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第3章 back to school 青春の甘い楽園
第39話 子兎の相談
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前回の一件から1週間が経ち、週明けの月曜日を迎えた。この日は全員出勤しており、午前中は依頼の確認や事務作業に勤しんだ。昼休みに、皆で昼食を食べながら、昨夜の話をした。
「昨夜はどこへ行ってたん?」
「あぁ、浮気調査でLoft101に行ってた。」
「Loft101?どういうところかしら?」
芦屋に住んでいる美夜子にとって、Loft101は未知の領域であった。
「Loft101はバニーガールがいるガールズバーや。セクシーで可愛い娘がいっぱいおった。」
「バニーガールは知ってるわ。中々、破廉恥な所やね。」
昼食後、午後からの仕事では美夜子と雫に依頼が入り、2人は外に出た。
雅文は、この間のターゲットから相談を受け、Loft101のバニーガール ゆりあちゃんが来るのを待っていた。時刻は14:30。所長は好物のレモンティーを飲みながら、この後の調査の段取りを考えていた。待つこと10分、そこに1人の若い女性が訪れた。青いTシャツに白いロングスカートという出で立ちで、リュックサックを背負っている。中に入れ、玲奈が対応する。
「どうぞ、こちらへ。」
「ありがとうございます。」
案内されて、席に着く。玲奈はお茶を出し、向かい合って座る。
「こんにちは。」
「こんにちは。あっ…。」
玲奈の顔を見て、彼女はハッとした。いつかの夜にLoft101で出会った女性が、実は探偵で、今、自分の目の前にいることに気づき、少し動揺した。
「この前、お店にいらしていた…。」
「改めましてこんにちは。私は、中村探偵事務所の探偵 音無玲奈です。」
「へ、探偵さんやったんですか!?じゃあ、私のバニーガール姿見てたんですよね…。」
「ええ、ゆりあちゃん。可愛かったで。可愛いうさちゃん。」
そう言われて、彼女は赤面した。
「いやぁ~、ハイレグでオッパイぷるぷるの、お尻とアソコ食い込んでる格好やのに、可愛いやなんて…。」
アイスブレイクも済んだ所で、本題に入る。
「改めて、今回はどういったご用件ですか?」
「はい、私、ストーカーされているような気がするんです。」
「ストーカー…。」
ゆりあちゃん改め、依頼人 奥山友梨亜。神戸学院大学大学院に通う女子大生。和歌山県出身で、大学進学と共に、神戸に移住して独り暮らしを始めた。和歌山市から神戸市に移り、彼女は神戸の大都会ぶりに目を見張り、毎日が刺激的で胸が踊った。
「神戸は、都会やなー!!」
神戸市内の学生寮に住み、ポートライナーで神戸学院大学に通学する。心理学部に在学し、カウンセラーを目指している。彼女の明るくて優しい人柄で、周囲に馴染み、男女の友達が出来た。
「友梨亜ちゃん、南京町で飲茶しようや。」
「UCCコーヒー博物館、面白い所やな。」
「お目が高い!ここはな、日本で唯一のコーヒー専門の博物館やからな!」
大学で心理学を勉強し、神戸での生活にも馴れてきた彼女は、アルバイトを始めた。三宮のガールズバーでバイトを始め、そこで味を占めた。大学院進学と共に、Loft101で働き始めた。
「ハイレグで、ウサギの耳、モフモフの尻尾…。」
彼女は、初めてバニーガールの格好をした。白いハイレグのレオタードで強調された胸と尻、頭にはウサギの耳の被り物、お尻にはモフモフの尻尾。鏡で自分の姿を見た時、その可愛らしい姿にうっとりし、恍惚と背徳にハートは激しく燃え上がった。
「これが、私…。可愛い🖤」
バニーガールになった彼女は、お客さんに接待し、そのキャラクターでハートを掴んだ。
「ゆりあちゃん、あーん🖤」
「あーん🖤」
「美味しい?」
「うん、おいちい🖤」
バニーガールとして働いているのは、そういう事情があったからである。
「ゆりあちゃん、学生やねんな。」
「はい、神戸学院大学大学院に行ってます。」
「ストーカーには心当たりあるん?」
「あれは、1ヶ月前のことでした…。」
遡ること1ヶ月前、彼女がいつものように接客していたことだった。
「みんなで、誰が1番いいお尻してるのか、ちょっと後ろ向いてー!」
「はーい!」
「1番は、ゆりあちゃん!」
「やったー!また、いいお尻って言ってもらったー🖤」
「ゆりあ、ホンマにこのゲーム強いね。」
(ん?お一人様?)
