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4.突然の接触
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今日もエリザベスが優雅にスケジュールを読み上げた。今日の外出はお茶会だった。
「今日のスイタール伯爵夫人主催のお茶会には後令息のスタンプ様とそのご友人も参加されます。」
「あら?お茶会は、いつもなら女性ばかりなのにどうしたの?」
「アリサ様の為です。そろそろどなたか気にいる方が出て来た頃では無いでしょうか?セッティングしますからおっしゃって下さいね。」
「そ、そんな人いないわ。紹介なんてしなくっていいから。こう言うのは自分で探すからそっとしておいて。」
「なりませんね。1日も早くお相手を見つけ御結婚され守り人様の世継ぎをお産み下さいませ。」
「えっ?何、、それ。どうしてそんな事を、、」
「我々、貴族が婚姻で世継ぎを授かるのが義務と同じく、守り人様も平和の世を続ける為にお世継ぎ様を授かるものなのです。」
「そんな馬鹿なこと言わないでよ!強制なの?」
「義務でございます。」
エリザベスはニッコリとした笑顔を崩さないから本気のようだ。
「本日のスタンプ様もおススメです。見た目は申し分無く、財産、収入も安定の有望株ですしお決めになっても宜しいかと重います。」
気分が悪くなり黙り込んだ。
義務だなんて。理不尽な。
私は勝手にここに連れて来られのに。
そりゃ豪華な生活を送っているけれど、私が望んだことでは無いわ!
ここにいたらそのうち勝手に夫を決められそう。ううん、きっと決められちゃうだろう。
何とかしてここを出よう。
でも、どうする?
スイタール伯爵夫人主催のお茶会はさんざんだった。
あからさまに口説いてくる男性が3人。
少人数なのでどこに席を移動しても必ず着いてくる。
「ちょっとお化粧直しに席を外すわね。」
部屋から出ると護衛がピタリと着いてくる。
流石にトイレの部屋まで着いて来ない。廊下で待機だ。
「フゥー、」
やっと1人になれたと手を洗いの鏡を見ている時だ。
「守り人様、どうかお静かに。危害は加えません。」
一人で洗面所に居たはずなのに声をかけられて、飛び上がる程、驚いた。
やっとの思いで悲鳴を抑えた。
手洗いの台の収納扉が開き侍女の制服を来た娘が身を縮めていた。
這うように出てくるとひざを降り頭を下げた。
「このような失礼をお許し下さい。この方法でしか接点が持てませんでした。」
サッと手を伸ばし手紙を渡された。
「これは?」
ドアに目をやりしゃがんで彼女の目線になると小声で話しかけた。
「あなたは誰?」
「私は隣国サンミール王国の密偵です。お願いがございます。秘密裏に我が国へどうかお越し下さい。」
「どう言う事?何故私が?」
「国は日照りで大飢饉にあい民は飢えてます。この国に援助を求めたのに攻めて来られ砦が破られる寸前です。そうなれば戦火は国全体に広がり犠牲になるのは民です。どうか我が国へ守り人の守護を頂きたいのです。お気持ちがあれば秘密裏にお連れします。」
「あなたを信じろと?どうやって?」
「まず手紙に書いた仲介人とお逢い下さい。夜会で見かけたと言えば良いです。詳しくはその時にです。」
「私が告げ口をするかもよ。今も大声をあげるかもよ?」
「守り人様は話を聞いて下さいました。我が身の覚悟は出来ています。どうか加護の力で民をお救い下さいませ。」
「頭をあげて。そんなの約束で来ないわ。
悪いけど、私はもう行くわ。」
その言葉に密偵はペコリと礼を取ると元の洗面台の下へ隠れた。
扉が閉まったのを確認すると洗面室のドアを開けた。
「今日のスイタール伯爵夫人主催のお茶会には後令息のスタンプ様とそのご友人も参加されます。」
「あら?お茶会は、いつもなら女性ばかりなのにどうしたの?」
「アリサ様の為です。そろそろどなたか気にいる方が出て来た頃では無いでしょうか?セッティングしますからおっしゃって下さいね。」
「そ、そんな人いないわ。紹介なんてしなくっていいから。こう言うのは自分で探すからそっとしておいて。」
「なりませんね。1日も早くお相手を見つけ御結婚され守り人様の世継ぎをお産み下さいませ。」
「えっ?何、、それ。どうしてそんな事を、、」
「我々、貴族が婚姻で世継ぎを授かるのが義務と同じく、守り人様も平和の世を続ける為にお世継ぎ様を授かるものなのです。」
「そんな馬鹿なこと言わないでよ!強制なの?」
「義務でございます。」
エリザベスはニッコリとした笑顔を崩さないから本気のようだ。
「本日のスタンプ様もおススメです。見た目は申し分無く、財産、収入も安定の有望株ですしお決めになっても宜しいかと重います。」
気分が悪くなり黙り込んだ。
義務だなんて。理不尽な。
私は勝手にここに連れて来られのに。
そりゃ豪華な生活を送っているけれど、私が望んだことでは無いわ!
ここにいたらそのうち勝手に夫を決められそう。ううん、きっと決められちゃうだろう。
何とかしてここを出よう。
でも、どうする?
スイタール伯爵夫人主催のお茶会はさんざんだった。
あからさまに口説いてくる男性が3人。
少人数なのでどこに席を移動しても必ず着いてくる。
「ちょっとお化粧直しに席を外すわね。」
部屋から出ると護衛がピタリと着いてくる。
流石にトイレの部屋まで着いて来ない。廊下で待機だ。
「フゥー、」
やっと1人になれたと手を洗いの鏡を見ている時だ。
「守り人様、どうかお静かに。危害は加えません。」
一人で洗面所に居たはずなのに声をかけられて、飛び上がる程、驚いた。
やっとの思いで悲鳴を抑えた。
手洗いの台の収納扉が開き侍女の制服を来た娘が身を縮めていた。
這うように出てくるとひざを降り頭を下げた。
「このような失礼をお許し下さい。この方法でしか接点が持てませんでした。」
サッと手を伸ばし手紙を渡された。
「これは?」
ドアに目をやりしゃがんで彼女の目線になると小声で話しかけた。
「あなたは誰?」
「私は隣国サンミール王国の密偵です。お願いがございます。秘密裏に我が国へどうかお越し下さい。」
「どう言う事?何故私が?」
「国は日照りで大飢饉にあい民は飢えてます。この国に援助を求めたのに攻めて来られ砦が破られる寸前です。そうなれば戦火は国全体に広がり犠牲になるのは民です。どうか我が国へ守り人の守護を頂きたいのです。お気持ちがあれば秘密裏にお連れします。」
「あなたを信じろと?どうやって?」
「まず手紙に書いた仲介人とお逢い下さい。夜会で見かけたと言えば良いです。詳しくはその時にです。」
「私が告げ口をするかもよ。今も大声をあげるかもよ?」
「守り人様は話を聞いて下さいました。我が身の覚悟は出来ています。どうか加護の力で民をお救い下さいませ。」
「頭をあげて。そんなの約束で来ないわ。
悪いけど、私はもう行くわ。」
その言葉に密偵はペコリと礼を取ると元の洗面台の下へ隠れた。
扉が閉まったのを確認すると洗面室のドアを開けた。
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