【R18】I've got a crush on ogre

Cleyera

文字の大きさ
上 下
48 / 72
四、生まれたままで

46 東鬼

しおりを挟む
 
 タクの痩せた頬を、細い背中を、噴き出した汗がつたっていく。
 顎から垂れた汗の雫が、ポタ、ポタとおれの腹にしたたる。

「あ、……ぁ、……ぅぅ……っ」

 かふ、かふと苦しそうな呼吸をしながら、タクがおれの珍宝チンポウを受け入れていく。
 疲れきって踏ん張れなくなってるタクの体が落ちねえように、両脇をおれが支えてるが、このまま貫きたい衝動に逆らうのがつれえ。
 一気に突っ込んだらタクが死んじまう!と思って我慢してるが、正直もう耐えられそうにない。

「……ん"ん"ん"っ!!」
「ッおっおっっ」

 ゴリュ、と異音を立てて、亀頭部分がぬるりと中に滑り込んだ。
 歯を食いしばり、明らかな苦痛に顔を歪めているタクは、指の関節の色が白くなるほどタオルを握りしめて、必死で呼吸を繋いでる。

 一方のおれも、ひたすら耐えていた。
 人の姿をとってる時とまるで違う、脳天まで電流を流されるような快感に。

 タクの柔らかい肉に包まれた亀頭が、嬉しいと震える。
 きつい、狭い、なのに最高に気持ちいい。

 今すぐ精を放っておひいさまに種付けをし、鬼の妖気と匂いをまとわせたいと、鈴口が開くのを感じた。
 金玉が腹側へせり上がって、タクの胎内へ放て、ザーメンを塗りこめ、孕ませろ!と要求してくる。

 生だからなのか。
 相手がタクだからなのか。
 初めて鬼の姿で、珍宝を受け入れられたからか。

 珍宝がそのまま溶けちまいそうな快感に負けて、腰を突き上げようとした時に、ちゅ、とかすかな音が耳に届いた。

「たっく、ん、すき、らいすきぃ」

 衝撃と痛みで意識がもうろうとしているのか、タクがうわ言のような口調で繰り返し、おれの胸にキスを落としていた。
 ちゅ、ちゅ、と子供がするような拙いキスだ。
 ただ唇を押し当てて、音を立てるだけの。

 愛撫というより、目の前におれがいるから反射的にそうしているように見える。

 キスの合間にはぁ、はぁ、と苦しそうに呼吸をしてるのは、意識がしっかりしてねえからだろう。
 前からやってる、痛みを逃すとかいう呼吸法をしてねえってことは、そういうこったろう?

「タク、おいタク?」

 腰を振る前で良かった。
 タクの姿を見て冷静になれた。
 今ここでおれが腰を振って奥へ突き進んだら、間違いなくタクは壊れちまう。

「すき、たっくんっ、たっくんすきらのぉ」

 おそらく、今のタクは、自分が何を口走ってんのかを理解してねえ。
 体が下に落ちねえように気をつけつつ首をねじ曲げて、おれの胸にキスを続けるタクの顔をよく見れば、目の焦点が合ってなかった。
 瞳孔もちょーっと開いちまってねえか?
 これ、マジでやべえやつか?

 声をかけても反応がない。
 痛みと突っ込まれた衝撃で、ちょっとおかしくなっちまってんのかもしんねえ。
 ちょっと様子を見てみるか。
 それとも抜いた方がいいのか?

 もっと奥まで受け入れてもらいてえ気持ちはあっても、今は先っぽだけで十分だ。
 タクの体が弱いのは事実で、おれが気にしてねえとしても、無理をさせる理由にはならねえ。
 無理させて寝込ませちまうと、次のセックスを延期にされそうだ。

 何より、タクがおれに「好き」って言ってくれんのなんて、こんな時くれえだ。
 ちゃんと意識がある時に、数分おきにでも言ってもらいてえのに、言ってくんねえんだもん。

 恥ずかしがって言わねえんじゃなくて、頑固で男前なタクだから、そんな可愛い姿を見せるのは自分らしくねえって思い込んでる節はある。
 意識せずの爆弾発言でおれを翻弄してんのが、わざとじゃねえってのは知ってんだ。

 タクを知れば知るほどに、気位の高いお猫さまに見えてくる。

 気まぐれに近寄ってきてスリスリするくせに、こっちからは触らせてくんねえとか、苦行か!!
 くっそー、タクの可愛らしさは一体どうなってんだよ!!
 もしかして上限がねえのか!?

「……ぁ」
「タク?」
「しの……ぎ?」

 あー、戻っちまったか、残念。
 もう少しで良いから「すき、すき」って舌足らずな感じで言われてたかった。
 普段のタクが一番だけどよ。

「タッくんって呼んでくれよ」
「タッくん?」
「わかるか?」
「……なにが?」
「入ったぞ、先っぽだけ、だけどな」

 あっれぇ?なんかこういうやりとり、前にもしなかったか?と思いながら、首を精一杯曲げて汗まみれのタクの顔を舐める。
 汗を拭いてやりてえけど、手が空いてねえから舐めることしかできなかった。
 タクの体には力が入ってねえから、おれが脇を支えてねえと、ズルズルっと落ちて根元まで突っ込んじまうことになりかねねえ。

 今、それはできねえ。
 本気でダメだ。

「さきっぽ?」
「おう、先っぽな」

 顔を垂れる汗を舐められたことに嫌悪を感じねえのか、キョトンとする。
 クソ可愛い。

 まだおかしくなってんのかー?と、様子を見てると、おれの言葉を繰り返したタクの、ぼんやりしていた目が、何度目かの瞬きで理性の光を取り戻した。

「……は、はいった?」
「おう、先っぽは、な」
「ほんとうにはいったのか?」
「おう、先っぽが、な」
「……さきっぽをれんこするなよ」
「仕方ねえだろ、根元まで突っ込みてえの我慢してんだからよ!」

