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第1章 探偵事務所の日常

第1話 雅文と美夜子

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    2024年初夏。北は六甲山、南はハーバーランドと自然豊かで、北野異人館や南京町など異国情緒溢れる場所があり、エキゾチックな雰囲気漂う港町 神戸。9つの区があり、それぞれ異なる魅力がある。その中でも、特に神戸のメインストリートなのが中央区。三宮と呼ばれるエリアは神戸を代表する繁華街で、日本三大中華街の一つ 南京町があり、ハーバーランドにはポートタワーやショッピングモール「モザイク」がある。北野エリアの路地裏は、飲食店や風俗店などが建ち並び、雑多な雰囲気が漂う。そんな三宮の路地裏に、ポツンと佇むレンガ造りの外観の事務所がある。事務所の名前は「中村探偵事務所」。ここには4人の探偵がいる。これは、この探偵事務所とここにいる若手探偵2人を中心とした物語である。

    時刻は朝6時。神戸市中央区の喉かで落ち着いた雰囲気があり、北野異人館がある北野エリア。そこに気品溢れる赤レンガの屋敷が建っている。屋敷の2階には、持ち主の一人息子の部屋があり、窓から朝日が差し込む。スマホのアラームが鳴り、一人の青年が目覚める。
「う、うーん。」
起き上がると、ベッドから出て、すぐさま1階に下りて洗面台で歯磨きをし、髪形をセットする。部屋着を脱いでシャツを着て、スーツに着替える。着替え終わると、リビングに出る。テーブルには、既にトーストとミルクティーが置かれていた。
「おはよう、母さん。父さん。」
「ああ、おはよう。」
「雅文、おはよう。」
彼は席に着くと、ミルクティーを一口飲み、トーストに蜂蜜をたっぷり塗って齧りつく。彼の名は、神田雅文 22歳。神戸三宮で探偵をしている。神戸広陵高校を出て、神戸大学に進学。クールな思考派で文学に精通している。朝食を食べ終え、皿とコップを流しに入れ、歯を磨く。時刻は7時40分。荷物を積めたリュックを背負い、家を出る。
「行ってくる。」
「いってらっしゃい。」
自転車で北野から三宮まで南下する。エレガントな雰囲気のある北野を通り、生田ロードに出ると、繁華街の街並みになる。阪急神戸三宮駅前は、通勤通学ラッシュで多くの人が行き交っていた。そこに一人のパンツスーツの長い黒髪の女性がいた。彼は彼女に近づき、そこから合流して、事務所に向かう。
「おはよう、美夜子。何読んでたん?」
「おはよう、雅文。「「西太后 中国マキャベリズムの極地」」を読んでたの。」
「マキャベリズムか。深いな。」
彼女の名は、桐島美夜子。芦屋の高級住宅街 六麓荘に住むお嬢様。彼と同じく探偵で、関西学院大学卒。歴史に詳しく、いわゆるレキジョである。

    阪急神戸三宮駅を出て、JR元町駅沿いの路地裏にレンガ造りの事務所があった。二人は出勤し、所長に挨拶した。
「おはようございます。」
「あぁ、おはよう。」
長身で髭を剃った爽やかな面持ちの紳士は、中村景満といい、この探偵事務所の所長である。彼は大好物のアイスレモンティーを飲みながら席につく。この日はもう一人の上司が休暇なので、今日は3人での活動となる。簡単な朝礼を済ませ、各々の調査に取り掛かる。GWが終わり、夏が近づいてくるこの頃、今日は5月15日。二人は3日前に行方調査の依頼を受けていた。

    遡ること5月12日の午後、探偵事務所に一人の若い女性が訪れてきた。彼女の名は、緒形奈々 26歳。茶髪ショートでドクロTシャツにダメージジーンズと少しパンクな雰囲気が漂う。
「こんにちは、中村探偵事務所の神田雅文です。」
「こんにちは、緒形奈々です。」
「ご依頼は、どういったものでしょうか?」
依頼内容は行方調査で、同棲していた男性がある朝、蒸発したというもの。
「その男性の写真はありますか?」
「写真は、これです。」
スマートフォンの写真を見せてもらった。写真の撮影日は2024年3月17日とあり、2ヶ月前に撮影されたものだった。ハーバーランドの夜景をバックに二人が仲睦まじい様子で映っている。
「この方ですね?名前は何と言いますか?」
彼女の隣に映る黒髪の落ち着いた雰囲気の男性が、恐らく彼女の同棲相手であろう。
「彼は、秋山賢一と言います。私の彼氏です。3年前から、hat神戸の近くのマンションで同棲を始めて、いつか結婚しようと言ってくれたんですよ…。なのに、何で急に朝起きたら、横におらんくて…。何か事件とかに巻き込まれとったら…。いてもたってもいられへんから…。」
寂しさが募り、彼女は喋りながら泣いてしまった。
「大丈夫です。必ず見つけ出します。」
手がかりとして、彼の写真を預かった。その日から調査を開始し、hat神戸と事務所のある中央区を中心に聞き込みや張り込みをした。

