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25.本当の優しさ
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暖かい。凄く心地良くってこのまま目を覚ましたくない。ああっ、またコタツで寝てしまったんだ。本当にポカポカして気持ちが良いんだから。永遠にこのまま眠っていたい。
また深い眠りに落ちて次に目を覚ました時は誰かが額を触った時だった。大きく額を包む分厚い手。
そっと目を開けると、赤髪が目に入った。
えっ?赤髪?ルドヴィカ総団長?!
「な、何?何故アナタが私の部屋にいるの?」
「川で流されただろ?それを助けたのが俺達だ。」
「なんですって?!」
濁流に飲まれて水を飲み息が出来なくなった所までは覚えている。
「痛っ!肩と腕が、、ああ、足もだわ。」
幌馬車から落ちた時に地面に打ち付けた所があちこちと痛む。
「大丈夫だ。折れてはいないがヒビは入っているかもしれんな。しばらく安静にしていろ。」
「ここは病院なの?」
「スイータの俺の別邸だ。もう安全だから安心しろ。騎士が警備についている。」
安心と言う言葉でハッとして腕を抱いた。
「私、さらわれたの。宿の女将もグルで。それで、馬車をから身を投げて逃げたの。」
今思い出しても本当に恐ろしい。よく逃げ出せたと思う。
「我々がもう少し遅ければ足取りが追えなかったかもしれん。山に入ると追うのも難しくなるからな。」
「こんなに簡単にさらわれるなんて、、ねえ、どうなっている?ここは、なんて恐ろしい所なの。」
どうしよう。また思い出して怖くて涙が出てきたわ。
赤髪はジッと私の顔を見たまま表情を変えずに静かに言ってきた。
「エリコ、ここではこれが日常だ。用心するしかないんだ。」
「日常?!もう、、嫌!何で私ばっかりこんな目に遭うの?こんな世界に来たくてきたんじゃないのに。なんで私ばっか、、何でよ。」
抑えていた物が吹き出して涙が止まらなくなってしまった。
人前で泣くなんて自分らしくないけど止まらない。
目を覆って泣いているとそっと大きな手で頭を撫ぜられた。
驚いた。
あの赤髪が優しく何度もなぜてくれている。
てっきり「甘いな嬢ちゃん」といつもみたいにバカにされて言われると思ってた。
そう思った時、今度は背中をポンと叩かれた。
「俺が守る、番犬だと言っただろ?だからもう安心しろ。俺の側にいれば大丈夫だ。」
また一つ涙が溢れだした。
ひどい事を平気でする奴がいる世の中で守ってくれると言う言葉の心強さを初めて知った。
何もわかっていなくて強かってた自分が恥ずかしかった。
「ありがとう。」
小さく返事をかけると、赤髪はポンと頭を軽く叩くと背中を見せて手を上げ部屋を後にした。
また深い眠りに落ちて次に目を覚ました時は誰かが額を触った時だった。大きく額を包む分厚い手。
そっと目を開けると、赤髪が目に入った。
えっ?赤髪?ルドヴィカ総団長?!
「な、何?何故アナタが私の部屋にいるの?」
「川で流されただろ?それを助けたのが俺達だ。」
「なんですって?!」
濁流に飲まれて水を飲み息が出来なくなった所までは覚えている。
「痛っ!肩と腕が、、ああ、足もだわ。」
幌馬車から落ちた時に地面に打ち付けた所があちこちと痛む。
「大丈夫だ。折れてはいないがヒビは入っているかもしれんな。しばらく安静にしていろ。」
「ここは病院なの?」
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安心と言う言葉でハッとして腕を抱いた。
「私、さらわれたの。宿の女将もグルで。それで、馬車をから身を投げて逃げたの。」
今思い出しても本当に恐ろしい。よく逃げ出せたと思う。
「我々がもう少し遅ければ足取りが追えなかったかもしれん。山に入ると追うのも難しくなるからな。」
「こんなに簡単にさらわれるなんて、、ねえ、どうなっている?ここは、なんて恐ろしい所なの。」
どうしよう。また思い出して怖くて涙が出てきたわ。
赤髪はジッと私の顔を見たまま表情を変えずに静かに言ってきた。
「エリコ、ここではこれが日常だ。用心するしかないんだ。」
「日常?!もう、、嫌!何で私ばっかりこんな目に遭うの?こんな世界に来たくてきたんじゃないのに。なんで私ばっか、、何でよ。」
抑えていた物が吹き出して涙が止まらなくなってしまった。
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驚いた。
あの赤髪が優しく何度もなぜてくれている。
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