そこに独りで、来店した客が入ってきた。彼は黒いドクロTシャツを着て、ジーパンを履いている。俯いた様子で、見た目は30代だった。彼はカウンター席に着き、カクテルを注文してグビグビ飲んだ。彼は落ち窪んだ目で、彼女をじっと見た。そして、静かに席を立って、彼女に近づき、そっと尻を触った。
「きゃっ!」
振り向いたが、彼は何も言わずに去っていった。その日の夜の仕事は終わり、いつものように家に帰る道中、何者かにつけられているかのような感じがした。
(誰?)
そのつけられている感じが、数日も続いた。しばらくすると、家に謎の封筒が送られてきた。
「誰から?」
差出人は不明。封筒を触ると、少し盛り上がっており、中身は手紙ではなさそうだ。恐る恐る中を開けて取り出すと、それは数10枚ものの写真で、よく見るとそれらは彼女を隠し撮りしたものであった。
「えっ?!うわっ?!気持ち悪い!!!」
その後、自分の写真がダークウェブに、流出していることを知り、怖くなって探偵に相談したということである。
ドクロTシャツの男と聞き、玲奈は頭の中で推理を働かせた。ひょっとしたら、これは反社会的勢力が絡んでいるのではないかと。最近聞いた情報では、神戸市兵庫区を拠点とする反社会的勢力「髑髏城」という奴等が現れ、闇金や違法取引などで資金をかき集めて、徐々に勢力を拡大しているとのこと。奴等の特徴は、ドクロTシャツを着用していること。
(反社会的勢力が、バックにおったら厄介やな…。せやけど、探偵としてはヤクザなんか喧嘩売っても、逃げ切ったらセーフや!!)
「ちょっと、相談してみますね。」
1度、席を立ち、雅文に相談する。しばらくして、雅文が席に着いた。
「お待たせしました。」
「あっ、貴方はもしかして?あの時の!」
「改めまして、私は中村探偵事務所の探偵 神田雅文と申します。」
「奥村友梨亜と申します。」
「いつかのバニーガールのゆりあちゃんって、君のことやったん?」
「はい。私の方こそ、またこんな素敵な男の人に会えると思ってなかったです。」
「また会えて嬉しいよ、魅惑のバニーガール。」
(魅惑のバニーガールやなんて…。また会えたんや、一夜限りの王子様やと思ってたのに…。)
赤面する友梨亜に雅文は話を進める。
「話は玲奈ちゃんから聞いたよ。必ず依頼は遂行する。可愛いうさちゃん、人間になって会いに来てくれたんやな…。」
(うさちゃん、って言ってくれた~!カッコいいよぉ…。雅文さん…。)
友梨亜は雅文にメロメロになっていた。
「昨夜はどこへ行ってたん?」
「あぁ、浮気調査でLoft101に行ってた。」
「Loft101?どういうところかしら?」
芦屋に住んでいる美夜子にとって、Loft101は未知の領域であった。
「Loft101はバニーガールがいるガールズバーや。セクシーで可愛い娘がいっぱいおった。」
「バニーガールは知ってるわ。中々、破廉恥な所やね。」
昼食後、午後からの仕事では美夜子と雫に依頼が入り、2人は外に出た。
雅文は、この間のターゲットから相談を受け、Loft101のバニーガール ゆりあちゃんが来るのを待っていた。時刻は14:30。所長は好物のレモンティーを飲みながら、この後の調査の段取りを考えていた。待つこと10分、そこに1人の若い女性が訪れた。青いTシャツに白いロングスカートという出で立ちで、リュックサックを背負っている。中に入れ、玲奈が対応する。
「どうぞ、こちらへ。」
「ありがとうございます。」
案内されて、席に着く。玲奈はお茶を出し、向かい合って座る。
「こんにちは。」
「こんにちは。あっ…。」
玲奈の顔を見て、彼女はハッとした。いつかの夜にLoft101で出会った女性が、実は探偵で、今、自分の目の前にいることに気づき、少し動揺した。
「この前、お店にいらしていた…。」
「改めましてこんにちは。私は、中村探偵事務所の探偵 音無玲奈です。」
「へ、探偵さんやったんですか!?じゃあ、私のバニーガール姿見てたんですよね…。」
「ええ、ゆりあちゃん。可愛かったで。可愛いうさちゃん。」
そう言われて、彼女は赤面した。
「いやぁ~、ハイレグでオッパイぷるぷるの、お尻とアソコ食い込んでる格好やのに、可愛いやなんて…。」
アイスブレイクも済んだ所で、本題に入る。
「改めて、今回はどういったご用件ですか?」
「はい、私、ストーカーされているような気がするんです。」
「ストーカー…。」