    調査開始3日目に当たるこの日は、元町エリアを調査し、日本三大中華街の一つである南京町に行った。出店が所狭しと建ち並び、中心の広場には中国風の人形が立っている。
「もう昼時やから、メシ買いに来る人らがようけ来るやろな。」
「そうね。私は弁当持ってきてるわ。」
「俺も、持ってきてるよ。」
広場の狛犬の所に座りながら、リュックから持参した弁当を取り出して食べ始める。雅文のは白米・だし巻き卵・唐揚げ・ポテトサラダとガッツリ系、美夜子はライ麦パンのサンドイッチ(シュリンプ・アボカド)とフランスパンのサンドイッチ(ハムエッグ・ポテトサラダ)と洒落ている。
「北野異人館で、独り 紅茶を飲みながら佇んでいる貴婦人のようやね。」
「そうね。香港にもアフタヌーンティーの習慣があるわ。」
昼食中も、目の前を通る人達を注意深く観察する。時刻は13:00。食べ終えた二人は広場を離れ、南京町正面入り口に向かう。途中、焼き小籠包・ビーフン専門店「YUN YUN」の前を通った時、依頼者の奈々の同棲相手に似た男性を見つけた。 
「ん?美夜子、あの人やろか?」
「あ、多分そうやね。」
注意深く観察すると、薄汚れた黒いジャケットに黒いズボン、何かに怯えたような表情をし、焦っているようにも見える。行方調査の基本として、探し人を見つけても、すぐには声をかけない。彼は3人分の料理を買い、右腕に料理を、左腕にコンビニで買った商品の入った袋をかけて、そそくさと南京町を後にした。
「独りで食うには多すぎるな。あの怯えたような表情とボロボロの服装、何者かに捕まっているようやな…。」 
「だとしたら、酷いことする連中ね…。高価なものを貢がせて、逆らえば首を切るという朝貢・冊封のようね…。」

    二人は彼の後をつけていく。JR元町駅へ北上し、阪急神戸三宮駅方面に向かう。三宮の生田ロードエリアの路地裏にある雑居ビルに到着し、二人もこっそりと後をつけ、彼が部屋に入ったのを見てから、部屋の前にしゃがんで様子を見る。
「誰かおるようやな。」
「ここに監禁されているのかしら?」
中を覗きこむと、3人のガラの悪い男女に囲まれ、ひざまづいていた。
「ハイ、ご苦労様。」
黒髪を伸ばし、右肩に黒蜘蛛のタトゥーを入れたリーダー格の女性が食事を受け取り、手下の男性2人に渡す。一人は細身で黒いジャケットを着て、サングラスをしている。もう一人は黒いタンクトップに迷彩柄のズボンを履き、右腕に竜のタトゥーを彫っている。3人は彼を見下ろしながら、食事にありついている。彼は怯えた様子で、コンビニで買った餡パンをチビチビと齧る。
「美人局で、メチャクチャ儲かったよね。」
「あぁ、紗希様。この間は50万円ぶんどってやったっすね。」
この会話で分かることは、3人は美人局をやっており、紗希という女性がリーダーで後の二人の男性は手下。彼は悪事に加担させられているのである。
「ねぇ、アンタ?今度は結婚詐欺もしようと思ってるの。やるよね?」
紗希に脅され、彼は青ざめてガタガタ震えている。
「そういうことか。」
雅文の記憶には、2、3年前に三宮で美人局が多発した、というニュースが蘇った。特徴としては、タトゥーをした女性に逆ナンパされ、意気投合した所に二人の男性に詰め寄られ、金を集られるというもの。
「そういえば、三宮で美人局が多発したというニュースあったやんな?」
「ええ。それは芦屋にまで知れ渡ってたわ。この3人が美人局の一味のようね。」
雅文と美夜子は、作戦を立てる。時刻は15:00。
中は、不穏な空気に包まれていた。
「お前ら、俺を監禁して今さらどうするつもりなんや?!」 
「何?その口の聞き方!!」
彼の顎目掛けて、強烈な蹴りが入った。
「ハッハッハッ!!紗希様えげつねぇ~!!」
「オイ!秋山!俺達ゃ同じ穴のムジナやで~!」
顎を蹴られて、悶絶して倒れる彼の脳裏に苦い記憶が走馬灯のように蘇った。

