上 下
3 / 22

3.目覚めた家

しおりを挟む
「ここは?」

目が覚めると西洋風の豪華な家具が置いている部屋のベットに寝かされていた。

たしか古代文明調査局だと説明を受けて、、意識を失った?
とにかく誰かに会って話を聞こう。

ベットから降りると服が着替えさせられているのに気がついた。

雨で濡れていたから着替えさせてくれたんだろう。
私の服が見当たらないけど、見つけたカバンを肩にかけると外へ出た。


廊下には誰もいない。
絨毯敷きに金縁の額に絵画が飾られててお金持ちの家みたい。
廊下の先の階段を降りると玄関ホールだった。
2階の高さまで伸びるステンドグラスから光が差し込み白い床が色とりどりに輝いている。

「すごく綺麗、、」

玄関ホールで見惚れているとドアの鍵を開ける音がしてガチャリと開いた。

「おい!お前!」

玄関から入って来た背の高い男性が大声で叫んだ。
同時に彼が身につけていた赤いマントを脱ぎ私を抱きしめるように包見込んだ。

突然、抱きつかれて驚いて頬がポッと赤くなるのがわかった。

「チッ」

しかし、頭の上から彼の舌打ちする音が聞こえ、一瞬で冷めた。見上げると頭一つ高い所からギラリと睨まれていた。

「誰だ?何故ここにいる?」

ドアの音を聞いて出迎えの為に出てきた執事がすまして説明をした。

「アレクセイ様お帰りなさいませ。
伯爵様のお客様でマリノ・ハラダ嬢でございます。」

「お祖父様の?」

そう言いながら私を執事に押し付けた。

「マリノ殿、こちらはガルシア・ゴーゼッド伯爵のお孫でアレクセイ・   ゴーゼッド様でございます。ここにお住まいです。」

「こんにちは。お世話になっています。」

出来るだけ愛想よく挨拶をしたけれど、睨まれたので歓迎されてないみたい。
シルバーグレーの長身に整った顔の男前なのに何故か怖いオーラ全開だ。

「セバスチャン、詳しい事は書斎で聞こう。着替えをさせて来るように。」

私には目も止めず廊下の奥へ消えて行った。

セバスチャンと呼ばれた執事さんは、私を侍女に渡すとアレクセイとは真逆に優しく話しかけてきた。
 
「マリノ殿。突然、大声を出されて驚いたでしょう?さあ、お着替えを手伝わせましょう。」

紹介された侍女のケイトに連れられて部屋に戻ると優しく教えてくれた。

「寝巻のまま部屋の外へ出るのはタブーですからね。日常着に着替えましょうね。」

「えっ!これ寝巻きだったの?どう見ても普段着だったから。」

「あらあら。寝巻きに見えないなんて、マリノ様のお国の衣装事情は違うのかもしれないわ。」

「あの、、私の服は?」

「この国では相応しく無いからこちらをお召し下さいね。」

サラリとした生地の水色の足首丈のワンピースに腰には綺麗な織物のベルトを結び端は垂らされた。

「未婚の男女は肩より下のロングヘアーなのでつけ毛もしましょうね。」

肩の長さの髪を片方にまとめてくくり、つけ毛だとわからないように髪飾りで隠してくれた。

ううっ、裾が長くって歩きづらい。
膝まで持ち上げると侍女から悲鳴が飛んできだ。

「ああ!いけません。足を見せるなんて!注意をして下さいね。さっきはアレクセイ様が隠してくださっていたでしょ?さあ、用意が出来ました。書斎へ向かいましょう。」

そうだったのか。
私はゆったりしたブラウスに短パンで玄関ホールにいた。
どうりでだ。
初対面からやってしまうなんて。
なんだか気が重いわ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

女神様は黙ってて

高橋
ファンタジー
神の声を聞くことができる神託の巫と女神のお話

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。 神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。 追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。 居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。 小説家になろう、カクヨムでも公開していますが、一部内容が異なります。

処理中です...