ゆりあちゃん改め、依頼人 奥山友梨亜。神戸学院大学大学院に通う女子大生。和歌山県出身で、大学進学と共に、神戸に移住して独り暮らしを始めた。和歌山市から神戸市に移り、彼女は神戸の大都会ぶりに目を見張り、毎日が刺激的で胸が踊った。
「神戸は、都会やなー!!」
神戸市内の学生寮に住み、ポートライナーで神戸学院大学に通学する。心理学部に在学し、カウンセラーを目指している。彼女の明るくて優しい人柄で、周囲に馴染み、男女の友達が出来た。
「友梨亜ちゃん、南京町で飲茶しようや。」
「UCCコーヒー博物館、面白い所やな。」
「お目が高い!ここはな、日本で唯一のコーヒー専門の博物館やからな!」
大学で心理学を勉強し、神戸での生活にも馴れてきた彼女は、アルバイトを始めた。三宮のガールズバーでバイトを始め、そこで味を占めた。大学院進学と共に、Loft101で働き始めた。
「ハイレグで、ウサギの耳、モフモフの尻尾…。」
彼女は、初めてバニーガールの格好をした。白いハイレグのレオタードで強調された胸と尻、頭にはウサギの耳の被り物、お尻にはモフモフの尻尾。鏡で自分の姿を見た時、その可愛らしい姿にうっとりし、恍惚と背徳にハートは激しく燃え上がった。
「これが、私…。可愛い🖤」
バニーガールになった彼女は、お客さんに接待し、そのキャラクターでハートを掴んだ。
「ゆりあちゃん、あーん🖤」
「あーん🖤」
「美味しい?」
「うん、おいちい🖤」
バニーガールとして働いているのは、そういう事情があったからである。
「ゆりあちゃん、学生やねんな。」
「はい、神戸学院大学大学院に行ってます。」
「ストーカーには心当たりあるん?」
「あれは、1ヶ月前のことでした…。」
遡ること1ヶ月前、彼女がいつものように接客していたことだった。
「みんなで、誰が1番いいお尻してるのか、ちょっと後ろ向いてー!」
「はーい!」
「1番は、ゆりあちゃん!」
「やったー!また、いいお尻って言ってもらったー🖤」
「ゆりあ、ホンマにこのゲーム強いね。」
(ん?お一人様?)
そこに独りで、来店した客が入ってきた。彼は黒いドクロTシャツを着て、ジーパンを履いている。俯いた様子で、見た目は30代だった。彼はカウンター席に着き、カクテルを注文してグビグビ飲んだ。彼は落ち窪んだ目で、彼女をじっと見た。そして、静かに席を立って、彼女に近づき、そっと尻を触った。
「きゃっ!」
振り向いたが、彼は何も言わずに去っていった。その日の夜の仕事は終わり、いつものように家に帰る道中、何者かにつけられているかのような感じがした。
(誰?)
そのつけられている感じが、数日も続いた。しばらくすると、家に謎の封筒が送られてきた。
「誰から?」
差出人は不明。封筒を触ると、少し盛り上がっており、中身は手紙ではなさそうだ。恐る恐る中を開けて取り出すと、それは数10枚ものの写真で、よく見るとそれらは彼女を隠し撮りしたものであった。
「えっ?!うわっ?!気持ち悪い!!!」
その後、自分の写真がダークウェブに、流出していることを知り、怖くなって探偵に相談したということである。
ドクロTシャツの男と聞き、玲奈は頭の中で推理を働かせた。ひょっとしたら、これは反社会的勢力が絡んでいるのではないかと。最近聞いた情報では、神戸市兵庫区を拠点とする反社会的勢力「髑髏城」という奴等が現れ、闇金や違法取引などで資金をかき集めて、徐々に勢力を拡大しているとのこと。奴等の特徴は、ドクロTシャツを着用していること。
(反社会的勢力が、バックにおったら厄介やな…。せやけど、探偵としてはヤクザなんか喧嘩売っても、逃げ切ったらセーフや!!)
「ちょっと、相談してみますね。」
1度、席を立ち、雅文に相談する。しばらくして、雅文が席に着いた。
「お待たせしました。」
「あっ、貴方はもしかして?あの時の!」
「改めまして、私は中村探偵事務所の探偵 神田雅文と申します。」
「奥村友梨亜と申します。」
「いつかのバニーガールのゆりあちゃんって、君のことやったん?」
「はい。私の方こそ、またこんな素敵な男の人に会えると思ってなかったです。」
「また会えて嬉しいよ、魅惑のバニーガール。」
(魅惑のバニーガールやなんて…。また会えたんや、一夜限りの王子様やと思ってたのに…。)
赤面する友梨亜に雅文は話を進める。
「話は玲奈ちゃんから聞いたよ。必ず依頼は遂行する。可愛いうさちゃん、人間になって会いに来てくれたんやな…。」
(うさちゃん、って言ってくれた~!カッコいいよぉ…。雅文さん…。)
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