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12.穏やかな日々

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アルベルトと過ごす甘い生活が再び始まり屋敷の使用人達から「マダムハルナ」と呼ばれて何不自由ない豪華な生活を送っている。

グリーンベルトは、貴族の子息としてのカリキュラムが始まり、馬術、剣術、帝王学とマナーを家庭教師達から学び、一日中寄り添う乳母のルーシーが付けられた。

「お母さん!今日は友達が出来たんだ。」

アルベルト推薦の将来の片腕となる部下の子息が遊び相手に呼ばれ楽しい毎日を過ごしていた。

穏やかな生活が1ヶ月程経ったある日、アルベルトが3週間ほど留守をする事になった。

「ハルナ、すまない。一年に2度は領地へ視察に行くのが領主の勤めでな。急いで終えるから何処へも行かないでくれよ。いいな?約束だぞ。」

「うん、約束する。グリーンとここで待っているから。気をつけてね。」

普段は王都の屋敷に住んでいるので半年に一度は領地へ帰り監査と視察をしなければならない。
普段の領地運営は、優秀な本邸の執務官と秘書と義母様が行っている。

彼が領地にいる間は、まめに手紙と花束が届けられ、会えないけれど身近に感じられた。そして帰って来ると私達は、思いっきり甘やかされた。

「寂しい思いをさせたな。どうだ、新しい馬を買ってやろう。」

「本当?ありがとう!お父さん!」

「アル、そんな贅沢をさせなくてもいいのよ。」

「何言ってるんだ?これ位、当然だ。ハルナにも新しい宝石をプレゼントしたいな。」

「いい!要らないわ。もう沢山あってそんなに身につけられないわ。」

「俺がしたいんだ。だから受け取ってくれ。」

そう言うと子供の前だと言うのに抱き寄せてくる。

「アル、グリーンが見てるでしょ?」

「グリーンもおいで。」

手を広げるとグリーンははにかんで笑った。

「弟が欲しかったら二人の邪魔はしてはいけないって乳母が言ってたから僕は乳母と遊んでくる。」

「よく出来た子供だ。俺に似たな。さあ、兄弟を作るぞ。」

頬にキスを落とすと人払いがされて2人だけの時間になる。

幸せな甘い時間。満たされ充実した時間を過ごし、あっという間にここに来て一年になろうとしていた。

再びアルベルトの領地視察の時がやって来た。

「行って来る。待っててくれよ。」

「ええ。早く帰って来てね。」



数日後、親子で庭を散歩しているとき侯爵家の家紋付きの馬車が屋敷に入って来た。

「あれ、アル?だってついこの間、出発したばかりよ。」

それじゃ義母様?おかしいわ、それなら連絡や先触れもがあるはず。急いで館へ戻った。






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