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12話 あら意外、生産プレイヤー!
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「今回はいつもみたいにレイドバトルアナウンスから始まらないぞ!」
「あなたはいったい何を言っているんですか……?」
この【釣竿剣士】は【槌鍛治士】みたいなことを言うなぁ……
前回の話から三時間が経過しており、完全に暇人と化した俺は【釣竿剣士】と雑談をしながらレイドボスが釣れるのを待っている。
雑談をしている時に釣れた魚をこの少女からもらってあることをしている。
「【釣竿剣士】が魚を釣ってくれるお陰で久しぶりに本業に勤しめるな!
誰だよ俺を戦士って呼び始めたやつ、包丁持っている時点で料理をやるってことをまず考えないのか……?」
読者のみんなはとっくに気づいていたと思うが、俺は超絶先進技術が使われていると噂をされていたこのボトムダウンーオンラインで料理をメインで頑張るためにプレイを始めたのだ。
このゲームのチュートリアルでもらえる武器はランダムだが、それぞれの趣味をある程度はくみ取ってくれるらしい。
【槌鍛治士】や隣でいい香りのする【釣竿剣士】、そして俺も趣味とベストマッチしたものが選ばれている。
「いや、あなたの噂を聞くときは戦闘の噂しか聞かないですよ?」
「奇遇だな、俺もお前の話を聞くときは戦闘の話しか聞かないな!
ほぼ似たような境遇で草生えるんだが」
【釣竿剣士】が普段から釣りをしているのに対して、俺は料理の材料をこのドン底ゲームで確保できていないので全く料理できていなかった。
空腹値で何度か死に戻りをしたこともある。
「まあ、出会いの記念に俺の料理。
沼魚(名称不明)のアヒージョ(沼地に来る道中で拾ったニンニクらしきものを使った)~トマト(という名前の赤い謎の液体)スープを添えて~だ!」
「どことなく不安を感じさせるような行間がある気がしますが、料理メインでやろうとしていただけあって見た目も香りもグッドですよ!」
「お褒めに預かり光栄だ!
ささっ、食べて食べて!」
少し躊躇いながら【釣竿剣士】が沼魚のアヒージョを口に運ぶ。
そして、舌先に触れた瞬間、目を見開いた。
「ふふふ、これは絶品ですね!
私の釣った沼魚がここまで化けるとは思いませんでした。
ただ焼いただけだと泥臭い香りがして食欲が沸かなかったですが、一流の調理に従えば絶品グルメになるものなんですね」
「まさかそこまで誉めてもらえるとはな!
最近戦果しか褒められていなかったから新鮮な気がするわ」
これは嬉しい誤算だった。
一次生産職プレイヤーと繋がりが出来ると自分で材料を取らなくても料理が出来るようになるな!
「あっ、引いてる引いてる!
大きいの来ました!
これはレイドボス級の引きです!!」
食べていたらどうやら釣竿が引っ張られはじめた。
というか、ええっ?
「その釣竿150度くらい曲がってない??
色々と大丈夫か、引っ張るの手伝った方がいい感じ?」
めっちゃ釣竿がしなっている。
耐久力無限のチュートリアル装備じゃなかったら100%壊れているであろうその曲がり方を見ると不安しかない。
「いえ、ここからが私の見せどころです。
刮目してください、釣竿一刀流【怪力】!」
少女は足を少し上げ、大きく踏み込んだ。
そしてその勢いで一気に釣竿を振り上げ切った。
【レイドボスをつりあげた!▼】
【レイドボスのヘイトが釣り上げたプレイヤーに集中します】
釣り上げたのは10メートルもあろうかという鈍重そうな亀だ。
ただ、普通の亀と違うのはサイズだけではなく、甲羅にところ余すことなく生えている鋭利な棘という点だ。
あそこに刺さったら一瞬で死に戻りすること間違いなしだな……
「す、凄い……
よくもこんな巨大なレイドボスを一人で釣り上げられたな……」
「当然ですよ、生産プレイヤーなら!」
誇るようにその立派な胸を張って自信満々に言い放った。
「いや、お前のような化け物みたいな馬鹿力の生産プレイヤーがいるか!!」
悲痛な俺の叫びに応えてくれる者はこのレイドバトルエリアにはおらず、むなしく沼地に大声が響き渡ることとなった。
これはまだ序の口……という不穏なことをボソッと言った少女が居たとか居なかったとか……
【Bottom Down-Online Now loading……】
「あなたはいったい何を言っているんですか……?」
この【釣竿剣士】は【槌鍛治士】みたいなことを言うなぁ……
前回の話から三時間が経過しており、完全に暇人と化した俺は【釣竿剣士】と雑談をしながらレイドボスが釣れるのを待っている。
雑談をしている時に釣れた魚をこの少女からもらってあることをしている。
「【釣竿剣士】が魚を釣ってくれるお陰で久しぶりに本業に勤しめるな!
