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本編
14 おしおき?されるおれ ※
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酔っ払いに注意
◆
式典と祝賀会が終わらないのか、兄はいつになっても戻ってこない。
兄の寝室は、暗殺者の進入経路を減らすためなのか、換気と明かりとりを兼ねた小さな窓がいくつかあるだけで、部屋の四方を壁に囲まれている。
夜になれば、窓があってもなくても変わらないけれど。
兄がいれば感じない閉塞感に、息が詰まる。
暗殺者襲撃で行けなくなっていたお手洗いは、一人で行けるようになった。
今日だけ特別だと、おれが自分で食べられるものも用意されていたけれど、寂しかった。
いつもなら一緒に寝る時間を過ぎても、兄は戻ってきてくれない。
一人でも、ふかふかの寝台の上にいるのに。
ぼんやりとした常夜灯の明るさを感じているのに。
処刑された時のおれ、を不意に思い出した。
最近は思い出そうとしても、ぼんやりしていたのに。
どうして。
真っ暗な後宮は、ほこりっぽくて寒くて冷え冷えとしていて、誰も明かりを灯しにきてくれない。
ふかふかの寝具のない部屋。
寝台にはほこりをかぶったマットレスが放置されていて、いらついたおれが引き裂いたり、暗殺者と対峙したせいでどこもかしこもぼろぼろだった。
話す相手もいなければ、おれに触れてくれる者もいない。
食べ物も飲み物もなくて、いつも腹をすかしてた。
寒くなる前はひどく腹が減って仕方なかったし、寒くなってからは眠くていつもうとうとしながら、腹が減ってつらくて、食い物ないかなと後宮の外に出ると、見つかった護衛に怒鳴られて。
使用人に悲鳴を上げられて。
王妃に蹴りとばされて。
後宮に戻れば、暗殺者に殺されそうになって。
あの頃は完全なひとりぼっちだった。
兄が、いなくなったら、帰って来なかったらどうしよう。
不意にそんな考えが浮かんで、兄の服をかじった。
かじると兄の匂いを強く感じる。
少しだけホッとする。
兄が、おれとの約束を破ったことはない。
だから大丈夫だ。
自分に言い聞かせるけれど、心は軽くならない。
寝台に潜り込む。
日に日に大きくなるおれの重さで、ミシミシ音を立てる寝台に不安になりながら、毛布の中に頭をつっこんだ。
兄がいないと、おれはもう、だめらしい。
うつら、うつらと頭だけ毛布に突っ込んだままでまどろんでいたら、するり、と尻に何かが触れた。
あ、兄が戻ってきたら寝衣に着替えさせてもらうつもりで、頑張って自分でパンツ脱いだっけ。
そんなことを寝ぼけたまま考えていると、小さな声が聞こえた。
「スノシティ、どうしてこんなに無防備な姿で寝てるの、僕に襲われるよ」
兄が戻ってきた!
お帰りって言わなきゃ。
でも、なんだか、兄の声がよれよれになってる?
毛布の隙間から鼻を突き出して、兄の様子がおかしい原因に気がついた。
ふわっと寝室の中に漂う臭い。
「兄上、お酒を飲んでるの?」
これまで臭いを嗅ぐ機会はあっても、口にしたことのないもの。
前も今も縁がなかった。
「スノシティ?」
いつもの兄となんだか違う。
話し方がぼんやり、ふんわりしてる。
なんだか、嫌な感じがする。
でも、兄は兄だよな。
「おかえり兄上、おれ、一人でがんばったよ」
「スノシティ」
「うん!」
「何度言えば直すんだ、ぼく、だろう?」
「……兄上?」
暗殺者が来ても返事しなかったよ、と伝えたら兄が褒めてくれると思ったのに、兄が口にした言葉に気持ちがしぼんでいく。
前のおれは、誰にも言葉遣いなんて教えてもらえなかった。
護衛たちが使ってる言葉を聞いて、男は自分のことを〝おれ〟と言うことを知った。
兄は、今のおれに〝ぼく〟と言わせたがる。
でもそれは兄が自分のことをさす言葉だ。
おれはぼくじゃない。
そう思っているから〝ぼく〟に直そうと思っても、ついつい〝おれ〟と言ってしまう。
気を紛らわせようと、がじ、と口元に引っかかっているものをかじって。
「ああっ!」
「?」
「どうして穴だらけなんだ!」
唐突に声を張る兄に、びくっと体が震えた。
ほんとうにこれはおれの兄なのか?
