異世界の赤髪騎士殿、私をじゃじゃ馬と呼ばないで

王室騎士団総団長マーベリックとケイコの婚約

7.女主人マリアンヌの呼び出し

「おはようございます。朝食をお待ちしましたよ。」

ボンヤリと目の前を眺めるとメイドが　ベットサイドに朝食の用意している。

朝！私、、食事会の最中に寝てしまったんだ！
ハッとして起き上がる。

「痛っ、、うっ～二日酔いだわ。」

良く効く二日酔いの薬を勧められるままに飲んだ。苦い、、

「もう一杯です。」

とニッコリと容赦なくコップを渡される。

「マーベリック様から必ず2杯飲ますようにと言われてます。」

と言う。そうとう、キツいお酒だったのだろう。

「あの、、皆さんはどうされましたか？」

「従兄弟様方ご夫婦は、昨夜お帰りになりました。マーベリック様は登城され今はマリアンヌ様とメリッサ様がいらっしゃいます。それと、マリアンヌ様が着替えが出来たらお部屋まで来るようにとの事です。」

「！！！」

今何時？
やってしまったわ～！！どうしよう！
寝坊して朝食会にも出れなかったなんて大失態よ。
あっ～最悪、、、


＊＊＊＊＊
大急ぎで支度をしてマリアンヌ様のお部屋に行くと早速、嫌味を言われてしまった。

「随分とゆっくりだったねぇ。貴族の食事会は寝てしまう程、面白く無かったのかい？」

机いっぱいの書類に埋もれてメガネをかけたマリアンヌ様は机上から目を離さない。

「あの、、重ね重ね申し訳ありませんでした。」

マリアンヌ様は、何も返答されない。
ただパラパラと書類を巡り静かな部屋に紙の音だけが響き渡る。
私はジッと耐えて待つ。
書類の束が3つ終わった時、やっと返事をくれた。

「其方が貴族だったら昨夜のような事になれば2度と社交界に顔を出せなかっただろう。平民で良かったじゃないか。」

とマーベリックに似た目でニヤリとされた。

「本当に申し訳」

言葉の途中だったが手で制された。

「ハァー。マーベリックにも困ったものだよ。」

「申し訳、」

言いかけると、また手で制された。

「謝れば済むとは平民は幸せだよ。このまま自由気ままに生きるのが似合っておる。其方は、アルフレッド家に来ない方が幸せだよ。」

ハッキリと言われてしまい返す言葉が見つからない。だけど、だけどこのまま引き下がる訳にはいかないわ。
私だって覚悟を決めてこの世界にやって来たのだもの。
私は引けない。

「一つ一つ覚えます。お酒も強くなります。もう決めたんです。」

「貴族社会は努力で補えない身分が第一になる。仮に結婚をして身分を手に入れても産まれは昨日のように侮蔑されるだろうよ。辞退するなら、まだ間に合う。」

「辞退しません！」

力が入りマリアンヌ様の顔を無意識にジッと見つめてしまっていた。

「ホホホッ！いどむという事じゃな。
丁度よい。久しぶりの王都なのでパーティーの誘いが目白押じゃ。連れて行ってやろう。昼からメリッサとドレスを買いに行くように。」

パーティーですって？！
そんな、、身内の簡単な食事会がやっとだったのに。

戸惑っている私にマリアンヌ様は手を振り「下がれ。」と合図をされ書類に集中されてので、これ以上何も言えず下がったのだった。