誰だよ俺を戦士って呼び始めたやつ、包丁持っている時点で料理をやるってことをまず考えないのか……?」
読者のみんなはとっくに気づいていたと思うが、俺は超絶先進技術が使われていると噂をされていたこのボトムダウンーオンラインで料理をメインで頑張るためにプレイを始めたのだ。
このゲームのチュートリアルでもらえる武器はランダムだが、それぞれの趣味をある程度はくみ取ってくれるらしい。
【槌鍛治士】や隣でいい香りのする【釣竿剣士】、そして俺も趣味とベストマッチしたものが選ばれている。
「いや、あなたの噂を聞くときは戦闘の噂しか聞かないですよ?」
「奇遇だな、俺もお前の話を聞くときは戦闘の話しか聞かないな!
ほぼ似たような境遇で草生えるんだが」
【釣竿剣士】が普段から釣りをしているのに対して、俺は料理の材料をこのドン底ゲームで確保できていないので全く料理できていなかった。
空腹値で何度か死に戻りをしたこともある。
「まあ、出会いの記念に俺の料理。
沼魚(名称不明)のアヒージョ(沼地に来る道中で拾ったニンニクらしきものを使った)~トマト(という名前の赤い謎の液体)スープを添えて~だ!」
「どことなく不安を感じさせるような行間がある気がしますが、料理メインでやろうとしていただけあって見た目も香りもグッドですよ!」
「お褒めに預かり光栄だ!
ささっ、食べて食べて!」
少し躊躇いながら【釣竿剣士】が沼魚のアヒージョを口に運ぶ。
そして、舌先に触れた瞬間、目を見開いた。
「ふふふ、これは絶品ですね!
私の釣った沼魚がここまで化けるとは思いませんでした。
ただ焼いただけだと泥臭い香りがして食欲が沸かなかったですが、一流の調理に従えば絶品グルメになるものなんですね」
「まさかそこまで誉めてもらえるとはな!
最近戦果しか褒められていなかったから新鮮な気がするわ」
これは嬉しい誤算だった。
一次生産職プレイヤーと繋がりが出来ると自分で材料を取らなくても料理が出来るようになるな!
「あっ、引いてる引いてる!
大きいの来ました!
これはレイドボス級の引きです!!」
食べていたらどうやら釣竿が引っ張られはじめた。
というか、ええっ?
「その釣竿150度くらい曲がってない??
色々と大丈夫か、引っ張るの手伝った方がいい感じ?」
めっちゃ釣竿がしなっている。
耐久力無限のチュートリアル装備じゃなかったら100%壊れているであろうその曲がり方を見ると不安しかない。
「いえ、ここからが私の見せどころです。
刮目してください、釣竿一刀流【怪力】!」
少女は足を少し上げ、大きく踏み込んだ。
そしてその勢いで一気に釣竿を振り上げ切った。
【レイドボスをつりあげた!▼】
【レイドボスのヘイトが釣り上げたプレイヤーに集中します】
釣り上げたのは10メートルもあろうかという鈍重そうな亀だ。
ただ、普通の亀と違うのはサイズだけではなく、甲羅にところ余すことなく生えている鋭利な棘という点だ。
あそこに刺さったら一瞬で死に戻りすること間違いなしだな……
「す、凄い……
よくもこんな巨大なレイドボスを一人で釣り上げられたな……」
「当然ですよ、生産プレイヤーなら!」
誇るようにその立派な胸を張って自信満々に言い放った。
「いや、お前のような化け物みたいな馬鹿力の生産プレイヤーがいるか!!」
悲痛な俺の叫びに応えてくれる者はこのレイドバトルエリアにはおらず、むなしく沼地に大声が響き渡ることとなった。
これはまだ序の口……という不穏なことをボソッと言った少女が居たとか居なかったとか……
【Bottom Down-Online Now loading……】
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