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25.庭でのサプライズ
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玲奈貴人の屋敷の裏庭から明るい玲奈の笑い声が響いている。彼女の笑い声はいつ以来だろう。
「もう!深く掘りすぎです。トールたら。あははは!」
「玲奈様が深めに掘ってとおっしゃったからです。」
「だからと言って、木を植える程、深く掘るなんて。あははは!」
「オホン。私は土いじりは初めてなので。」
玲奈はガーデニングを始めるとみるみる明るさを取り戻した。
今までの腹黒い貴族のパーティーへの参加と違い、身近な信用のおける者たちとの交流の、日々。
街の花屋まで苗を見に外出をしたり、庭の土作りやレイアウト作りを侍女のルーシーや護衛騎士を巻き込んで楽しんでいる。
「あっ、顔に土がついてますよ。」
「玲奈様もですよ。ほらここに。」
そう言うと、トールは自分のハンカチで玲奈の頬の泥を拭いた。
突然の仕草に玲奈は戸惑って真っ赤になっている。
「あっ、、あの、すいません。子供みたいで恥ずかしい。」
「ははは。貴方を見ているとつい嫁いだ妹を思い出します。」
「妹さんがいたの?」
「はい。妹のカオールは歳は、とても仲の良い妹で、2年前に隣国コウライの貴族に嫁いています。」
「それは寂しくなりましたね。」
「寂しいですが今は玲奈様のお世話が出来て癒されていますよ。いつでも頼って下さい。」
そう言うとニッコリと笑ったが、突然、後ろを振り向き剣を構えた。
「おおっと!気配を消してきたのに流石だな。玲奈貴人、久しぶりだな。元気そうじゃないか。」
隣国コウライ国の王子リュウキだった。
「まあ!リュウキ!どうしたの?」
「誰かが城から追い出されたと聞いてな。会いに来たのさ。」
ニヤリと笑い私の頭にポンと手を置いた。
「すまないな。俺を騙ったカラダン王国の奴にさらわれたと聞いた。すまない。俺と知り合ったから利用されてしまったな。」
あの日、偽のリュウキの使い手に騙され誘拐された時の事が蘇る。
「ううん。私がホイホイとついて行ったのが悪いの。リュウキのせいじゃないです。」
リュウキがクスリと笑った。
「相変わらず素直だな。王城を出て正解だったな。明るくなった。」
また玲奈の頭に手を置きポンポンとなぜた。そんなリュウキの態度になんと無くいつもと違う雰囲気を感じた時、トール隊長が割って入った。
「失礼致します。リュウキ王子、先ぶれもなく訪問をされるのは如何かと思いますが。」
「そう睨むな。今回は玲奈貴人を驚かそうと言うことで王城のジェイクウッド殿の許可証もあるから許せ。慰めてほしいと直々に頭を下げてきたぞ。」
「えっ?ジェイクが?」
「そうだ。元気な笑い声が聞こえて安心した。それにしても優秀な護衛騎士隊長に土いじりをさせるとはな。ハッハッハッ、玲奈貴人らしいな。」
「えっ?だめでした?」
「いや、いい。素直で何よりだ。率直に話をするしな。私に膝を着かない数少ない人間だ。」
「すいません!すっかり礼儀を忘れてしまっていて。」
慌てて王族への礼を取ろうとする。
「かまわない。そのままでいてくれ。」
近くでリュウキの顔を見ると目の下にクマができていて顔が少し痩せていた。
「リュウキ?何かあったの?ちょっと疲れてない?」
問いかけると、リュウキの表情は張り付いた笑顔から悲しそうな笑顔に変わった。
「玲奈貴人。まずはお茶をご馳走してくれないか?」
一同は、屋敷のサロンへ移動をした。
「もう!深く掘りすぎです。トールたら。あははは!」
「玲奈様が深めに掘ってとおっしゃったからです。」
「だからと言って、木を植える程、深く掘るなんて。あははは!」
「オホン。私は土いじりは初めてなので。」
玲奈はガーデニングを始めるとみるみる明るさを取り戻した。
今までの腹黒い貴族のパーティーへの参加と違い、身近な信用のおける者たちとの交流の、日々。
街の花屋まで苗を見に外出をしたり、庭の土作りやレイアウト作りを侍女のルーシーや護衛騎士を巻き込んで楽しんでいる。
「あっ、顔に土がついてますよ。」
「玲奈様もですよ。ほらここに。」
そう言うと、トールは自分のハンカチで玲奈の頬の泥を拭いた。
突然の仕草に玲奈は戸惑って真っ赤になっている。
「あっ、、あの、すいません。子供みたいで恥ずかしい。」
「ははは。貴方を見ているとつい嫁いだ妹を思い出します。」
「妹さんがいたの?」
「はい。妹のカオールは歳は、とても仲の良い妹で、2年前に隣国コウライの貴族に嫁いています。」
「それは寂しくなりましたね。」
「寂しいですが今は玲奈様のお世話が出来て癒されていますよ。いつでも頼って下さい。」
そう言うとニッコリと笑ったが、突然、後ろを振り向き剣を構えた。
「おおっと!気配を消してきたのに流石だな。玲奈貴人、久しぶりだな。元気そうじゃないか。」
隣国コウライ国の王子リュウキだった。
「まあ!リュウキ!どうしたの?」
「誰かが城から追い出されたと聞いてな。会いに来たのさ。」
ニヤリと笑い私の頭にポンと手を置いた。
「すまないな。俺を騙ったカラダン王国の奴にさらわれたと聞いた。すまない。俺と知り合ったから利用されてしまったな。」
あの日、偽のリュウキの使い手に騙され誘拐された時の事が蘇る。
「ううん。私がホイホイとついて行ったのが悪いの。リュウキのせいじゃないです。」
リュウキがクスリと笑った。
「相変わらず素直だな。王城を出て正解だったな。明るくなった。」
また玲奈の頭に手を置きポンポンとなぜた。そんなリュウキの態度になんと無くいつもと違う雰囲気を感じた時、トール隊長が割って入った。
「失礼致します。リュウキ王子、先ぶれもなく訪問をされるのは如何かと思いますが。」
「そう睨むな。今回は玲奈貴人を驚かそうと言うことで王城のジェイクウッド殿の許可証もあるから許せ。慰めてほしいと直々に頭を下げてきたぞ。」
「えっ?ジェイクが?」
「そうだ。元気な笑い声が聞こえて安心した。それにしても優秀な護衛騎士隊長に土いじりをさせるとはな。ハッハッハッ、玲奈貴人らしいな。」
「えっ?だめでした?」
「いや、いい。素直で何よりだ。率直に話をするしな。私に膝を着かない数少ない人間だ。」
「すいません!すっかり礼儀を忘れてしまっていて。」
慌てて王族への礼を取ろうとする。
「かまわない。そのままでいてくれ。」
近くでリュウキの顔を見ると目の下にクマができていて顔が少し痩せていた。
「リュウキ?何かあったの?ちょっと疲れてない?」
問いかけると、リュウキの表情は張り付いた笑顔から悲しそうな笑顔に変わった。
「玲奈貴人。まずはお茶をご馳走してくれないか?」
一同は、屋敷のサロンへ移動をした。
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