    遡ること、今から10年前の2014年。彼は高校で不良の3人に目をつけられていた。
「ぐわぁ!!」
「ねぇ、アンタ?カツアゲしてこい、って言ったわよね?」
当時、紗希と手下の男2人は不良グループで、神戸市内でも有名なワルだった。彼は、3人に脅され、悪事に加担させられていた。高校卒業後、彼は大学に進学し、IT企業に就職。だが、その会社は不況で倒産。そんな中で出会った奈々と同棲を開始し、結婚を考えていた。
「オイ、秋山。同棲してるんやろ?」
「ハァ?何一丁前に同棲なんか、しちゃってんのよ!!!!」
紗希は彼の顔面に蹴りを入れ、頭を掴んで何度も膝蹴りを食らわした。
「あぁぁぁぁ!!!!鼻血だぁぁ!!!!」
彼は鼻血を流して、涙目になる。この様子を二人はドアの前で見ていた。
「酷いことするわね…。」
「よし、美夜子。乗り込むか?」
「ええ。見てられないわ。」
 3人に囲まれ、彼は今にも殺されそうになっている。
「ねぇ、アンタ?同棲相手の名前は?」
「言うわけないやろ!」
「言えや!ゴラァ!!!」
手下の男に蹴られ、口から血が出る。
「ゲホッ!ハァハァ、奈々…。」
「奈々やて。紗希様どないします?」
「決まってるやん。殺しに行くんや!」
「おい、止めろ!!」
そこに、雅文がサングラスをかけた状態で現れ、エアガンで手下二人を銃撃した。
「誰や!!」
「俺か?俺は神田雅文。探偵や。お前ら、寄ってたかってリンチしよって、地獄に堕ちるで…。」
蹴られて血を流していた秋山は立ち上がり、雅文を見つめた。
「探偵…。」
「探偵風情が、何をでしゃばってるのかしら?やっておしまい!」
手下の男二人が襲いかかるが、雅文は冷静に攻撃をかわし、エアガンで応戦する。そこに美夜子が木刀を見つけ、剣道の構えで紗希に面を食らわした。
「やぁ!!」
突然の攻撃で、紗希は呆気にとられる。
「誰や!!」
「我が名は、桐島美夜子。探偵よ。弱みにつけこんで悪事に引き込む悪党よ、天誅致す!!」
高校時代に剣道で、インターハイに出場経験のある美夜子は早業で手下二人に一撃を食らわし、あっという間に蹴散らした。この光景に秋山は、目を奪われて立ち尽くしていた。
「何という強さ…。探偵って言ったな?もしかして奈々が俺を探すよう依頼したのか?」
「そうです。奈々さんから依頼がありました。」
「そうやったんや、ありがとう。」 
紗希が立ち上がり、秋山にスタンガンを投げつけた。
「秋山…。そのスタンガンでコイツら殺しなさい…。奈々ちゃん殺しに行くわよ…。」
脅迫され、秋山は顔面蒼白で頭を抱える。
(うぅ…。探偵さんは身を呈して俺を助けに来てくれたんや!奈々にも迷惑かけた。俺はコイツらに手を貸してしもうたんや…。会わせる顔があらへん…。)
葛藤する秋山を、二人は何も言わずに見守る。
(奈々が、探偵に依頼してまで俺を探すとは…。奈々、ごめんな…。)
すると、脳裏にある約束が浮かんだ。
「秋山さん、いつか奈々と結婚しよ。」
(はっ!!)
彼はスタンガンを手に取った。
「さぁ、秋山。さっさとその二人を殺しなさい!」
「うぉぉ!!!!」
彼はスタンガンの電源を入れ、紗希達に駆け寄り、電撃を食らわした。
「うわぁぁぁ!!!!」
「秋山?!あんた何やってんのよ!!」
「お前もや!!」
「あぁぁ!!!」
彼は、この瞬間、悪党と手を切り、足を洗うことを誓ったのである。
「もう俺は悪党とは組まへん!!俺に付きまとうな!!!!」

    彼は二人と共に非常階段を駆け降りる。
「くっ、あのガキ共許さへん…。あんたら行くで!」
「おぅ!!!」
紗希達が駆け降りると、そこには秋山が時間を稼いでいる間に、雅文が呼んだ警察が待ち構えていた。
「くっ…。」
「松宮紗希、篠原泰希、加藤文哉、お前達3人を詐欺並びに暴行、監禁容疑で逮捕する!」
3人は逮捕され、雅文と美夜子は依頼を達成した。

   事務所に帰り、彼を奈々に会わせた。
「秋山さん…。」
「奈々、ごめんな。急におらんくなって…。」
二人は抱き合い、再会を喜んだ。窓から西陽が差し、雅文と美夜子もほっとした様子で見守っていた。その後、二人は中村所長と反省会。
「二人共、無事に探し人を見つけ出したね。よくやったよ。」
「はい。」
「だが、探し人の秋山という人がケガしていたね?」
「所長、あれは雅文と突入するタイミングを伺っていたのです。下手に突っ込んでしまえば、ミイラ取りがミイラになってしまいますから。」
「なるほど。タイミングを見極めるのは大事だ。しかし、今回は助け出すことが出来たからよかったものの、下手すれば二人も巻き添えを食らって殺されていたかもしれない。そこは慎重にな。」
「はい。」
夜になり、二人は阪急神戸三宮駅へ向かい、帰路につく。
「探偵って、奥が深いな。」
「そうね。雅文。私は貴方と一緒に事件を解決していくのが楽しいわ。」
そう言われて、彼は少し赤面した。
「そうか…。」
阪急神戸三宮駅につき、ここで別れる。
「じゃあ、また明日。」
「ええ、ごきげんよう。」
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