね。」
「玲奈ちゃん、もしかして雅文のこと、好きなん?」
「別に、そういう訳じゃな、きゃあ、冷たい~!」

 その頃、雅文は砂浜を歩いていた。人魚が本当に砂浜にいるのか、と半信半疑であった。暑い日差しが照り付け、頭がボーっとしかける。壊れた方位磁針を拾い集めている人間は、自分なのではないか、雅文はそう思った。
「暑いな。ん?」
目の前に、1人の少女が横たわっているのを見た。少女は裸で右足を怪我しており、鞄を肩にかけていた。
「大丈夫?」
雅文は、少女に駆け寄り、水を飲ませる。
「ん、ん…。」
少女は静かに、目を開けた。
「よかった。気が付いた。」
「お兄さん、誰?」
「私は、神田雅文。探偵さ。それより、足を怪我してるな。ちょっと待ってな。」
雅文はリュックから救急道具を取り出し、応急手当に当たる。右足の傷を止血し、包帯を巻く。
「大丈夫やな。」
「ありがとう。私は瑠華。よろしくね。」
あどけない丸顔、肩まで伸ばした黒い髪、豊満な乳房と尻、褐色に灼けた肌、雅文はひと夏のAngelに出会ったのでは無いのか、この娘が太陽のKomachi Angelか、と思うような色気が漂う。流石に裸では可哀そうなので、おんぶして美夜子達の元まで連れていく。
「誰、この子?」
「砂浜で怪我してたから、救護した。裸やから服着せたいんやけど…。」
「それやったら、玲奈のあるで。」
キャラクターものの下着を履き、半袖半パンを身に着けさせた。
「助けてくれた上に、服までありがとう。」
「いいってことよ。」
「私の名前は、瑠華。よろしくね。」
「ちょっと3人で写真撮らへんか?」
雅文は、海をバックに瑠華をセンターにして写真を撮る。
「ありがとう。」
「ありがとう。もう行かなきゃいけない。」
「瑠華ちゃん、これ持って行きな。」
雅文は、売店で買ったさんぴん茶とポーク玉子おにぎり、スパムおにぎりを渡した。
「ありがとう。」
瑠華は、それを鞄に入れ、そそくさと去っていった。その後、昼食を済ませ、雅文と美夜子が交代。着替えた美夜子は、砂浜でくつろぎつつ、今後の段取りを確認する。雅文と玲奈は海で遊んでいた。
(雅文と玲奈ちゃん、中々お似合いね…。)
「雅文さん、あの岩の裏まで行きます?」
「ああ、行ってみるか。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

周りの女子に自分のおしっこを転送できる能力を得たので女子のお漏らしを堪能しようと思います

赤髪命
大衆娯楽
中学二年生の杉本 翔は、ある日突然、女神と名乗る女性から、女子に自分のおしっこを転送する能力を貰った。 「これで女子のお漏らし見放題じゃねーか!」 果たして上手くいくのだろうか。 ※雑ですが許してください(笑)

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜アソコ編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとエッチなショートショートつめあわせ♡

ざまぁ対象の悪役令嬢は穏やかな日常を所望します

たぬきち25番
ファンタジー
*『第16回ファンタジー小説大賞【大賞】・【読者賞】W受賞』 *書籍発売中です 彼氏にフラれた直後に異世界転生。気が付くと、ラノベの中の悪役令嬢クローディアになっていた。すでに周りからの評判は最悪なのに、王太子の婚約者。しかも政略結婚なので婚約解消不可?! 王太子は主人公と熱愛中。私は結婚前からお飾りの王太子妃決定。さらに、私は王太子妃として鬼の公爵子息がお目付け役に……。 しかも、私……ざまぁ対象!! ざまぁ回避のために、なんやかんや大忙しです!! ※【感想欄について】感想ありがとうございます。皆様にお知らせとお願いです。 感想欄は多くの方が読まれますので、過激または攻撃的な発言、乱暴な言葉遣い、ポジティブ・ネガティブに関わらず他の方のお名前を出した感想、またこの作品は成人指定ではありませんので卑猥だと思われる発言など、読んだ方がお心を痛めたり、不快だと感じるような内容は承認を控えさせて頂きたいと思います。トラブルに発展してしまうと、感想欄を閉じることも検討しなければならなくなりますので、どうかご理解いただければと思います。

処刑される未来をなんとか回避したい公爵令嬢と、その公爵令嬢を絶対に処刑したい男爵令嬢のお話

真理亜
恋愛
公爵令嬢のイライザには夢という形で未来を予知する能力があった。その夢の中でイライザは冤罪を着せられ処刑されてしまう。そんな未来を絶対に回避したいイライザは、予知能力を使って未来を変えようと奮闘する。それに対して、男爵令嬢であるエミリアは絶対にイライザを処刑しようと画策する。実は彼女にも譲れない理由があって...

物置小屋

黒蝶
大衆娯楽
言葉にはきっと色んな力があるのだと証明したい。 けれど私は、失声症でもうやりたかった仕事を目指せない...。 そもそももう自分じゃただ読みあげることすら叶わない。 どうせ眠ってしまうなら、誰かに使ってもらおう。 ーーここは、そんな作者が希望をこめた台詞や台本の物置小屋。 1人向けから演劇向けまで、色々な種類のものを書いていきます。 時々、書くかどうか迷っている物語もあげるかもしれません。 使いたいものがあれば声をかけてください。 リクエスト、常時受け付けます。 お断りさせていただく場合もありますが、できるだけやってみますので読みたい話を教えていただけると嬉しいです。

🌟ネットで探偵ものがたり 2024.2.11 完結しました

鏡子 (きょうこ)
エッセイ・ノンフィクション
志村けんさんと 木村 花さんの 死の真相を追います。 他の諸問題とも関係がありそうです。 2022.07.18 タイトルを、 「ネットで探偵ものがたり」に変えました。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

処理中です...