図体は大きくなっても、おれが兄に叱られたくない、嫌われたくない気持ちは変わらない。
「ご、ごめんなさい」
「悪い子だ、スノシティ!」
「ごめんなさいっ」
「だめだ、おしおきだ、スノシティ!」
「うう、ごめ、ごめんなしゃいっ」
いつもの兄なら、こんな時も声を荒げたりしない。
お仕置きなんて言わない。
こんなの兄じゃない、と現実逃避できればよかったのに。
兄の豹変は酒が原因だろう、と考えることはできたのに、どうしたら良いのか分からない。
兄から借りた服が穴だらけになっていることに、おれはこの時点で初めて気がついた。
たしか、昨日着ていたのを借りたんだ。
どうしよう、兄を怒らせた。
目の前がにじむと、我慢できなかった。
ぼろぼろと涙がこぼれる。
嗚咽がのどをのぼってくる。
「スノシティ、おしおきだ」
兄は寝台の上で、おれを四つん這いの体勢にさせた。
なんだろう、全身を揉んでくれるのかな、毛づくろいかな、でもそれだとお仕置きにならない。
不安になっていると、突然、尻の穴に何かが突っ込まれた。
「ぅぎゅうっっ!?」
おかしな唸り声がのどから出て、頭を上げようとしたら尻をぱしりと叩かれた。
分厚い被毛のおかげで痛くないけれど、軽くとは言え、兄に手を出されたことに衝撃を受けた。
これまでに、一度だって兄に叩かれたことなんてなかった。
それが兄弟のじゃれあいでも。
「おしおきだ、動くんじゃない」
「ふ、ひゃいっ」
「……きついな、指一本しか入らない」
ぐりぐり、とお尻の穴に突っ込まれたものが動かされる。
なんだろう。
兄は何をしてるんだ。
そして、何を言ってるんだろう?
この時のおれは、兄を怒らせてしまったと思って頭が真っ白になっていた。
数日前。
兄が所用で不在になった時に、兄の補佐をしている、使用人だけど使用人と違う服を着た男性が教えてくれた言葉を、思い出すことができなかった。
〝この国の王族は、代々近親の血縁者に執着して、近親婚を繰り返してきた血筋〟である。
だから〝成人後の兄に気をつけろ〟と。
きんしんこんってなんだろう、と悩むおれに、男性は教えてくれた。
兄には、自分が教えたと言うなと前置きして。
国王と王妃は、従兄妹だという。
二人とも王族の血を濃く受け継いでいるのに、珍しくお互いに執着をしていない。
今現在、王族は国王、王妃、第一王子の兄の三人だけ。
王族の血を引いているものと枠を広げれば、おれも含めて四人。
他の王族は……死んだ。
元から近親者ばかりで縁を組んできた王族だが、数代前から外の血を受け入れることを拒否し続けた結果、子供が生まれにくくなった。
濃くなりすぎている血を薄めるために、王族の血が入っていない、もしくは継承権を持てないほど血筋の遠い妾妃を入れなくてはいけない。
そんな理由から、国王と王妃が互いに関心が薄いことは良いことだ、と受け止められていたらしい。
国王が執着しなくても、王妃は王族の血を濃く引く必要がある。
王妃以外の女性は、条件に当てはまらなかった。
詳しくは国の極秘らしい。
ところがふたを開けてみたら、王妃は血縁者の国王ではなく王妃の座に執着して、妾妃をみんな殺させた。
そして、国王以外の男を寝所に引き入れまくった。
王以外の男に股を開くことが当たり前で、王も数多の男の中の一人にしたがったのだという。
ようやく生まれたのが第一王子である兄。
兄が王妃の産んだ子であるのは事実でも、国王の息子かは分からないそうだ。
そして国王も王妃も、兄に対して執着を見せた。
その後は、おれも知っている話なのだろう。
国王と王妃は二人がかりで兄を壊した。
自分の執着と欲望を優先して、親としてはなにも与えなかった。
それはおれに対してもそうだった。
国王は、おれに無関心。
王妃は、おれを殺すことに執着している気がする。
……それなら。
兄が執着するかもしれない血縁者は?
