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第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸
第87話 南国での不思議体験
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梅雨が終わり、本格的な夏を迎え、連日猛暑日が続いた。7月半ばのある日、出勤した雅文が、昼休みにアイスミルクティーを飲みながらテレビを見ていた。この日は所長が休みで、陳が所長代行。テレビでは、全国各地の夏祭りの様子が放送されていた。
「日本の夏祭りは、賑やかで楽しそうだな。」
長らく中国・香港・台湾を渡り歩いて来た陳にとって、日本の夏祭りは新鮮なものだった。大阪の天神祭は7月下旬、8月のお盆には、徳島で阿波おどり、夏の終わり頃には、なにわ淀川花火大会が開催される。テレビの画面が切り替わり、福岡の博多祇園山笠の様子を映し出した。その中に、一際可愛い女子が映った。
「あっ、あの子や!」
「知り合いなん?雅文。」
白い法被を着て、下は褌1丁の童顔の女子。この子は、昨年の秋に依頼で福岡に行った時に出会った。名は関谷 由梨。雅文の小学生時代の同級生で、6年生の頃に福岡へ引っ越した。
「可愛いな…。由梨ちゃん…。」
「日本の女って、感じね…。」
「また会いたいな、由梨ちゃん…。」
福岡の博多祇園山笠は、7/1~7/15まで開催されている。由梨は、あの一件を福岡で知った。
「雅文君、やるけんね。」
昨年の秋に再開した際、残暑厳しい時期だったので、庭に人が入れる大きさのタライを置いて、水を張り、水浴びした。
「行くで、由梨ちゃん。」
小さなタライで、雅文に水をかけてもらった。豊満な胸と尻に水が滴る。
「あはっ、良かと、雅文君。」
「由梨ちゃん、玲奈よりオッパイ大きい。」
玲奈とも水浴びし、お互い仲良くなった。
「あんっ、冷たくて気持ちいい~!」
その後、由梨のストーカーを特定。福岡有数の心霊スポット 旧犬鳴トンネルで、ストーカーとその仲間の暴走族 福岡博徒と対戦。由梨は、雅文達や心霊探偵 桐原孝太郎の力もあり、最後はストーカーに鉄拳制裁を食らわした。あれから1年、由梨は就職活動と卒業研究に励んでいる。
「雅文君、また会えたら嬉しいけん。」
思い出話を終え、雅文達は午後からの仕事に出た。それから1週間が経ち、雅文の高校では終業式を迎え、夏休みがスタートした。里香達にとっては、高校最後の夏休みであり、進路に向かう大事な時期である。終業式を終え、帰路に着く時、去り際に雅文は2人にこう言った。
「進路に向かって、頑張ってね。」
里香と由香里も、雅文にこう返した。
「あの時は、由香里のために戦ってくれてありがとうございました。」
「雅文さんも、探偵のお仕事頑張ってな。」
学校は夏休みとなったが、高校3年生という時期なので、受験勉強と就職活動に専念するためなのか、宿題はほとんど出されず、雅文は探偵の仕事に集中出来るようになった。終業式が終わった翌日、つまり夏休み初日、この日は午前9時に出勤。午前中は事務作業と調査報告書の作成に当たる。社用車が増えたことで、夏場の調査はより快適になった。車内でクーラーをかけておけば、張り込みも体力を温存出来、日光によるダメージも減る。夏場はなるべく体力の消耗を抑えて、調査できるかが鍵となる。休憩時間を終え、昼下がりになると依頼人が来た。
「あの、お話、よろしいでしょうか?」
どこか訛りのある口調で呟いた男性。坊主頭にバンダナを巻き、黒いTシャツに青いズボンでリュックを背負っている。発掘調査か何かのフィールドワークをしているような出で立ち。彼を迎え入れ、話を聞く。
「こんにちは。中村探偵事務所の神田雅文と申します。今回はどういった用件でしょうか?」
「はい。孫文記念館で研究員をしています金城浩二と申します。神戸に住んでいますが、生まれは沖縄の宮古島です。」
