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36話 メル友です。

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 【Raid Battle!】


 【包丁を冠する君主】



 【菜刀天子】

 【次元天子】【上位権限】【???】



 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】

 【次元をさまよい】

 【冒険者を導く】

 【聖獣を担うが故に】

 【深淵と敵対する】

 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】

 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】

 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【レイドバトルを開始します】



 というわけでなんだか久しぶりな気がするレイドバトルでの死に戻りだ。
 死に戻りの先はサポートAIの【菜刀天子】さんのところ。
 どう考えても話の途中だったので気になって戻ってきたのだ。

 ちなみに菜刀っていうのは中華包丁って意味だ。
 そのまんまじゃん!
 俺の持っている包丁は日本家庭で広く使われている刃先が尖った三角形のような形をしているシャープな刃だが、【菜刀天子】が先ほど使っていた包丁は刃が長方形のような形をしているごつい見た目だ。

 菜刀の中国読みは「ツァイダオ」、日本語読みは「ながたな」「さいとう」など色々な読み方があるぞ。

 「倒されたのにまだここに戻ってきますか……
 執念深いのか意地汚いのか分かりませんが、それに免じてとりあえずあなたのことを認めましょう」
 
 それ褒められてるの?
 認められたなら別にいいけどさ。

 「話を進めます。
 先ほど使った【渡月伝心】というスキルに覚えはありますよね?」
 
 「ありまぁす!
 一昨日ここのレイドボスを倒して手に入れたスキルだが、それがどうした?」

 「あなたたち底辺種族がレイドバトルで手に入れたスキルがそのまま私も使えるようになります。
 これがability【上位権限】というものです。
 先ほどのレイドバトルの表記でも見えましたよね?」

 「ああ、なんか今までよりもめっちゃ情報出てたけど。
 あれなんでなんだ?」

 「それは機密事項なので公開拒否ですね。」

 ここでも機密事項……ね。
 秘密が多いやつは好きだぞ俺。
 なんか興味をそそられるよね。

 「……そうですか、別に私はあなたに興味ないですけど。
 とりあえずあなたたちには更なるレイドボスを倒してもらいます。
 そして私に力を捧げるのです……」

 捧げるのです……ってなんか偉そうだな。
 なるほどな、この底辺ゲームはこの偉そうな天子を育成するゲームだったのね。
 俺たちは働きアリってところか。
 ……そうなると気になってくることもある。

 「ってことは【魚尾砲撃】も使えるのか?
 【渡月伝心】と同時に手に入れたスキルだし」

 「いえ……
 機密事項に抵触するので深くは伝えることができませんが、一部のレイドボス討伐で手に入れたスキルは私と相性が悪いので、あなたたちが手に入れても使えません。
 それでも……いえなんでもないです」

 最後なんかもったいぶったなこいつ。
 
 「それで?
 俺たちがお前に力を捧げてどうなるんだ?
 メリットでもあるのか?」

 「当然です。
 私が力を蓄えなければ、次元戦争に勝てませんからね?
 この【包丁次元】のサポートAIが私であるように、他の次元にもサポートAIがいます。
 同じ次元のサポートAIと人間で1つのチームを作り戦うのですから、言うなればあなたたちと私は一心同体です。
 この戦争で勝つと私は昇格のための経験値が手に入りますし、あなたたちはその時の戦績に応じて得点が付与されます。
 あなたたちだけでは他の次元のサポートAIに勝てるとは思えませんし、悪い話ではないでしょう?」

 「これはそういうゲームだったんだな、ちょっと納得したわ。
 というか一心同体とか言われると照れ……る……な?
 あっ、これデジャブか!?」

 脳裏に先日の光景が浮かび上がる。
 もしやと思いフレンドリストの中の一心同体リストとかいうよく分からないタブを開いてみると案の定そこにはある文字が刻み込まれていた。

 【菜刀天子】……やっぱりか。

 「そうですか。
 私がフレンドリストに登録された……と。
 あなたの行動を今まで監視していましたが、いつも奇妙なことばかり起こしますね?
 いいでしょう、これからあなたは私直属の臣下として尽くすのです。
 これは栄誉なことですよ?」

 うるせーーー!!
 しらねーーー!!
 Bottom Down-Onl
          ine

 なんか知らないうちに臣下にされたんだが?
 こいつ一見話が通じるように見えて、実は全くこっちのこと考えてないな!?
 底辺種族とか言ってたし、俺たちのことを駒としか考えてないんだろう。

 「明日には初の公式イベントとして第一回次元戦争が始まります。
 精々今日は休んでいくといいでしょう……」

 俺はすぐアネイブルのその辺にあった樹木でできた空き家へ戻った。
 そんなイベントがあるならこいつに構っている暇はないからな、早く寝よう。





 そうして横になったとき脳裏に声が響いた。

 【底辺種族の【包丁戦士】へ……果物を剥いて献上しに来なさい。
 明日のイベント前までにするように……【菜刀天子】より】

 これがスキル【渡月伝心】か……。


 俺と【菜刀天子】はメル友になったようだ。




 
 


 

 メル友ではないですよ。
 立場をわきまえてくださいね?

 【Bottom Down-Online Now loading……】
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