その先を考えることを、おれはやめた。
兄がこれまで与えてくれた好きを、疑いたくない。
優しくて美しくて、誰よりも素晴らしい努力家の兄が、おれをもののように扱う可能性を、考えたくなかった。
◆
式典と祝賀会が終わらないのか、兄はいつになっても戻ってこない。
兄の寝室は、暗殺者の進入経路を減らすためなのか、換気と明かりとりを兼ねた小さな窓がいくつかあるだけで、部屋の四方を壁に囲まれている。
夜になれば、窓があってもなくても変わらないけれど。
兄がいれば感じない閉塞感に、息が詰まる。
暗殺者襲撃で行けなくなっていたお手洗いは、一人で行けるようになった。
今日だけ特別だと、おれが自分で食べられるものも用意されていたけれど、寂しかった。
いつもなら一緒に寝る時間を過ぎても、兄は戻ってきてくれない。
一人でも、ふかふかの寝台の上にいるのに。
ぼんやりとした常夜灯の明るさを感じているのに。
処刑された時のおれ、を不意に思い出した。
最近は思い出そうとしても、ぼんやりしていたのに。
どうして。
真っ暗な後宮は、ほこりっぽくて寒くて冷え冷えとしていて、誰も明かりを灯しにきてくれない。
ふかふかの寝具のない部屋。
寝台にはほこりをかぶったマットレスが放置されていて、いらついたおれが引き裂いたり、暗殺者と対峙したせいでどこもかしこもぼろぼろだった。
話す相手もいなければ、おれに触れてくれる者もいない。
食べ物も飲み物もなくて、いつも腹をすかしてた。
寒くなる前はひどく腹が減って仕方なかったし、寒くなってからは眠くていつもうとうとしながら、腹が減ってつらくて、食い物ないかなと後宮の外に出ると、見つかった護衛に怒鳴られて。
使用人に悲鳴を上げられて。
王妃に蹴りとばされて。
後宮に戻れば、暗殺者に殺されそうになって。
あの頃は完全なひとりぼっちだった。
兄が、いなくなったら、帰って来なかったらどうしよう。
不意にそんな考えが浮かんで、兄の服をかじった。
かじると兄の匂いを強く感じる。
少しだけホッとする。
兄が、おれとの約束を破ったことはない。
だから大丈夫だ。
自分に言い聞かせるけれど、心は軽くならない。
寝台に潜り込む。
日に日に大きくなるおれの重さで、ミシミシ音を立てる寝台に不安になりながら、毛布の中に頭をつっこんだ。
兄がいないと、おれはもう、だめらしい。
うつら、うつらと頭だけ毛布に突っ込んだままでまどろんでいたら、するり、と尻に何かが触れた。
あ、兄が戻ってきたら寝衣に着替えさせてもらうつもりで、頑張って自分でパンツ脱いだっけ。
そんなことを寝ぼけたまま考えていると、小さな声が聞こえた。
「スノシティ、どうしてこんなに無防備な姿で寝てるの、僕に襲われるよ」
兄が戻ってきた!
お帰りって言わなきゃ。
でも、なんだか、兄の声がよれよれになってる?
毛布の隙間から鼻を突き出して、兄の様子がおかしい原因に気がついた。
ふわっと寝室の中に漂う臭い。
「兄上、お酒を飲んでるの?」
これまで臭いを嗅ぐ機会はあっても、口にしたことのないもの。
前も今も縁がなかった。
「スノシティ?」
いつもの兄となんだか違う。
話し方がぼんやり、ふんわりしてる。
なんだか、嫌な感じがする。
でも、兄は兄だよな。
「おかえり兄上、おれ、一人でがんばったよ」
「スノシティ」
「うん!」
「何度言えば直すんだ、ぼく、だろう?」
「……兄上?」
暗殺者が来ても返事しなかったよ、と伝えたら兄が褒めてくれると思ったのに、兄が口にした言葉に気持ちがしぼんでいく。
前のおれは、誰にも言葉遣いなんて教えてもらえなかった。
護衛たちが使ってる言葉を聞いて、男は自分のことを〝おれ〟と言うことを知った。
兄は、今のおれに〝ぼく〟と言わせたがる。
でもそれは兄が自分のことをさす言葉だ。
おれはぼくじゃない。
そう思っているから〝ぼく〟に直そうと思っても、ついつい〝おれ〟と言ってしまう。
気を紛らわせようと、がじ、と口元に引っかかっているものをかじって。
「ああっ!」
「?」
「どうして穴だらけなんだ!」
唐突に声を張る兄に、びくっと体が震えた。
ほんとうにこれはおれの兄なのか?