依頼人の名は、金城浩二 32歳。沖縄県宮古島市出身。高校卒業後に神戸大学へ進学し、大学院まで通い、アジアの歴史や文化について研究していた。孫文記念館に就職し、現在に至る。
「依頼なんですが、これ、私の友人のことなんですけどね…。私も半信半疑でまだ信じがたいことで、話せば長くなりますが、よろしいでしょうか…。」
「どうぞ。」
彼には、高校時代に仲の良かった親友がいて、彼とは高校卒業後も連絡を取っていた。彼の名は、我那覇弘毅。体育会系で、小学生からサッカーをやっており、かつてサッカー日本代表だった我那覇と名字が同じことから、代表イケる?と言われていた。彼は、サッカーの他にシャーマニズムや妖怪・神話などに興味があり、昔の漫画の「3×3EYES サザンアイズ」や「シャーマンキング」を愛読していた。高校卒業後、彼は沖縄本島にある唯一の国立大学の琉球大学に進学。人文社会学部琉球アジア文化学科に在籍し、琉球王国の国際関係や、洗骨文化・民俗信仰について研究していた。大学卒業後は、沖縄本島を拠点に、宮古島や西表島などの自然保護活動に務めている。半年前のある日、彼からLINEが来た。
我那覇(トプ画はジンベイザメ)
「宮古島や西表島、沖縄本島の近海で人魚の目撃情報が多発している。もし、実在していたら、俺は密漁者や乱獲から守りたい。その真偽を確かめに3か月後に、フィールドワークを始める。」
ここまでの少し不思議な話を、雅文は静かに真摯に傾聴していた。人魚は、伝承上の生き物で、ある国では神格化され、ある国ではバケモノとして恐れられている。日本では、八尾比丘尼という尼僧が人魚の肉を食べ、不老不死になったという伝説がある。近代には、人魚のミイラが発見され、どこかの寺に納められているが、本物かは分からない。その存在すらも、謎である。
「ただ、これも今に始まったことでは無いんですよ…。私も高校時代に彼とそれを見たかもしれないんで…。」
「人魚を、見た?…。」
ここまでの話を聞いていた美夜子は、事務作業を終わらせ、さりげなく雅文の横に座った。
「その話、興味深いわね。私にも聞かせて…。」
「「「私にも聞かせて…。」」って、「「かぐや姫」」のライブのアレか…。」
「お、中々の美らかーぎー、さね~!」
「吾輩は、桐島美夜子。探偵である。お話聞かせてくれるかしら?」
「日本の夏祭りは、賑やかで楽しそうだな。」
長らく中国・香港・台湾を渡り歩いて来た陳にとって、日本の夏祭りは新鮮なものだった。大阪の天神祭は7月下旬、8月のお盆には、徳島で阿波おどり、夏の終わり頃には、なにわ淀川花火大会が開催される。テレビの画面が切り替わり、福岡の博多祇園山笠の様子を映し出した。その中に、一際可愛い女子が映った。
「あっ、あの子や!」
「知り合いなん?雅文。」
白い法被を着て、下は褌1丁の童顔の女子。この子は、昨年の秋に依頼で福岡に行った時に出会った。名は関谷 由梨。雅文の小学生時代の同級生で、6年生の頃に福岡へ引っ越した。
「可愛いな…。由梨ちゃん…。」
「日本の女って、感じね…。」
「また会いたいな、由梨ちゃん…。」
福岡の博多祇園山笠は、7/1~7/15まで開催されている。由梨は、あの一件を福岡で知った。
「雅文君、やるけんね。」
昨年の秋に再開した際、残暑厳しい時期だったので、庭に人が入れる大きさのタライを置いて、水を張り、水浴びした。
「行くで、由梨ちゃん。」
小さなタライで、雅文に水をかけてもらった。豊満な胸と尻に水が滴る。
「あはっ、良かと、雅文君。」
「由梨ちゃん、玲奈よりオッパイ大きい。」
玲奈とも水浴びし、お互い仲良くなった。
「あんっ、冷たくて気持ちいい~!」
その後、由梨のストーカーを特定。福岡有数の心霊スポット 旧犬鳴トンネルで、ストーカーとその仲間の暴走族 福岡博徒と対戦。由梨は、雅文達や心霊探偵 桐原孝太郎の力もあり、最後はストーカーに鉄拳制裁を食らわした。あれから1年、由梨は就職活動と卒業研究に励んでいる。