 やっぱ、タクは精神面が肉体を凌駕してんな。
 口調がふにゃふにゃになっちまってんのに、目の光はいつもと変わんねえ。

 タクの肉体的な負担を考えりゃ、人の姿の時みてえに強引に突っ込むのは無理だ。
 これから先、何回も、何時間も、何日もかけて、タクの腔をほぐしていかねえと、こればっかりは。

「……ごめん、もうむりかも」
「おう、おれもそう思う、きつすぎて出そうなのを我慢してんだっ」
「え?」
「うっ、悪い、無理、もう我慢できねえっ……うおおおっっ」
「あ、まて、まっ、あ、あつっ!?あついっっ!!」

 タクを揺さぶらねえように、奥へ突っ込まねえように耐える。
 必死で耐えて、タクも珍宝も一ミリも動かさねえまま、タクの腹の中に射精した。

 痛みが原因なのか、汗をかきすぎてるからなのか、体が冷え切ってるらしいタクは、直腸への射精を熱く感じるのか、鬼の精液の量が多いからなのか、悲鳴をあげて逃げようとする。

 タオルも握れねえくれえ消耗してるタクが、おれの胸をぺたぺたと撫でるように足掻く姿に、たまんなく興奮させられる。
 放ってる途中なのに、睾丸が重てえ。

「ひぃ、あ、や、やだっ、これ、やぁっっ、やだぁっ!」

 タクの聞きなれない泣き声を聞きながら、そういやあ鬼って、精液の量が人間と比べらんねえくれえ多かったなーと思い出す。
 人に化けてる時でも多かったはずだが、鬼の姿だと、本気で一晩でバケツぐらい溜まるんじゃねえかと思いながら、タクが珍宝の先端を包んでくれる喜びに浸った。



 めちゃくちゃ我慢して、抜いた。
 一回射精した程度じゃ全くしおれる気配がなく、ガチガチのままだったから、タクが痛がったけど仕方ねえ。

 勃起しっぱなしの珍宝が痛くて、冷静になれねえかと思ってたが、おれの精液に血が混ざって垂れる尻を見た瞬間に、頭が冷えた。
 一瞬で冷静になった。
 気が付いた時には人の姿になってて、ぐったりしてるタクを風呂場に連れていき、全身を丸洗いした。

 痛えのは分かってっけど、尻も洗った。
 おれの精液を胎の中に残しておくわけにはいかねえ。
 ガキができるか、腹を壊すか、どっちにしろ碌なことにはならねえからな。
 タクが、歯を食いしばって痛みを我慢してんのが分かって、つれえ。

 風呂を急いで済ませ、部屋に戻って傷の手当てをしようとしたおれに、タクが半分以上閉じて寝かけていた目を開けて、声をかけてきた。
 着替えてる途中から疲れが出たのか、反応がなくなってるのは分かってた。

「……タッくん」
「おう、どうした?」
「大好き」
「っ、おう、おれもな、タクが大好きだ!!」

 タクの尻は病院に行くほどじゃねえが、傷になっちまった。
 事前に用意してもらってた傷薬を丁寧に塗り込んで、一応、腰から尻を固定するように布を巻いておく。

「次は……入るかな?」
「え……次も、あんのか?」

 てっきり、もう二度としねえって言うと思ってた。
 一度目で切れて痛い目を見ちまうと、次は嫌がるだろうなって。
 それか、鬼の姿は嫌だ、って言うとか。

「タッくんが、今日みたいに優しくしてくれるなら、な」
「する、絶対する、めちゃくちゃ優しくする!!」
「ふふ」

 珍しくタクが笑い声をこぼす。
 嬉しそうに、目元を緩めて。

「じゃあ、期待してる……から」

 すうと眠りに落ちたタクの姿を見ながら、胸の奥に湧き出した感情に、なんて名前をつけたら良いのか分からなくて、呆然としてしまう。
 ……ああ、おれはきっと、タクのためなら、命を投げ出すことも惜しまねえだろう。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白雪王子と容赦のない七人ショタ!

ミクリ21
BL
男の白雪姫の魔改造した話です。

少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。 ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。 だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

ゆるふわメスお兄さんを寝ている間に俺のチンポに完全屈服させる話

さくた
BL
攻め:浩介(こうすけ) 奏音とは大学の先輩後輩関係 受け:奏音(かなと) 同性と付き合うのは浩介が初めて いつも以上に孕むだのなんだの言いまくってるし攻めのセリフにも♡がつく

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

絶滅危惧種の俺様王子に婚約を突きつけられた小物ですが

古森きり
BL
前世、腐男子サラリーマンである俺、ホノカ・ルトソーは”女は王族だけ”という特殊な異世界『ゼブンス・デェ・フェ』に転生した。 女と結婚し、女と子どもを残せるのは伯爵家以上の男だけ。 平民と伯爵家以下の男は、同家格の男と結婚してうなじを噛まれた側が子宮を体内で生成して子どもを産むように進化する。 そんな常識を聞いた時は「は?」と宇宙猫になった。 いや、だって、そんなことある? あぶれたモブの運命が過酷すぎん? ――言いたいことはたくさんあるが、どうせモブなので流れに身を任せようと思っていたところ王女殿下の誕生日お披露目パーティーで第二王子エルン殿下にキスされてしまい――! BLoveさん、カクヨム、アルファポリス、小説家になろうに掲載。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

私の彼氏は義兄に犯され、奪われました。

天災
BL
 私の彼氏は、義兄に奪われました。いや、犯されもしました。

処理中です...