図体は大きくなっても、おれが兄に叱られたくない、嫌われたくない気持ちは変わらない。
「ご、ごめんなさい」
「悪い子だ、スノシティ!」
「ごめんなさいっ」
「だめだ、おしおきだ、スノシティ!」
「うう、ごめ、ごめんなしゃいっ」
いつもの兄なら、こんな時も声を荒げたりしない。
お仕置きなんて言わない。
こんなの兄じゃない、と現実逃避できればよかったのに。
兄の豹変は酒が原因だろう、と考えることはできたのに、どうしたら良いのか分からない。
兄から借りた服が穴だらけになっていることに、おれはこの時点で初めて気がついた。
たしか、昨日着ていたのを借りたんだ。
どうしよう、兄を怒らせた。
目の前がにじむと、我慢できなかった。
ぼろぼろと涙がこぼれる。
嗚咽がのどをのぼってくる。
「スノシティ、おしおきだ」
兄は寝台の上で、おれを四つん這いの体勢にさせた。
なんだろう、全身を揉んでくれるのかな、毛づくろいかな、でもそれだとお仕置きにならない。
不安になっていると、突然、尻の穴に何かが突っ込まれた。
「ぅぎゅうっっ!?」
おかしな唸り声がのどから出て、頭を上げようとしたら尻をぱしりと叩かれた。
分厚い被毛のおかげで痛くないけれど、軽くとは言え、兄に手を出されたことに衝撃を受けた。
これまでに、一度だって兄に叩かれたことなんてなかった。
それが兄弟のじゃれあいでも。
「おしおきだ、動くんじゃない」
「ふ、ひゃいっ」
「……きついな、指一本しか入らない」
ぐりぐり、とお尻の穴に突っ込まれたものが動かされる。
なんだろう。
兄は何をしてるんだ。
そして、何を言ってるんだろう?
この時のおれは、兄を怒らせてしまったと思って頭が真っ白になっていた。
数日前。
兄が所用で不在になった時に、兄の補佐をしている、使用人だけど使用人と違う服を着た男性が教えてくれた言葉を、思い出すことができなかった。
〝この国の王族は、代々近親の血縁者に執着して、近親婚を繰り返してきた血筋〟である。
だから〝成人後の兄に気をつけろ〟と。
きんしんこんってなんだろう、と悩むおれに、男性は教えてくれた。
兄には、自分が教えたと言うなと前置きして。
国王と王妃は、従兄妹だという。
二人とも王族の血を濃く受け継いでいるのに、珍しくお互いに執着をしていない。
今現在、王族は国王、王妃、第一王子の兄の三人だけ。
王族の血を引いているものと枠を広げれば、おれも含めて四人。
他の王族は……死んだ。
元から近親者ばかりで縁を組んできた王族だが、数代前から外の血を受け入れることを拒否し続けた結果、子供が生まれにくくなった。
濃くなりすぎている血を薄めるために、王族の血が入っていない、もしくは継承権を持てないほど血筋の遠い妾妃を入れなくてはいけない。
そんな理由から、国王と王妃が互いに関心が薄いことは良いことだ、と受け止められていたらしい。
国王が執着しなくても、王妃は王族の血を濃く引く必要がある。
王妃以外の女性は、条件に当てはまらなかった。
詳しくは国の極秘らしい。
ところがふたを開けてみたら、王妃は血縁者の国王ではなく王妃の座に執着して、妾妃をみんな殺させた。
そして、国王以外の男を寝所に引き入れまくった。
王以外の男に股を開くことが当たり前で、王も数多の男の中の一人にしたがったのだという。
ようやく生まれたのが第一王子である兄。
兄が王妃の産んだ子であるのは事実でも、国王の息子かは分からないそうだ。
そして国王も王妃も、兄に対して執着を見せた。
その後は、おれも知っている話なのだろう。
国王と王妃は二人がかりで兄を壊した。
自分の執着と欲望を優先して、親としてはなにも与えなかった。
それはおれに対してもそうだった。
国王は、おれに無関心。
王妃は、おれを殺すことに執着している気がする。
……それなら。
兄が執着するかもしれない血縁者は?
その先を考えることを、おれはやめた。
兄がこれまで与えてくれた好きを、疑いたくない。
優しくて美しくて、誰よりも素晴らしい努力家の兄が、おれをもののように扱う可能性を、考えたくなかった。
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