「雅文君、また会えたら嬉しいけん。」
思い出話を終え、雅文達は午後からの仕事に出た。それから1週間が経ち、雅文の高校では終業式を迎え、夏休みがスタートした。里香達にとっては、高校最後の夏休みであり、進路に向かう大事な時期である。終業式を終え、帰路に着く時、去り際に雅文は2人にこう言った。
「進路に向かって、頑張ってね。」
里香と由香里も、雅文にこう返した。
「あの時は、由香里のために戦ってくれてありがとうございました。」
「雅文さんも、探偵のお仕事頑張ってな。」
学校は夏休みとなったが、高校3年生という時期なので、受験勉強と就職活動に専念するためなのか、宿題はほとんど出されず、雅文は探偵の仕事に集中出来るようになった。終業式が終わった翌日、つまり夏休み初日、この日は午前9時に出勤。午前中は事務作業と調査報告書の作成に当たる。社用車が増えたことで、夏場の調査はより快適になった。車内でクーラーをかけておけば、張り込みも体力を温存出来、日光によるダメージも減る。夏場はなるべく体力の消耗を抑えて、調査できるかが鍵となる。休憩時間を終え、昼下がりになると依頼人が来た。
「あの、お話、よろしいでしょうか?」
どこか訛りのある口調で呟いた男性。坊主頭にバンダナを巻き、黒いTシャツに青いズボンでリュックを背負っている。発掘調査か何かのフィールドワークをしているような出で立ち。彼を迎え入れ、話を聞く。
「こんにちは。中村探偵事務所の神田雅文と申します。今回はどういった用件でしょうか?」
「はい。孫文記念館で研究員をしています金城浩二と申します。神戸に住んでいますが、生まれは沖縄の宮古島です。」
依頼人の名は、金城浩二 32歳。沖縄県宮古島市出身。高校卒業後に神戸大学へ進学し、大学院まで通い、アジアの歴史や文化について研究していた。孫文記念館に就職し、現在に至る。
「依頼なんですが、これ、私の友人のことなんですけどね…。私も半信半疑でまだ信じがたいことで、話せば長くなりますが、よろしいでしょうか…。」
「どうぞ。」
彼には、高校時代に仲の良かった親友がいて、彼とは高校卒業後も連絡を取っていた。彼の名は、我那覇弘毅。体育会系で、小学生からサッカーをやっており、かつてサッカー日本代表だった我那覇と名字が同じことから、代表イケる?と言われていた。彼は、サッカーの他にシャーマニズムや妖怪・神話などに興味があり、昔の漫画の「3×3EYES サザンアイズ」や「シャーマンキング」を愛読していた。高校卒業後、彼は沖縄本島にある唯一の国立大学の琉球大学に進学。人文社会学部琉球アジア文化学科に在籍し、琉球王国の国際関係や、洗骨文化・民俗信仰について研究していた。大学卒業後は、沖縄本島を拠点に、宮古島や西表島などの自然保護活動に務めている。半年前のある日、彼からLINEが来た。
我那覇(トプ画はジンベイザメ)
「宮古島や西表島、沖縄本島の近海で人魚の目撃情報が多発している。もし、実在していたら、俺は密漁者や乱獲から守りたい。その真偽を確かめに3か月後に、フィールドワークを始める。」
ここまでの少し不思議な話を、雅文は静かに真摯に傾聴していた。人魚は、伝承上の生き物で、ある国では神格化され、ある国ではバケモノとして恐れられている。日本では、八尾比丘尼という尼僧が人魚の肉を食べ、不老不死になったという伝説がある。近代には、人魚のミイラが発見され、どこかの寺に納められているが、本物かは分からない。その存在すらも、謎である。
「ただ、これも今に始まったことでは無いんですよ…。私も高校時代に彼とそれを見たかもしれないんで…。」
「人魚を、見た?…。」
ここまでの話を聞いていた美夜子は、事務作業を終わらせ、さりげなく雅文の横に座った。
「その話、興味深いわね。私にも聞かせて…。」
「「「私にも聞かせて…。」」って、「「かぐや姫」」のライブのアレか…。」
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